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No.38 スマートウォッチ

 4月上旬、インターネットでスマートウォッチを買ってもらいました。機械音痴のため、心拍数や血中酸素の測定、携帯との連携などがうまく設定できませんでしたが、歩数が分かるので「まぁいいか」と万歩計として使用しています。このスマートウォッチの目標歩数は6000歩なのですが、体調によって3000歩に届くかどうかの日々。。。

 主治医に伝えると、「歩くことはとても良いことですが、”足が重たく動かなくなってきた”というサインには注意して歩行するように」との指示がありました。

 家の近くに川があります。川沿いの遊歩道を私のペース(小刻み歩行)で15分程歩くと3000歩いきます。桜並木や四季折々の美しい花々が咲き、ウォーキングやランニング、お子さんやペットを連れて散歩している人たちとすれ違います。

 散歩の途中で何かあったらいけないと、必ず母が付き添いをしてくれます。一人でも大丈夫なのになとか、一人でボーっとする時間が欲しいなとか、少しは母にも自分の時間を持ってほしいなとか、私がいない間に休んでほしいなとか、心の中では思っているのですが、そのことを言うと、喧嘩になってしまいそうで。。。人間には一人になる時間が必要なのです。

 「認知症になる前の私」は普通に一人で散歩していたのに、「認知症になった後の私」は途端に一人の散歩ができなくなります。昨日まで出来ていたことが、何でもない、他愛もないことが、今日には許されなくなります。「認知症」という言葉一つで行動が制限されてしまうのは残念でなりません。心配してくれるのは有難いし、感謝しているけれど、もう少し私を信用して、一人での散歩を許してほしいと思います。

 そして家族にも、もっと自分の時間をもってほしい。私とは関係のない時間や空間を大切にしてほしい。家族が私を大切に思うように、私には何より家族が愛おしい。たまには私より自分のことを可愛がってください、私のことを忘れて、思い切り楽しんで騒いでください、心ゆくまでやすんでください、そう願っています。

 母と私は少しだけ距離をとりながら、時には並びながら、ゆっくりゆっくり歩んでいきます。

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