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流産した人に知ってほしい、悲しみとの向き合いかた|悲嘆について


公認心理師で不妊治療3年目のまみです。先日やっと授かったと思った命は早期流産でお腹からいなくなってしまいました。とても辛いです。

今回は大切な人との別れを体験した時の心の回復プロセスについてまとめました。

心に起こる反応を知れば、じぶんのことを客観的に見ることができ、少し落ち着くことができます。

参考になれば幸いです。

大切な人を亡くしたときの心の反応

心理の用語で死別に伴う様々な心理反応を「悲嘆」といいます。「悲嘆」とは身近な人との死別・別れなど、大切な人を喪失した際に生じる反応のことです。

生命倫理的に早期流産が死別にあたるかと問われると難しいところなのですが、私はとても大きな喪失体験だったと思うので、死別として扱わせてください。

以下の3つが悲嘆の大きな症状になります。

①悲しみや気分が落ち込む心の反応
②睡眠障害や疲労感、食欲の低下など体の反応
③涙があふれる、ぼんやりするなど行動の変化

悲嘆の経験は一人一人違い、悲しみの感じ方や回復の道すじは同じではありません。
誰の悲しみがより深いなどと比べることはできません。
流産で言うと何週目の命であったとしても比べるものではないということです。

悲嘆のプロセス

悲嘆反応のプロセス過程にはいくつかの理論がありますが、今回は哲学者であるアルフォンス・デーケンの悲嘆のプロセス12段階を紹介します。

〈アルフォンス・デーケンの悲嘆のプロセス〉
* 精神的打撃と麻痺状態
* 否認
* パニック
* 怒りと不当感
* 敵意と恨み
* 罪意識
* 空想形成、幻想
* 孤独感と抑うつ
* 精神的混乱と無関心
* あきらめ
* 新しい希望
* 立ち直り

すべての人がこのプロセスを順番通りに体験するとは限りません。
どれかの症状が複数一気におしよせたり、行ったり戻ったりウロウロしながら最終的に立ち直っていくと言われています。
数週間〜半年など期間も人それぞれですし、数年たった時にフラッシュバックのように思い出してしまう人もいるそうです。

私は「あの時の自分の行動がいけなかったのか?」「日頃の行いが悪いのか?」「なぜ私が?」と自分を責めても責めきれませんでした。
こんな風に混乱して自分を責めてしまったり、頑張る気力がなくなったりする心の反応は当たり前のことです。

先に上げた12のプロセスを思い出してください。
それらのどれかひとつでもあなたに起こっているとしたら、全部正常な反応です。大丈夫

悲しみと向き合う

この悲しみは人と比べるものではありません。もしかしたら妊娠したことを誰にも言っておらず、1人で、あるいは夫婦で悲しみを抱えている方もおられるかもしれません。
誰にも言えないということも流産の辛さを助長させる一因だと思います。

悲しみを無理に止めないでください。
やっとあなたのもとにきてくれた命が去ってしまったのですから、悲しくて当然です。
あなたのお腹にいた命の死を悲しんであげられるのは、その存在を知っていたあなた達だけです。

まずは自分に起こる反応を知り、普通のことだと自分を肯定しましょう。その上で悲しみを受けとめる、悲しんでいる自分を認めるというのが1番のセルフケアになります。

どうか心も体もゆっくり休めてください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。


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