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No.61 父と私

 「今が一番幸せなんじゃないかな。」と父は言う。

 今の何が幸せなのか、と私は思う。

 もちろん日々助けてもらっていることには心から感謝している。でも私の求めている幸せとは違う。

 何事もなく過ごすこと、症状が出ないことが幸せというのであれば、私は違うと感じる。

 若年性DLBであることは間違いないし、いつ症状が現れるかコントロールできない全身病で、それをどう大人しくさせたらいいのかなんて医師にだって分からない。

 何事もなく過ごせる日ばかりを求めていたら、私は一生何もできない。むしろストレスフルでどうにかなってしまいそうだ。

 「友人たちとディナーをしたい。」と言った時から、両親は猛反対している。

 理由は分かっている、いつミオクローヌス発作が現れるか分からないから。 

 でも、そんなことばかり心配していたら私は一生を家族としか過ごせなくなる。昼間の限られた時間しか外出できなくなる。

 ましてや一人で出歩けなくなるのかと思うと、その不自由さに深く静かに沈みこんでしまう。

 このまま家族とばかり過ごすことがいいとは、到底思えない。

 両親も高齢になり、弱っていく自らの身体のことだってある。
それを考えたときに、ある程度今から外出の訓練をしておいたほうが、お互いにいいと思った。

 何かあったら何かあっただ。その時に考えればいい。

 周囲に助けを求めてもいいと思う。誰かしら手を貸してくれると思うから。

 私は社会に出たい。周りには迷惑をかけるが孤立したくはないから。

 一人でも大丈夫、何とかやっていけるという自信が欲しい。

 両親にも、この子は一人でも生きていけるという何か確信のようなものをもってほしい(特に不安が強い母に)。

 家族と喧嘩したっていい。私は自分の気持ちに蓋をしたくない。

 もうすぐ七夕だ。切に願う。

 一人で歩んでいけますように。。。

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