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2021秋アニメ感想まとめ

2021秋アニメの感想をランキング形式でまとめています。


<29位> シキザクラ

評価:B-

お気に入りキャラ:明神逢花

地元が舞台となっているということで否が応でも注目度は高かったが、バトルアクションものとしては極めて凡庸な内容であり、フル3DCGのクオリティも低くたまに手描きがあるともっとひどいという散々な有様。不自然なアングルや長尺による露骨な名物、聖地アピールもキツく、そもそもにして愛知県全域に散らばる神社、公園、旧東海道の町並みなどは、地理的に広範囲に散らばりすぎていて気軽に”巡る”のは厳しそう。いっそこれなら、大須商店街を舞台にした人情ものやらで素直にキャラに萌えさせてくれる方がよほど親しみが沸き聖地感も高くて嬉しかった。総じて、深夜アニメファンの趣味嗜好に媚びるわけでもなく、かといって良くも悪くも”正統派”な選択をしたせいでピーキーな魅力にも乏しく、全体的に非常に物足りない印象を受けた。本プロジェクトの関係者は、『やくも』を全話履修した上でご当地作品とはどうあるべきかについて今一度考え直してほしい。


<28位> SCARLET NEXUS

評価:B-

お気に入りキャラ:ハナビ・イチジョウ

まさかの2クール作品であったが作画クオリティは常に安定しており、シナリオも前期の感想でも述べたとおり原作がしっかりしている分駆け足感や説明不足感もなく作品としての外殻はとても整っていたように思う。ただ、いささか冗長気味に感じたのは否定できず、何か突き抜けた魅力を感じることもなかったのは紛れもない事実。個人的に大いに期待を寄せていたナオミの怪異化の解除も果たされることはなく、物語の最後もビター気味な締め方ということで全体を通じてカタルシスには欠けたというのが正直なところ。思うに、物語の真の醍醐味は原作ゲームでという思惑ありきで構成されている節があり、アニメ勢としてはそんなこと言われても…という感じである。主人公を絡めた恋愛要素がほぼなかったのも残念な点であり、原作でもそうだとしたらこのご時世にかなり思い切った硬派な選択をしたものだと逆に感心してしまうのだがどうなのだろうか…?


<27位> 見える子ちゃん

評価:B-

お気に入りキャラ:四谷みこ

主人公の”みこ”のキャラデザが抜群に良かったのでなんとか完走できたが、ストーリーは正直何が面白いのか分からないレベルだった。みこが”異形なもの”を必死にスルーする様が「ホラーコメディ」としての見所なのだろうが、ひたすら頭には”???”という記号が浮かぶばかり。う~ん、これって面白いかな…?むしろ、見ていて一番面白かったのはみこと弟との尋常じゃない仲の良さっぷりで、「あ、これ絶対本人たちは否定するやつだ…」と即座に感じ取ったものの、特に弟は重度のシスコン(本人に自覚なし)で間違いない。というか、この年頃の姉弟は普通に一緒にお風呂に入るものなのだろうか?あれ、自分の感覚がおかしいのか?なんにせよ、特に気持ち悪いとかはなく微笑ましく見られたのは良かった。弟くんもそうだけど、今期の花守ゆみりさんの男キャラの演技は実に素晴らしい。『ゆるキャン△』のなでしことかとのギャップも含めて、ホント上手いなぁ…。


<26位> プラチナエンド

評価:B

お気に入りキャラ:―

大場つぐみ・小畑健の黄金コンビによる作品だが、もはや「だってゆでだから」で説明できてしまうような独自の作風を築き上げており、些細とはとても言えないような多くのツッコミどころも含めてもうこれはギャグ作品だと個人的には評価している(最も気になったのは、”【翼】は【矢】よりも速く飛ぶことができる”なら翼を持つ者が敢えて矢を放つ意味ってある?という点。矢は放たないと刺さらないのかもしれないが…)。『DEATH NOTE』の時と同様に「人の好意」に絶対的な信頼を置くというのが大場先生の矜持のようだが、設定の中核に置くには不安定でリスキーな要素なのではないだろうか。個人的にはこのコンビには『DEATH NOTE』では敢えて深くは踏み込まなかったキラの善悪論に切り込むような作風を期待していたので、逆に少年誌的なバトルアクションの風味が強くなったのは些か残念であり、『DEATH NOTE』アフターを企画してもらえた方が嬉しかったかも…。


<25位> プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~

評価:B

お気に入りキャラ:柳田薫子

「アイスホッケー×アイドル」という新たな試みだが、アイドル要素はほとんどなかったような…。というか、最終話の「ビクトリーダンス」のパフォーマンスのレベルが高すぎて、いつこれ練習してたんだよ!って逆にツッコミたくなったぐらい(笑 スポーツものの例に漏れず、時に衝突しながらもチームの仲間と絆を紡ぎながら勝利を掴むという王道展開に満足感はそれなりにあったものの、「アイスホッケー」である必要性はあったかな~という点はやはり避けては通れない。そんな中、幼馴染の真美との別れと再会のシナリオは秀逸であり、”離れてしまうこと”について真摯な描写がなされていたように思う。キャラデザは某アイドル作品に寄せているようにしか見えなかったが(特に愛佳と彩佳は髪と目の色も同じ○歌とヨ○ネにしか見えない…)、もうこれは確信犯なのでは。総じてスマホゲーの宣伝的な意味も含めて、良くも悪くも型にハマった作品といった印象であった。


<24位> 海賊王女

評価:B+

お気に入りキャラ:花梨かりん

作画は非常に美麗であり主人公のフェナの美しさは特に際立っていたのだが、いきなりの髪バッサリイベントにガックリとなった人は多いのでは…。もちろん自分もその一人であり、ベリーショートの状態が長く続かなかったのは幸いであるが、話数を追うごとに髪が伸びるという演出もできれば欲しかった。もう一人の主人公といえる雪丸も子供の頃の面影が感じられない妙に大人びたイケメンになってしまい、最後までその姿に馴染めなかった感がある。ストーリーは昨今では珍しいいわゆる「セカイ系」に収束することになるのだが、いまひとつパンチには欠けた印象。個人的には全体のシリアスなストーリーよりもコミカルな日常描写の方が圧倒的に魅力的であり、もう少しキャラに寄せるような演出をしてくれた方が断然見やすかったと思う。総じて”雰囲気”は名作感を帯びていたものの、どこが良かったかと問われると答えに窮してしまうような惜しい作品であった。


<23位> サクガン

評価:B+

お気に入りキャラ:メメンプー

序盤(というより1話)では本作品の主題たる”父と娘”の絆の描写、そしてリンダとその父のあまりにあっけなくも衝撃的な最期に非常に”濃い”ドラマ性を感じ大いに期待は高まった。しかし、「ラビリンス」に突入してからはどうにも展開が退屈に感じ、物語がどこに向かっているのかも曖昧になってしまっているように思えた。反面、メメンプーについてはキャラデザも良好で、大規模なオーディションで選ばれただけあって天希かのんさんの演技もそれだけでキャラを立たせてしまうぐらい素晴らしかった。”父と娘”というテーマは個人的に大好物なものの、本作品についてはガガンバーがメメンプーを基本溺愛しており、言うなれば「必死に守って当たり前」に見えてしまったところが少しドラマとしては弱かったかもしれない。なので、「あのどうしようもない父親が…」という要素がもっと強ければさらに感動できる展開になった説を推したい。2期は果たしてあるのかしら…。


<22位> 逆転世界ノ電池少女

評価:A-

お気に入りキャラ:黒木ミサ

「軍国主義を維持したまま永世昭和の世を続ける並行世界による征服に立ち向かう」というテーマはなんとも重厚であるが、その設定がそこまで有効活用されていたようには思えず、いっそ細道たちとは異なるアナザーサイドの”ガランドール”&”電池少女”を設定し、ラブコメも交えつつ彼(女)らとのバトルアクションに特化していた方が面白かった気がする(敵軍への惚れた腫れたによる移籍とかがあっても面白そう。)。”電池少女”の個性によって機体の外見と性能が変化するという設定自体は良好で、メカデザインも等身が低めかつコミカルで”ヒノモト”の要素もあり非常に自分好みだった分、余計にそう感じてしまう(なお、一番のお気に入りは真誅軍サイドの”白狼”だった模様)。また、各キャラのファンに対する配慮なのかもしれないが、無難なハーレムエンドではやはりストーリーとしては物足りなさが残り、ここは覚悟を決めた漢らしい選択を是非見たかったところ…。


<21位> SELECTION PROJECT

評価:A-

お気に入りキャラ:山鹿栞

全国オーディション系のアイドル作品。こうした作品では各キャラに推しが付くのが常であるからセレクションの脱落者へのフォローはどうするのか気になっていたのだが、コンセプトを根底から覆す脱落者ゼロという超絶無難な落としどころにズコーっとなるかと思いきや、ストーリーを追っている内に各キャラに情が移ってしまいむしろ”然り”と思えてしまったのは我ながらチョロすぎか…(笑 鈴音と玲那、そして伝説のアイドルである天沢灯の設定が『IDOLY PRIDE』に酷似している点についても、これにGOサインを出したこと自体は驚愕であるものの、本作品単体として見れば二番煎じ感に目を瞑ればシナリオとしては悪くはなかった。作中では「GAPsCAPs」が特にお気に入りだったが、中でも自信家の”お嬢”が一推し。彼女の出身が地元の愛知県だったのも嬉しく、八十亀ちゃんといい猫っぽいキャラデザにしてしまうのはやはり方言の「みゃあ」という語感からだろうか…?


<20位> 86-エイティシックス

評価:A

お気に入りキャラ:フレデリカ・ローゼンフォルト

さすがのA-1 Picturesでありアニメ作品としてのクオリティは申し分なく、個人的には第2の『SAO』的立ち位置の作品として爆発的な人気を博していてもおかしくないポテンシャルは存分に秘めていると感じた。ただ、せっかくの分割2クールにもかかわらず制作スケジュールは逼迫していたようで、後半は本編がほぼ隔週放送でとにかくテンポが悪かったのは残念でならない(ラスト2話も3月まで放送延期に…)。また、全体を通じて良くも悪くもあまり視聴者に媚びずに淡々と俯瞰的視点から政治と戦場のリアルを描く構成は直情的な魅力には欠け、素晴らしくもどこか物足りないという印象は常に残った。そんな中、各話のサブタイトルの英訳表記が毎週の楽しみで、特に「Episode13 今更そんなこと(It‘s Too Late)」は和訳⇔英訳の互換性が秀逸で思わず唸ってしまった。フレデリカも令和の「のじゃロリ」としてすごくいいキャラだし、ホント何か惜しい作品なんだよなぁ…。


<19位> 結城友奈は勇者である-大満開の章-

評価:A

お気に入りキャラ:乃木園子

毎回これで完結かと思ったら続編が始まるので疑心暗鬼になってしまう部分はあるのだが、おそらくこれで大団円を迎えたと捉えてよいのだろう(スピンオフ作品はいくらでも作れそうではあるが…)。やはり本作品は”何かを得るための代償”がその醍醐味の大きな部分を占めており、『-大満開の章-』では「ぐんちゃん」こと郡千影のエピソードが最も印象的だった。そういう意味では、今期の結城友奈たちの物語は締めの段階に入っており、神樹様のことわりからの解放が主に描かれ”失うもの”には乏しかったため、本来最大のクライマックスであるはずの場面がエピローグ的なものにしか思えなかったのは皮肉なものである。であるので、1期の”生き神”が代償を支払った〔禁則事項〕であった衝撃や〔禁則事項〕の壮絶な最期が描かれた『-鷲尾須美の章-』が個人的には最も心に響いたシリーズであった。あと本作品に心残りがあるとすれば、最後まで「東郷さん」だったことかなぁ…。


<18位> takt op.Destiny

評価:A

お気に入りキャラ:アンナ・シュナイダー

原作に「広井王子」の名前があれば、自分のような年代の人間はどうしても期待してしまうもの。そして、絶賛とはいかなくともスッと染み入る心地よい余韻を残してくれるのはさすがである。アニメの狙いには来たるスマホゲー版への導入があると思われるが、その目的は十二分に果たされたのでは。正直、作品としてはかなりツボにはまった感がある。姉妹のコゼットとアンナ、そして”運命”はキャラデザ、キャラ設定共にかなり好みで(特に”運命”の赤いアイラインは◎)、”運命”のキャストが『空青』から注目している若山詩音さんだったのも好印象。キャラとしては無機質な演技を求められたのだがハマり役だったように思う。そして、主人公であるタクトに彼女らからの暗黙の好意が向けられているという要素はことさら大きい。スマホゲー版でも彼の分身としてプレイできるようだが、アニメの続きをそのまま描くのは難しそう。これは、導入部分だけでもやってみるか…。


<17位> 半妖の夜叉姫 弐の章

評価:A

お気に入りキャラ:りおん

個人的には1期も含めた3クールの中で一番面白かった。なんというか、これまでは『犬夜叉』の続編としての魅力ありきだったのが『半妖の夜叉姫』として楽しめるようになってきたという感じで、ようやく初代のキャラの方をサブキャラとして受け入れられるようになったなという心地である。特に『弐の章』で新たに登場した麒麟丸の娘であるりおんはキャラデザも性格もツボにハマり、毎回「ええい、もっと彼女に出番を寄こせ!」といった感じで視聴していた(笑 また、せつなが”夢の胡蝶”から解放されて見られるようになった寝姿はとても愛らしく、OP後の提供画面のとわとせつなの反転も非常に良い演出。さらに、”朔の日”の着物姿のせつなに至っては反則級の可愛さであった。殺生丸のりんや娘たちへの愛情もかなり分かりやすくなってきたのは賛否両論かもしれないが、自然な変化として個人的には受け入れたい所存。話の流れ的には次クールで締めなのかなぁ…。


<16位> 世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する

評価:A

お気に入りキャラ:タルト

今期の異世界転生枠。作風としては『グリザイア』シリーズの風見雄二のように、与えられた役割に忠実な暗殺者が淡々と”仕事”をこなしつつ、女性の扱いに関してはややズレた対応ながらもどこかコミカルさが垣間見えるなど共通点も多く、スイスイとあっという間に視聴できてしまった印象。転生前のイケオジのままでも他作品との差別化としては有用だったと思われるが、ヒロインを”たらす”ことも任務遂行の上で重要なファクターであるので、そういう意味では主人公がイケメンであることに必然性があるのもなかなか興味深い。ヒロインズは誰もが魅力的だったのだが、ルーグを心から慕いながらも彼の”道具”として生きることを必死に受け止めるタルトの健気さが特に印象的であった。”勇者”を殺すという使命への到達までは描かれなかったのは残念だが、アニメとしての出来は良かったので、2期…なんなら劇場版でも構わないので結末までの映像化を望みたい。


<15位> 王様ランキング

評価:A+

お気に入りキャラ:ヒリング

近年のノイタミナ枠としては『四月は君の嘘』以来となる2クール作品。予告CMの段階では絵柄が全く好みでなかったので期待値は低かった反面、名作だという噂は聞いていたのでどんなものか…という心持ちでの視聴であったが、なるほどと思わされるものは存分に感じることができた。特に個人的に刺さったのはボッジにとっては継母に当たるヒリングの愛情であり、得てして自分が生んだ子だけに偏った愛情を注ぐという描写がなされがちな立場でありながら、ボッジにとっての母親にも本気でなろうとする奮闘ぶりに涙腺が大いに刺激された。そして見逃せないのが、足りないものを多く持つボッジも「王」としての野心を大いに心の内に秘めている点である。そうして、各々が人生で貫きたい矜持とは何か、「強さ」とは何なのかといったテーマ性が随所に感じられ、絵柄の印象からは想像もできない奥深さが本作品の魅力の根幹となっているのは間違いない。


<14位> マブラヴ オルタネイティヴ

評価:A+

お気に入りキャラ:煌武院悠陽こうぶいんゆうひ

自分の敬愛するゲーム『君が望む永遠』の製作会社âge原作の人類と地球外起源種”BETA”との極限戦争。長らく手を出せないでいた作品だが、アニメ化というきっかけに感謝。1話のハードなグロ展開は衝撃的であった反面、十分な魅力もあったのでこのままの流れを期待したのだが、その後は”BETA”との直接戦闘の描写はなりを潜め、人間同士の内戦へとシフトしてしまったのはちと残念。そもそもが続編の話であるので初見勢は置いていかれがちな面もあるのだが、武が時折過去について説明めいた台詞を喋ってくれるので大まかにでも今の状況が理解できたのは良かった。また、政威大将軍の悠陽は凛とした佇まいの中にも威厳があり、世が世なら自分も心酔していたかもしれない。かつての日本の美学というか思想的な観点にまで踏み込んでいるのは作品としては大いに骨太感を感じるものであり、名作と称されるだけのものはあったと感じられる1期であった。


<13位> 鬼滅の刃 無限列車編/遊郭編

評価:A+

お気に入りキャラ:栗花落つゆりカナヲ

自分には物語の中途にも関わらず劇場版でメインストーリーを進めてしまうのは下策だという持論があるのだが、これは多数派だろうか?(逆にメインストーリーであっても「完結編」ならアリ)。つまり、TVシリーズだけでメインストーリーの繋がりに空白を作らないようにするのが制作側としてのあるべき姿勢だと思っているのだが、今回の『無限列車編』のTVシリーズ化は劇場版を鑑賞していない視聴者にとってのフォローにもなり、焼き直しではなく制作側の誠意として受け止めている。これはある意味劇場版が総集編であったという捉え方もできるもので、このまま「総集編映画→TVシリーズ」という流れが定着しても個人的にはアリだと思っている。続いての放送となった『遊郭編』については、てっきり”恋柱”の出番かと思いきや”音柱”の登場だったのは意外だったが、このペースで全ての”柱”が活躍できるのか?という素朴な疑問が…。なんにせよ、今は素直に楽しみたい。


<12位> 異世界食堂2

評価:A+

お気に入りキャラ:アレッタ

2期でもその安定感は変わらず。完全に作品としてのスタイルが確立しているため、このままいつまで続けても変わらぬ魅力を我々に提供してくれるだろう。見ていると、色々ツッコミどころというか気になる点は枚挙に暇がないのだが、ガイドブックみたいなものがあれば欲しいんだけど売ってないのかしら…。こちらの世界との換金レートとか、各キャラが毎回どれぐらいの量を食べているのかとか、滞在時間とか、デザート系は全て外注しているのかとか、そもそもの料理の値段とか…etc. 料理への解説はややもすればワンパターンになりがちだけど、本作品においては感想を語るのが異世界の住人なので、まず料理や食材そのものに対する驚きと感動が見られるのがこちらにも新鮮であり、何回見ていても飽きない。そんな中で、砂の国の王子と帝国の第一皇女が結婚するなど親しみのある住人たちの感慨深い場面が見られたのも嬉しく、3期も是非制作してほしい。


<11位> やくならマグカップも 二番窯

評価:A+

お気に入りキャラ:豊川姫乃

「準地元が舞台だからちょい贔屓目で見てみるか」から始まり、作品としての評価はそこまでだった1期。であるからして、直後の2期決定には驚きを隠せなかったというのが本音なのだが、今ならこれは”良い意味での既定路線”であったと納得できる。それぐらい『二番窯』の作品としての伸びしろは素晴らしく、1期と2期をまとめて2クール作品として放送するのが相応しかったのではないかと思えるぐらい続編としての”然り”という感覚を随所に感じ取ることができた。その中でも特に良かったのは十子と祖父との永保寺での会話シーンで、「青い夏もええが、真っ赤な秋もええなぁ」「分からんか…分からんわなぁ…」という台詞には普段察しの悪い自分でも即座に「上手い!」と称賛してしまった。またしても姫乃渾身のマグカップの完成には至らなかったのは若干苦笑いだったが、これは未来に可能性を残したと捉えて良いのだろうか。また、聖地巡礼も行ってみようかしら…。


<10位> ジャヒー様はくじけない!

評価:A+

お気に入りキャラ:魔法少女(※デレた後)

前期の感想では厳しい評価となってしまった本作品。今期も当初は概ね似たような印象だったのだが、魔法少女がジャヒー様に傾倒(もとい依存)するようになってからは状況は一変。正直、謎の正義感で魔石集めの邪魔ばかりするので若干煩わしく思っていた彼女だが、「ジャヒー君!」という呼称がものすごくツボに入ってしまいそこからの流れは面白くて仕方がなかった。味方になると弱体化というのはよく聞くが逆に強くなってしまったというのはこれいかに…。さらに相乗効果により、独りよがり感の強かったドゥルジのキャラも魔法少女と張り合うことでギャグとして大きく魅力が増し、個人的には作品として化けた瞬間を目の当たりにした感がある。あと、なにげにジャヒー様の「○○なん?」という口調もすごく好きなことに気付いた件。満を持して登場した魔王様のキャラはまだ消化しきれてない感はあるが、ようやく自分も素直に楽しむことができた後半戦であった。


<9位> 古見さんは、コミュ症です。

評価:A+

お気に入りキャラ:尾根峰ねね

作画・演出・劇伴といった要素がことごとく高クオリティ。特に劇伴は「きた!メインテーマきた!これで勝つる!」と言っても過言ではない。ただ、結局は1話が一番尊かったという結論は完全に予定調和であり、「古見さんと只野くん」という二人の関係性をもっと突き詰めていく展開の方がより好ましかったのは確か。そんな思いもあり賑やかなクラスメイトの存在も良し悪しといったところで、穿った見方をしてしまえば連載作品であるが故の尺稼ぎにどうしても感じられてしまった。ただ、そんな中でもコミュニティの潤滑油たるなじみと唯一二人の関係性を察して背中を押してくれる尾根峰さんの二人はたしかに必要な存在だろう(ちなみに、なじみの中の人が村川梨衣さんだったのはけっこう驚いた。)。突き詰めれば、本作品も”男女間の友情は成り立つか”という永遠の命題を内包しているに外ならず、二人の感情が何なのかはこれからも徐々に紐解いていってほしい。


<8位> メガトン級ムサシ

評価:A+

お気に入りキャラ:霧島ジュン

ロボットアクションとしてもヒューマンドラマとしても非常に質が高く、今期の『電池少女』以上に視聴者の中の”少年”に語り掛けてくる展開が非常に熱かった。大和たちが乗り込む”ローグ”の設定は非常に練り込まれており、各機体が外見・性能とも非常に個性的で差別化がなされており、各々の長所を生かした戦いぶりは迫力満点。また、数多の武器・必殺技の中から状況に応じて最適なものを選択し、顕現・発動させるという設定は男のロマンを大いにくすぐり、これは是非ともゲーム版で動かしてみたくなる。ただ、ゲーム版の宣伝を見る限りでは機体のカスタムの選択肢が膨大すぎて最適解を見つけるまでが大変そうだなという印象。この点、『カスタムロボ』のような操作感とカスタマイズ性、そして優良なシナリオに恵まれれば負けず劣らずの名作になるポテンシャルは秘めているのでは。ストーリーもかなり続きが気になる終わり方だったので、2期の放送が待ち遠しい。


<7位> 白い砂のアクアトープ

評価:A+

お気に入りキャラ:照屋月美

前半戦で下地を作り上げた上での満を持しての後半戦。くくるの新たな職場である「アクアリウム・ティンガーラ」での慣れない営業職での悪戦苦闘は、正に”お仕事シリーズ”の本領発揮であり非常に良かった。ただ、話のターニングポイントとして非常に分かりやすかった反面、『凪のあすから』のような劇的な仕掛けを期待していた身にとっては、旧「がまがま水族館」のメンバーが全員移籍したことの是非も含めもう一捻り欲しかったところ。恋愛要素がほとんど無かったことも物語の”コク”という観点からは少し薄味に感じたかもしれない。そんな中、絶賛したいのは知夢の隠れた事情が明かされた16話。仕事と子育ての両立というリアリティのあるテーマを、ギリギリのラインでエンタメに落とし込む手腕はさすがのP.A.WORKSだなと感心しきりであった。総じて方向性は最後までブレず、”お仕事シリーズ”に名を連ねる作品として順当な出来栄えの作品だったといえよう。


<6位> 真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました

評価:A+

お気に入りキャラ:リット

とにもかくにもキャラデザが最の高。ヒロインのリットがもう可愛すぎてそれだけでお腹がいっぱいになってしまった。ストーリー?まあ、こんな感じでいいんじゃないか?(適当 とにかく四六時中リットを愛でさせてほしいだけの人生だった。エロシーンもといレッドとリットがイチャつきながらベッドインしたり一緒にお風呂に入ったりするシーンはTV放送基準としてはかなり攻めており、二人がお互いに照れる描写が甘々な雰囲気満点で丁寧かつ繊細に描かれていたので、とにかくものすごくキて仕方がなかった…ナニにとは言わないけど。リットのみならず、レッドの妹かつ勇者でもあるルーティも負けず劣らずの破壊力であり、キャラデザの渡辺るりこさんはこれまで名前を存じ上げなかったのだが一気に大ファンになってしまったので、今後関わる作品は要チェックしていきたい。しかし最終話の締め方も良かったし、これが自分の求めていた理想的な『俺妹』なんだよなぁ…。


<5位> 先輩がうざい後輩の話

評価:S-

お気に入りキャラ:五十嵐双葉

「これこれ、こういうのを見たかったんだよ」と思わず言いたくなる奮闘社会人の日常ラブコメ。社会人の身からすると”職場”という現実を描くに辺り色々眩しすぎるきらいはあるが、こういう”理想”を描く作品が一つぐらいあってもいい。本編は大きく五十嵐&武田パートと桜井&風間パートに分かれるが、自分は断然前者派。ここまで来たら、いっそフィクションに振り切ってしまっている方が心地よい。個人的な意見を述べれば、本作品の一番のフィクションは武田先輩という理想の先輩像である。得てして同年代の男性社員と比して優秀であることも多い女性社員を指導する立場において、その能力を完全に上回り焦燥感は微塵も抱かない(ように見せる)のは結構難しいことで、その上で「頼りにしてるぜ」と伝えられる度量は中々持てないものである。なので、本作品には実は女性にとっての理想を描く側面もあり、それがヒットの要因の一つでもあるのではないだろうか。


<4位> ブルーピリオド

評価:S-

お気に入りキャラ:城田

これほど、「美術監督」「美術設定」という役職に興味が沸く作品もそうそうあるまい。扱うテーマの珍しさに目を引かれがちになるが、”美大受験”という闘いの中で各々が自分の心と向き合いもがき苦しみながらも前に進んでいく姿の描写は非常に丁寧かつ繊細であり、その現場をドキュメンタリーで追っている様であった。八虎が元々成績優秀なリア充だったことも物語のポイントであり、世田介の言う「美術じゃなくてもよかったクセに」というのは最もな指摘。けして裕福ではない家庭の事情も相まって、なおさらなぜわざわざ?という思いは募るが、”絵”に魅せられた八虎のそれらを黙らせるパワーこそが本作品の大きな見所だったといえよう。また、龍二役の花守ゆみりさんの絶妙な演技が、彼「女」の魅力を大きく底上げしていたのも素晴らしかった。どうやら”大学編”もあるようなので興味は尽きないが、テーマとしてはさらに難しくなりそう。作者の力量に期待である。


<3位> 月とライカと吸血姫ノスフェラトゥ

評価:S-

お気に入りキャラ:イリナ・ルミネスク

今期の作品群の中でも脚本の完成度はトップクラス。史実をなぞりつつも「人類史上初の宇宙飛行士は、吸血鬼の少女だった」という発想は実に面白く、吸血鬼であるイリナが実験体として利用されながらもけして夢と誇りを失わず、監視役のレフに淡い恋心を抱くようになる過程には思わず胸がキュンとなった。そして、二人がそれぞれの偉大なる”史上初”の有人飛行の最中にお互いにしか分からない言葉で称え合い、相手への感謝、そして愛を語る演出はまごうことなき感動の嵐であった。林原めぐみさんによるイリナの演技も抜群に良く、台詞一つ一つへの惹き込みはさすがという外ない。EDのアングルの変化も個人的には大のお気に入りで、常にイリナの後ろにカメラが回り込みその表情を隠す演出は実に粋であった。これらの素晴らしい演出に加え、伏線、過程を丁寧に描きながら1クール作品としてかくあるべきという心地よい余韻を残してくれた本作品に感謝したい。


<2位> 無職転生 ~異世界行ったら本気だす~

評価:S

お気に入りキャラ:エリス・ボレアス・グレイラット

もはや説明不要の(色んな意味で)神クオリティを約束してくれる実力派作品。世界観を徐々に広げつつも、主要な登場人物は厳正に数を絞っている点も含め作品としての完成度は非常に高く、ルーデウスに潜むスケベ根性にもかかわらず格式の高さすら感じてしまうのは、やはりその神作画のおかげに他ならない。本作品において、ロキシーとエリスはヒロイン論争において二大派閥を築いていることと思われるが、ここまでエリスの魅力を前面に押し出されるとそちらに気持ちが傾かざるを得ない。ロキシーも涙の帰郷という見せ場はあったものの、こうした”究極の二択”を迫られた際に”勝気な性格”という要素は(しおらしくなった時のギャップも含めて)やはり強く、ロキシーの”慈愛”の要素を抑えて現在はエリス派であると宣言したい(震え声 ルーデウスの元に”女”を置いて去ったエリスの今後も気になるが、ひとまずは制作陣に最大限の賛辞と感謝を贈りたい。


<1位> 大正オトメ御伽話

評価:S

お気に入りキャラ:立花夕月

「大正」——なんて魅惑的な言葉の響きだろうか。それを枕詞にすれば、乙女の可憐さは一気に満開の花を咲かせることになる。事故で母と右手の自由、そして父の期待を失い厭世家ペシミストとなった珠彦の心を夕月が健気に甲斐甲斐しくお世話をして温かく溶かしていく様は、正に”純愛”そのものである。夕月が珠彦に当てがわれた経緯は現代基準だと人権侵害も甚だしいが、本作品の真骨頂はそのように望んで一緒にいることになったわけではない二人であっても、本当の意味での”夫婦”になれるという古き良き価値観をなお美しいものとして現代に甦らせた点にある。そしてそれを珠彦にとっては従順で都合の良い存在ではなく愛しくて守りたくなる存在、そして夕月にとっても自分を慈しみ大切にしてくれる存在として丁寧に描いたのが本作品なのである。なお、夕月は髪を解いた時のモッサリ感や実は隠れ巨乳な点もツボにハマり、ヒロインとしても実に魅力的であった。



<劇場版6位> 劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!

評価:B+

お気に入りキャラ:マキナ・中島

タイトルとキービジュアルから『BanG Dream! FILM LIVE』的な作風を勝手に期待していたのだが、いざ鑑賞してみるとライブ感は従前と大差無く、さらにΔ完結編ともとれる重めの展開でもあったためかなり戸惑ってしまった。最終的にタイトルの「絶対LIVE」というキーワードに帰結する展開は熱いと言えなくもなかったが、実にマクロスらしいのであろうビターな物語は、Δしか履修していない自分のような初心者にはエンタメ的な観点からは疑問を感じた。生きる時間の異なるウィンダミア人と多種族との恋路の約束された結末だとしても、あまりにも生き急ぎ過ぎたという印象は拭えず、当人同士の納得感はあれどもっと他に方法は無かったのかという思いは否定できない。今回の目玉の一角であろう”ヤミキューレ”も思いの外出番が少なく、せっかくの良い素材を生かし切れていなかった感がある。本劇場版にマクロスファンは納得しているのか、とても気になるところ…。


<劇場版5位> サマーゴースト

評価:B+

お気に入りキャラ:春川あおい

『君の膵臓をたべたい』の装画や『月がきれい』のキャラデザで知られるloundraw氏が初監督を務める上映時間40分の短編映画。正にタイトルを地で行く夏の亡霊と少年少女たちとのひと夏の交流は、各々の身に”死”の香りを纏いつつも過去を過去にしていく「今」、そして未来へと繋がる「今」を儚く静かに描いていく。尺の都合上、展開に劇的なものは望めないのでどちらかといえばその雰囲気を味わう作品なのだが、作画・演出の重厚さは大作には及ばないもののloundraw氏によるシンプルだが透明感のある絵柄を堪能するには十分な出来栄え。例えが難しいが、感性の若い実力派の映像関係者がプロトタイプとして制作した短編映画といった趣で、いずれ巨匠になる監督の初期作品となってくれたらといったところだろうか。このような短編映画を単独で上映するのはちとハードルも感じるが、試み自体には賛成なので映画業界の前向きな挑戦として受け入れたい。


<劇場版4位> フラ・フラダンス

評価:A-

お気に入りキャラ:―

「フラダンス」を題材とした新人フラガール成長物語。スポ根系作品のノリもあり、最初はギクシャクしていた仲間との絆や進路に反対していた家族との和解など涙腺が刺激される場面も少なくなかったが、良くも悪くも「題材が珍しい」という点が一番のアピールポイントだったかなぁ…ということに集約されてしまう気がするのはちと残念。作画・演出面も「劇場版作品」という基準を当てはめると凡庸と言っていいクオリティ。また、キャストにディーン・フジオカの名前があったので、オタク的観点からは『ユーリ!!! on ICE』のOPのような楽曲も期待していたのだが、特にそんなことはなく台詞のみだったのも若干肩透かし。予告CMで耳にしていた主題歌の『サンフラワー』は期待値が高かったので、クライマックスシーンでこれが流れていればまた違った評価になった可能性はある。総じて、吉田玲子脚本の安定感は揺るぎなかったものの、全体的にもう一押し欲しかったところ。


<劇場版3位> 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア

評価:A

お気に入りキャラ:―

本編の前日譚であるゼロの物語。本作品ではアスナの原典に焦点が当てられており、彼女を『SAO』へといざなった友人の”ミト”が新たなオリジナルキャラクターとして描き下ろされている。この点、本編との整合性はどうなるのかと思っていたのだが、なるほどそう来たかという「別れ」までの物語は人間の本性を醜くもさもありなんという存分な説得力と共に描き、「——でも、これからは一緒には行けない」という悲しくも前向きな着地点は見事であった。なぜこのタイミングで?という疑問は残るものの、様々な展開に波及した本シリーズの原典にはやはり『SAO』の根幹的な魅力が詰まっており、ファンの心理としても当然見たかったであろう時系列の物語は”然り”と素直に首肯するに相応しいものだったといえるだろう。映像面や音響面はさすがのA-1 Picturesクオリティであり安心感しかなかったので、「プログレッシブ」シリーズと本編との邂逅の日が今から待ち遠しい。


<劇場版2位> 劇場版 呪術廻戦 0

評価:S-

お気に入りキャラ:―

アニメ業界としても満を持しての公開となったであろう劇場版。その実力は「約束された勝利の剣」とも形容できるものであり、各所の期待を裏切らないものであったといえるだろう。内容としては、本編開始前のいわゆる「ゼロ」の物語であり劇場版作品としては王道の選択肢。ストーリーが本編に直接的に影響せずあくまでも補完として働くというメリットがある反面、主役に抜擢された乙骨憂太の「こんなキャラいたっけ?」感は否めなかったが、圧倒的な映像クオリティにただただ圧倒されるだけの105分であった。個人的な見所としては、乙骨と同級生たちが徐々に信頼関係を築いていく過程であり、真希が乙骨に惹かれていく描写にも思わずニンマリ。乙骨が特級呪術師としてこれからもその実力を遺憾なく発揮していきそうな着地点も然りといったところで、本編での活躍も楽しみである。しかし、それにしても公開後数日間の上映回数の多さは凄まじかったなぁ…(驚


<劇場版1位> アイの歌声を聴かせて

評価:S

お気に入りキャラ:シオン

「人間とAIの在り方」という存分に手垢の付いたテーマではあるが、吉浦監督が自ら原作・脚本を兼任しているだけあり、試験中のAIである”シオン”を中心に各キャラクターの立ち位置と役割が明確かつ、脚本も伏線を上手く散りばめつつ芯の通った感動も辞さないものとなっており、非常に作品としての完成度は高かった。なによりも良かったのはシオンによる劇中歌であり、演出的には唐突感がアリアリなのだが(多分にミュージカル的ではある。)、そんなことは関係ないと言わんばかりの抜群の吸引力に毎回一気に心を持っていかれた。女優の土屋太鳳さんが歌っていたのだが、ただ上手いだけではなくアニメ的な魅力をも存分に含んでいるのが実に素晴らしく、まさにこれしかないというベストな人選だったのでは。キービジュアルのポップさで多少割を食っていたきらいもあるのだが、映像・演出面も気合が入っておりもっと話題になってもおかしくない秀作であった。

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