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No.71 🏥精神科病棟入院生活①🏥

 入院初日、愛らしいテディベアと恐怖の妖精アマビエ(No.69・幻視)に付き添われて私は精神科病棟へ向かいました。

 ロビーで待っていると受け持ちの看護師さんが来て、一緒に精神科病棟へ向かいました。まず驚いたのは二重扉です。インターホーンで許諾を受け一つ目の扉を開け、廊下を仕切った空間に招かれます。初めのドアを完全に締め切った後、その看護師さんはガラス越しに見えるナースステーション内の看護師と目配せをし、二つ目の扉のロックを解錠して病棟へ入りました。

 一番最初に目にしたのは、他の科にはないくらい広々とした廊下(踊り場のよう)でした。その廊下を数人の患者さんが、リハビリでしょうか、反時計回りに歩行している姿がありました。そしてナースステーションから近く、でもどこか隔離されたような別廊下が奥へと伸び、まるで監獄のような個室が並んでいました。私はこの異様な雰囲気に「怖い」と言って看護師さんの手を力強く握りました。

 本当に別空間に迷い込んだようでした。恐がる私を「大丈夫だよ」と看護師さんは優しく声をかけてくださり、私を抱きかかえるようにして踊り場のような廊下に面した個室に案内してくれました。いつも元気な母も、この時ばかりは言葉を失っていました。

 部屋に着くと、病棟についての説明がされました。精神科は他の科と違い、全部の持ち物にチェックが入り、氏名を書かされます。私の時は、男女の看護師さん2名で持ち物のダブルチェックが始まりました。

 服や下着を入れた手提げ袋や日用品を入れたビニル袋(取っ手付き)、鏡のついている小物、化粧品の入ったガラス製品、携帯電話の充電器(コード付き)など、紐類、金属類はすべて持ち帰らなくてはいけません。ただし、携帯電話の充電器や爪切り、ヘアアイロンは看護師さんに預ければ問題ないとのことで氏名を書いて渡しました。他のものも全て看護師さんに尋ね、少し窮屈な思いをしましたが、精神科ならではの事情があるのも分かるので指示に従いました。

 しかし、下着類だけは女性看護師さんのダブルチェックがよかったです。いくら看護師という立場であっても、男性に下着類を検査される行為は自尊心(乙女心)を傷つけます。精神科に入院するとはいえ、羞恥心はあるので配慮してほしかったです。

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