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2021夏アニメ感想まとめ

2021夏アニメの感想をランキング形式でまとめています。


<29位> D_CIDE TRAUMEREI THE ANIMATION

評価:B-

お気に入りキャラ:ジェシカ・クレイボーン

アニメ&スマホゲーを媒体とするメディアミックス作品。視聴継続のボーダーラインを長らく彷徨っていたが、ジェシカ回まで判断は保留と決めていたら全く彼女の素性は明らかにならず、見事に最後まで視聴することになった模様。これは、制作陣の狙い通りなのだろうか…。ゲーム版の主人公もサブキャラとして登場するゆえか、アニメ版の主人公である龍平が見た目も含めて三枚目成分が多く、本来ならヒロインポジションであるはずの玲菜れな愛莉えりの態度が妙に現実的で生々しかったのも見ていてけっこう微妙な気分に。これが、ゲーム版ではそっちの主人公に惚れるとかいう展開だったらなんというNTR…。そういうこともあり、一歩引いた立場で淡々と任務をこなすジェシカ(見た目小学生)が一番可愛く見えるという謎の結果に。そして、公式サイトのキャラ紹介によるとなんと彼女の年齢は31歳…だと…?どう見ても大好物です。本当にありがとうございました。


<28位> 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X

評価:B-

お気に入りキャラ:メアリ・ハント

カタリナが魔法学園における破滅フラグを回避した後のストーリーであり、登場人物の相関関係も完全に固まっていることから、単に卒業までの後日談及び突発的な事件を描いているに過ぎず、面白みには欠けたというのが正直なところ。放送後には劇場版の制作も発表されたが、カタリナが魔法省に入省してから再び破滅フラグを復活させるのなら、そこまで時系列を飛ばしてそれを2期にすればよかったのに…と思わざるを得ない。もちろん、各キャラに思い入れがあるファンにとってはカタリナたちの学園生活の続きが見られただけでも嬉しかったのだろうが、それなら無理に深刻な事件を起こさずとも、ニコルのお見合いの話のように各キャラを順当に深掘りしていくような構成に徹した方がファンサービス的な観点からもポイントが高かったのでは。総じて、メインストーリーとしてもサブストーリーとしてもどっちつかずの中途半端な内容になってしまった印象である。


<27位> ピーチボーイリバーサイド

評価:B-

お気に入りキャラ:ウィニー

「桃太郎」を「ピーチボーイ」と英訳するのはちょっとどうなんだと思わなくもないが、つまりはそういう物語。良くも悪くもキャラデザがその魅力の多くを占めており、最初のワンカットにサムネバキュームされたのが全ての始まりである。サリーのテカテカのスキニーパンツは(大人的な目線から)大いに目の保養になったが、ストーリーとしては当時の少年たちの性的嗜好の形成にも一役買った名雑誌「ボンボン」に相応しいような、ちょっとHである程度の尺が必要な作品であった印象であり、いくらクールを信じようともこの尺では如何とも評価し難いというのが正直なところ。そういう意味では、ホーソンが主人公であった方がそうしたイベントも描きやすく好ましかったまであるが、彼とウィニーとの時を超えたロマンスなども個人的には見たかった。なにげに時系列が意図的に前後している箇所があり戸惑ったのだが、これは何か意味があったのだろうか?教えてエロい人。


<26位> ジャヒー様はくじけない!

評価:B

お気に入りキャラ:店長

日常系要素のある魔族ものといえば、一世を風靡した『まちカドまぞく』は記憶に新しいが、本作品にそれを期待するとけっこう残念な気分になるかもしれない。人によりけりだとは思うが、こういう作品において主役のキャラが刺さらなかったというのは致命的であり、自分にとっては多くの時間を退屈に費やしてしまった。本作品の正しい楽しみ方はジャヒー様に”萌える”ことだと思うのだが、いかんせん可愛く感じない。元魔界№2のプライドゆえか、根が我儘な性分なのは大変結構なのだが、我儘というのは好意を持って甘える相手あってこそ萌え要素となり得るのである。そういう意味では店長やドゥルジは微妙にそれには該当せず、ジャヒー様が独りよがりで気の毒なだけのキャラに見えてしまうのが現状である。本作品のコンセプト的に今後もこの状況が劇的に変化することは考えにくいが、それならもっと調子に乗るジャヒー様を見てみたいというのが本音である。


<25位> ひぐらしのなく頃に卒

評価:B

お気に入りキャラ:園崎魅音

「あなたは今どこで何をしていますか?」から始まる『you』の歌詞に帰ってきたと思えば最終話で全て報われた感はあるが、作画面含め最初からこれをやってくれていたら感は否めない。『卒』における物語の裏側の描写は”解答編”としてのあるべき姿だったとは思うが、沙都子の物語としての旧作との対比となると結局は「勉強したくないから雛見沢に残る」では結論としてあまりに頼りない。あえて”沙都子編”の見所を挙げるとすれば、鉄平の改心であり最後まで「きれいな鉄平」を貫き通したのは個人的に評価したい点。物語の着地点にそれなりに納得できたのも沙都子に安心して帰れる「実家」ができたからであり、これからの雛見沢での生活もそれなりにやっていくのだろう。総じて、「今回はこれぐらいにしといてやるか」というノーマルエンドであり大団円らしさは薄かったのだが、旧作も結末の一つにすぎないと断じた公式の功罪は殊更大きかったといえよう。


<24位> マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-

評価:B

お気に入りキャラ:由比鶴乃

「マギウスの翼」の内部事情が徐々に明るみになっていき、いよいよここからが本番といえるか。正直、ストーリーについては分かったような分からんようなを地で行く感じであり雰囲気で理解している面も大きいのだが、やちよのいろはや鶴乃への想い、そして彼女の元に帰ってきたいろはたちへの深い感慨は1期できちんと下地を作り上げていたからこそのものである。2期では本家のキャラとの夢の競演となった場面も多かったが、きちんと弁えつつもさすがの存在感を見せてくれた。現在は演技派声優の代表格ともいえる悠木碧さんのちょっと拙い感じのまどかの演技は逆に難易度が高そうだったが…(笑 また、戦闘シーンの作画は速さと勢いが凄まじすぎてむしろ何が起こっているのか分からないレベルだったので、もう少しスピード感にもメリハリを付けてくれると嬉しかったかも。自分の動体視力の不足はさておき、やっぱりちゃんと「見せて」ほしいんだよなあ…。


<23位> 魔法科高校の優等生

評価:B

お気に入りキャラ:司波達也

本編の九校戦までのエピソードを深雪視点で描いたスピンオフ。とはいえ、『ダンまち』と『ソード・オラトリア』のように主人公とは別のグループの物語を描いているわけではないため、あくまでも本編の補足といった趣が強い。そのため、別視点を描きつつ双方がリンクしたり新たな登場人物が増えたりといった楽しみは薄く、”いつもの”を堪能できたに過ぎない感はある。そして、改めて感じたのはお兄様の偉大さ。これだけ個性的な美少女たちが揃っていても、本シリーズの魅力の大半は突き詰めれば達也のキャラにあり、”さすおに”の一言に集約される有能っぷりをある意味ギャグとして楽しむのが大正義なのである。よって、達也の出番がなんだかんだ多かったのも英断とは言えるが、スピンオフとしての価値を高めるためには”お兄様”のいないところでの深雪という普段とは異なる一面を描くためのエピソードを書き下ろすなどの思い切りがあってもよかったのでは。


<22位> SCARLET NEXUS

評価:B

お気に入りキャラ:ハナビ・イチジョウ

2021年6月に発売された同名ゲームのアニメ版。据え置きゲーム用ソフトとして開発されただけありシナリオに行き当たりばったり感もなく、やりたい事が明瞭だからこその安定感が随所に見てとれる。キャラデザについても女性キャラについては文句なし。一方、男性キャラについては無難すぎて物足りなかったので、もう少し遊び心を加えてもよかったのでは。ストーリーについては設定がしっかりしている分序盤での惹き込みは悪くなかったものの、綺麗に淡々と纏まりすぎている点が徐々に欠点として浮き彫りに。キャラにしろストーリーにしろ、もう少し尖った要素があればメリハリも利いてよかったと思うのだが…。ヒロイン要素の高いナオミを早々に表舞台から退場させたのももったいない点で、いっそヤンデレキャラにしてハナビも交えたユイトとの三角関係を演出してほしかったぐらい。後半戦はこのまま無難に締めるよりも、多少破綻しようとも弾けた展開を期待したい。


<21位> 平穏世代の韋駄天達

評価:B+

お気に入りキャラ:ミク

最終話のぶった切りエンドには不満の声も多く出たことと思われるが、個人的には変にアニオリ要素を加えて無難にまとめるよりも続編に期待ができるのでこれはこれでアリ。コミカルなキャラデザと平穏そうなタイトルに反してストーリーが韋駄天たちの不死身な肉体を生かしてどんどんヴァイオレンスな方向へ進んでいき独自の魅力を醸し出してきたので、そういう局面での突然のシャットダウンはインパクトの演出としても悪くはなかった。魔族という恐怖の対象となり得る異形が絡む作品において、神たる存在の韋駄天たちがそれを上回る戦闘力と狂気で包み込むという図式はある意味珍しく爽快であったが、魔族側もミクという参謀の暗躍によりやらっれぱなしではなくこの先のストーリーも気になるところ。さすがのMAPPAだけあり戦闘バトルシーンも気持ちよく動いていたので、放送日が出遅れずあと2話ほど続いてくれていたらまた評価は違ったものとなっただろう。


<20位> 出会って5秒でバトル

評価:B+

お気に入りキャラ:天翔優利

このタイトルからはどうしてもAⅤを連想してしまうのは自分だけだろうか?ちゃんと”出会って5秒でバトル”してたのは最初だけだった気もするけど、一度聞いたら忘れないという意味では強いネーミングなんだよなあ…。本作品はいわゆる”異能力バトルもの”なのだが、主人公の能力がクセは強いが使いこなせばチート能力と化す頭脳派要素の塊みたいなものとなっているので、作戦・戦術を練りいかに相手を狙い通りに誘導するかといった心理的な展開が主力となっているのがポイント。この点、能力の特性を生かすためにあきらが優利をたらし込む様は、『DEATH NOTE』のライト海砂ミサの関係性を彷彿とさせるものであり、あきらに仄かな想いを寄せるりんごの存在も相まって個人的に一番の見所となっていた。基本的に主人公周りで話が小さく纏まってしまっていた感はあるのだが、アニメの尺的にはむしろそれで良かったと思えるところもありこの辺りはなんとも難しいところ。


<19位> 女神寮の寮母くん。

評価:B+

お気に入りキャラ:フレイ

かの名作ラブコメ『ラブひな』におねショタ要素を加えたような作風のドタバタ寮生活コメディ。正に1+1を地で行くような感じであり、そこに爆発的な化学反応は見られず想像通りの無難な内容に落ち着いたのはご愛嬌。また、基本的に孝士とヒロインたちとの絡みを中心に描いており、全10話という尺を考慮すれば仕方がないことではあるが、ヒロイン同士の女子トークや彼女たちの私生活や学園生活などももっと描写してくれていれば、より各ヒロインにも思い入れが深まったのだが…。この辺りは、さすがにショタ主人公に感情移入はしづらいのでなおさらである。余談であるが、「ショタコン」とは「少年ロリータ・コンプレックス」の略ではなく、『鉄人28号』の主人公・金田正太郎の名を取り「ショウタロー・コンプレックス」としたのが起源とされている。最終話で見せてくれた孝士の半ズボン姿もそれに対するオマージュとして受け取れば、なかなか業の深い作品といえる。


<18位> チート薬師のスローライフ~異世界に作ろうドラッグストア~

評価:B+

お気に入りキャラ:ポーラ

「チート」と「異世界」という単語がタイトルにあればやれやれまたかと感じてしまうのが常であるが、むしろ「スローライフ」と「ドラッグストア」の方が本領を発揮しているのが本作品である。主人公が依頼を受けたら直ぐに世界に革命が起きてしまいそうな薬を発明してしまうのは錬金術師と呼ばれても仕方がない気もするが、なぜ億万長者にならないのか実に不思議である(実際、昼食の人数が増えただけで食費の心配をしていたレベル)。そして、薬のおかげで問題が解決した後にはヒロインに好感を持たれるのがお約束となっているのだが、主人公はその方面には実にタンパクでありあくまでもスローライフという体裁を崩さないのは、若干薄味に感じつつも日常系作品のような感覚でゆるく見られるのでこれもまた良しか。そして、お気に入りキャラのポーラはそこそこ出番もあったのに、なぜか公式サイトのキャラ紹介からはハブられていたのが実に納得がいかない。


<17位> 探偵はもう、死んでいる。

評価:A-

お気に入りキャラ:夏凪渚

『氷菓』や『虚構推理』が好きな人に刺さりそうという予想は概ね当たったように思うが、期待値的にはちょっと物足りなかったかなという印象。非常にインパクトのあるタイトルと導入部とは裏腹に、メインヒロインのシエスタに回想エピソード諸々で割と出番が多く、「もう、死んでいる」ことをしみじみと感じる暇があまり無かったのがその原因かもしれない。個人的にはそうした過去のヒロイン(=シエスタ)への寂寥感や、そんな主人公に切なくも寄り添う現在のヒロイン(=渚)という演出や構図をメインに据えてほしかったのでなおさらである。とはいえ、ヒロインとしての魅力は十分すぎるほどであり、シエスタと渚が交互に出てくる度にフラフラとそちら側に惹き込まれてしまっていたり…(笑 最終話の「なかなか揃わないもんだなぁ…」の場面は、君彦と渚のこれからを暗示するかのような粋な演出であり、非常に良い気分で物語を見届けることができたのはよかった。


<16位> 僕のヒーローアカデミア

評価:A

お気に入りキャラ:トガヒミコ

『僕のヴィランアカデミア』というセルフパロディが示すように、ヴィラン連合のメンバーの能力の覚醒、そして異能解放軍と融合した「超常解放戦線」の旗揚げは、いよいよ物語もクライマックスを迎える予兆となるか。特筆すべきは死柄木弔の能力の覚醒であり、これまではオール・フォー・ワンという偉大な悪のカリスマ的存在の後釜としては少しその実力に物足りないものを感じていたが、遂に本作品のラスボスに相応しい風格とカリスマ性を抱き始めた。デクのワン・フォー・オールの真の能力然り、「次世代への継承」は本作品において主要テーマであると同時に最終的な終着点にもなると考えられ、どちらの正義が人類の未来を勝ち取るのか今後の展開からも目が離せない。個人的には、久々のトガちゃんの活躍(?)と能力の覚醒は嬉しいところで、”変身”の個性のチート化はむしろ最初からこうしとけレベルの大首肯。さて、トガヒミコ隊ってどんなのになるんだろうな…。


<15位> 月が導く異世界道中

評価:A

お気に入りキャラ:巴 澪

よくある感じの異世界ものという空気を纏ってはいるが、作画も良好で設定もツボを心得ておりなかなか侮れない作品に仕上がっている。特に大きいのはヒロインを二人に絞ったこと。巴と澪という魅力的な亜人のダブルヒロインとの「主従関係」及び「両手に花」状態は正に二人の右腕と妻を同時に手にした様な心地を演出し、多数のヒロインによるどっちつかずのハーレム状態ではけして味わえない男のロマンを存分に与えてくれた。「亜空」における建国の際も二人は戦力(術)的に申し分ない働きを見せ、そんな二人に心酔される主人公の価値も相対的に上がっていくのも唸るポイント。実際、巴と澪のどちらがいいかを選べと言われてもどちらも選べないというのが本音で、もう二人ともでいいんじゃないかなと思ってしまうのも本作品においては許してほしい(笑 なんと2期も決定したようで、思わぬ掘り出し物感覚で視聴していたので内心少し複雑だったのは内緒だ。


<14位> 現実主義勇者の王国再建記

評価:A

お気に入りキャラ:ジュナ・ドーマ

作画はちと残念な面もあるが、バトルものとはまた違った形での異世界系作品として存分に個性は発揮しており、最後まで楽しくそして所々で感心しながら視聴することができた。主人公が若くして政治能力的に有能すぎるきらいはあるが、この急激な王国の再建速度にはきちんと根拠がある。主人公は”王”の地位を譲られたが、その実、宰相、軍総帥、外交官等の役割も兼任しており、要は権力と実務が一体化していることで議論や説得の過程を経ることなく決定事項を即実行できるのだ。もちろん、優秀な配下を募りそれぞれの得意分野を任せてはいるが実質ワンマンに近く、ひとまずはその良い面だけが出ているというのがホントのところだろう。もちろん、エンタメ作品としてはその危うさを描くのは悪手にもなり兼ねないので無理にその部分に触れる必要はないのだが、果たしてこの先はどうなるか。2期も決定したということなので、そこにも注目して続きを待ちたい。


<13位> カノジョも彼女

評価:A

お気に入りキャラ:水瀬渚

『アホガール』のヒロユキ先生による土下座から始まる二股ライフを描いたかなりぶっ飛んだ作品。こうした作品に出会う度に自分が期待してしまうのは、『おねがい☆ツインズ』のような正真正銘の対等のダブルヒロインものなのだが、本作品においては基本的に咲が正妻、渚が愛人のポジションであり、色々と弁えた展開に落ち着いている。とはいえこれが世間の常識とはかけ離れた異常事態なのは紛れもない事実であるが、主人公の実直さ(とある意味強引さ)によってなぜかラブコメとして成り立ってしまうのはさすがである。個人的にはどちらかを選べと言われれば渚一択なのだが、見ているうちに咲にも情が移ってきて我儘だけど意外と押しに弱いところも可愛いじゃねぇか…みたいに思えてしまったのは作者もしてやったりだろうか(笑 正直、ミリカは貴重な1クールの尺的にはいない方がよかったが、キャラとしては悪くなかったので来世では報われてほしい。


<12位> 不滅のあなたへ

評価:A

お気に入りキャラ:パロナ

トナリとピオラン、立場は違えどフシにとってのヒロインになり得る二人に焦点が当たったのが今期の注目すべき点だろうか。ことトナリについては初めてフシに恋愛的な意味での好意を寄せた人物に思えたのだが(ハヤセはともかくとして…)、第2シリーズは数十年後の時系列とのこと。これはさすがにフラグにはなり得なかったか。それにしても、ピオランのような老婆でさえヒロインになれるという事実が本作品の特異性を如実に表している気がしてならない。個人的な今期の見所はフシがパロナの姿を宿したことだったのだが、それはつまりそういうわけで…。う~ん、ハヤセ許すまじ。前期のグーグーとリーンの物語が素晴らしかったので、それと比較するとジャナンダ島でのストーリーは若干弱めだったが、ハヤセの狂気は大きなインパクト。非常に憎たらしい相手ではあったが、キャラとしては上手く育ったなという印象である意味今期のMVPといえるかもしれない。


<11位> RE-MAIN

評価:A+

お気に入りキャラ:清水明日海

最後まで見て本当に良かったと心から思えた作品。当初は交通事故による長い昏睡状態から目覚めた主人公のキャラが幼く面白みに欠け、ヒロイン不在なら視聴継続も危ぶまれたほど。しかし本作品の真骨頂はみなとが記憶を取り戻した後半部分にある。本来の自分にも他人にも厳しい性格を取り戻したみなとが周囲との軋轢を生みながらも弱小水球部の仲間を受け入れ、彼らと新たな絆を築いていく過程は見応えがあり、その時いまいち盛り上がりに欠けた前半部分が一転して意味のあるものに昇華されるギミックが実に素晴らしかった。さらに最終話の上げ幅は凄まじく、これまでの集大成ともいえるシーンの連続に涙腺は完全に崩壊。マイナーな水球という競技を扱いながら人間ドラマに主軸が置かれた本作品であるが、脚本の構成力は今期の中でもピカイチであり、序盤にまずピークを持ってくるという昨今の風潮に一石を投じたという意味でも貴重な作品であった。


<10位> 転生したらスライムだった件

評価:A+

お気に入りキャラ:シュナ

遂に「魔王」への進化を果たしたリムルのそれからが描かれた待望の2期の後半戦。暴風竜ヴェルドラも無限牢獄から解放され、戦力としてはどんどんインフレが加速してしまっているようにも思えるが、ミリムを筆頭に魔王という存在にはかねてから馴染みがあり、ようやくそこに肩を並べることができたというワクワク感の方が大半を締めるのが正直なところ。ここまでは、ジュラ・テンペスト連邦国における内政や防衛に重きを置いた展開であったが、魔王として周囲に与える影響力も大きくなったため、今期は他の国や魔王たちとの外交がストーリーの中心となり、これまでとはまた違った方向性の面白さがあった。一方、リムルが強くなりすぎると部下たちが戦力的に空気になってしまうことが懸念されるが、シオンが覚醒前のクレイマンを圧倒できたように周りの実力も順調に育っているようなので、この辺りのパワーバランスはこれからも一層大事にしていってほしい。


<9位> 死神坊ちゃんと黒メイド

評価:A+

お気に入りキャラ:アリス

幼い頃、触れたもの全てを死なせてしまう呪いを魔女にかけられた貴族の「坊ちゃん」とメイドのアリスとの純愛ラブストーリー。そのもどかしい距離感からの逆セクハラの日々は、当初は早々にパターン化してしまい飽きてしまうのではないかと危惧していた。しかし、各キャラの内面に切り込む繊細な描写も多く、そのシリアスになりすぎないシリアスさ加減が絶妙であり、彼と彼女の何気ない日常はいつ壊れてもおかしくない脆さを交えながらひたすらにその尊さを我々に見せつける。個人的な見所は、何といってもアリスの声優の真野あゆみさんの好演であり、その澄んでよく響く声質はひたすらに耳が幸せな時間を提供してくれた。これが初めてと言っていい大役だったようだが、今後の活躍に大いに期待である(でも、アリスを超えるハマリ役はきっと今後もないかも…)。妹のヴィオラも非常にいいキャラで可愛く、続編制作決定の朗報に続きが待ちきれない心境である。


<8位> キングダム

評価:A+

お気に入りキャラ:信

原作が素晴らしすぎるためにどうしてもそれとの比較により厳しい評価になりがちな本作品のアニメであるが、徐々にアニメならではの良さが見えてくるようになった。特筆すべきは声優陣の気合の入った演技であり、蕞での攻防戦における信の味方への檄や死力を尽くして戦う叫び声などは正に魂が震えるようで迫力満点。原作以上に臨場感を感じながら視聴することができた。この辺り、手書きの作画もかなりこなれてきて徐々に原作の雰囲気が滲み出るようになったし、声優陣もキャラとの一体感がどんどん増していっているように感じる(特に信と政)。なんというか、”アニメ”として着実に成長していっているのである。今期は特にそれを強く感じ、今後の展開が益々楽しみになった。原作のストックが豊富にあるため、ストーリーのテンポも早すぎず遅すぎずの絶妙なものとなっているのも非常に大きく、末長いコンテンツとしてさらなる飛躍を遂げていってほしい。


<7位> 東京リベンジャーズ

評価:A+

お気に入りキャラ:三ツ谷隆

タケミチと東京卍會のメンバーとの関係も徐々にこなれていき、先の展開の待ち遠しさは今期でもトップクラスであった後半戦。壱番隊隊長という重要な立場でありながら前半戦ではあまり焦点の当たらなかった場地のドラマを中心に東京卍會の抗争の日々とタケミチの奮闘は続くが、核心に迫れそうでなかなか迫れないもどかしさはひたすらに募る。遂に東京卍會に正式に入隊したことで、タケミチの「お客様」扱いも薄れていき、より「当事者」としての比率は高まってきたが、個人的にはまだまだ物足りない。設定上仕方のないことではあるが、周りに振り回されるばかりでなく自ら威厳を持って状況をコントロールする彼の姿も早く見てみたいところ。当初は2クールで完結させるのかなと思っていたが全然そんなことはなく、これは嬉しいやらもどかしいやら複雑な心境である。願わくば、大人の事情に飲まれずに作者の描きたいドラマを最後まで描き切ってほしい。


<6位> 小林さんちのメイドラゴンS

評価:S-

お気に入りキャラ:イルル

京アニに「おかえりなさい」という言葉以外見つからない。映画もいいけど、やっぱりオタクコンテンツとしてのアニメの主戦場はTVシリーズだと思うので。唯一無二という言葉が相応しいその作画力には改めて脱帽。2期は順当な続編といった様相で、新たな混沌勢のイルルが小林さんハーレムに加わり、トールとエルマの過去が明らかになりちょっとだけ仲良くなり、才川は相変わらずぼへってるし、トールの小林さんへの真に迫る想いも明らかになった。ていうか、タケは今すぐそこを自分と変わりなさい。あと、エルマがここまでトールにお熱だったのもけっこう驚きだった。擬人化したドラゴンってなんでちゃんとそれと分かるのか謎だったけど、縦に切れる瞳孔のせいだって今更気付いた。こういうのって記号的だけど実に不思議なもんやね。ちなみに、公式サイトのキャラ紹介は非常に面白いのでオススメ。特にトールの小林さん以外へのコメントが辛辣すぎてこれはヒドイ(笑


<5位> 白い砂のアクアトープ

評価:S-

お気に入りキャラ:照屋月美

P.A.WORKSによるお仕事シリーズとなれば否が応でも期待は高まるが、自分が注目しているのはむしろ”2クール作品”という点である。そして、前半戦が終わった段階では、同社による名作『凪のあすから』に匹敵するような2クール作品になってくれそうな予感をヒシヒシと感じている。2クール作品というのは、単に放送期間が2倍になったというだけではなく、クールの境目を最大限に利用して展開に化学反応のような劇的な変化を引き起こすことにその神髄がある。そういう意味で『凪のあすから』は神懸っていたといえるが、本作品も1クール目としては文句なしの下地を作り上げたといえるだろう。めちゃくちゃ面白かったとかそういうことではなく、”下地を作り上げた”というのが大事なのだ。それぞれの失意に苛まれながらも、相手のために、そして自分のためにそれでもと前を向き始めたくくると風花。二人のこれからを描く後半戦が楽しみで、そして怖くてたまらない。


<4位> うらみちお兄さん

評価:S-

お気に入りキャラ:表田裏道

おそらく世間の評価とのギャップがかなり大きいのではないかと予想しているのだが、今期でもかなりお気に入りだった作品。裏道の”体操のお兄さん”としての不自然なまでの空元気と時折零れ落ちる闇、そしてプライベートでの鬱に片足を突っ込み続ける日々は、週の半ばでの放送というリアル事情も相まって疲れた社会人の心に面白いように突き刺さる。神谷浩史さんの無理して1オクターブ声を高くしている感じの絶妙の演技も自分のツボにドストライクで、もうそれだけで十分面白かった。そして、”うたのお姉さん”の詩乃うたののアラサー女子としての哀愁漂う立ち回りもまた素晴らしく、教育番組向けの衣装と実年齢とのギャップがたまらない。これだけ美人で性格も良さそうなのになぜ同棲中の彼氏はさっさと結婚してあげないのか。きっと、尽くして甘やかしちゃうタイプなんだろうなあ…(涙 これはもう、『お○○さんといっしょ』とのコラボを全力で熱望するしかない。


<3位> かげきしょうじょ!!

評価:S

お気に入りキャラ:渡辺さらさ

今期の作品群の中でも見やすさは群を抜いており、一般・オタク問わず万人にオススメできる秀作。いわゆる「宝塚系」の作品であるが、身長178㎝という強烈な個性を持つ主人公のさらさのバツグンの存在感に一気に物語に惹き込まれた。全員が友人である前に役を競い合うライバルであり、それぞれの夢を胸に秘めながら厳しい授業とレッスンの日々を過ごしていく。そして訪れる努力が報われる瞬間が視聴者の胸を打ち、時に悔し涙を流しながらも相手を誇る優しさという名の強さが少女たちの魅力の花を力強く芽吹かせていく。物語にさらさの過去にまつわる歌舞伎との対比が盛り込まれているのも面白く、彼女の個性に確かな説得力を持たせると同時に歌劇としての表現には声優陣の表現力・歌唱力が存分に問われ、非常に聴き応えのあるものとなっていた。原作のストックの都合か2期が即座に発表されなかったのが不思議なぐらいだが、正に熱望の一言である。


<2位> ラブライブ!スーパースター!!

評価:S

お気に入りキャラ:唐可可タンクゥクゥ

実は待望していたわけではない新シリーズ。しかし、いざ蓋を開けてみれば自分のチョロさを見事に再認識させられ、ダイソン並に「吸引力の変わらないただ一つのシリーズ」の魅力に一気に惹き込まれた。これは『虹ヶ咲』では感じられなかった感覚で、これこそが『無印』→『サンシャイン!!』からの正当な続編だと確信できるものだった。キャラを5人に絞ったのも英断であり、加入エピソードで尺が圧迫されがちな1期においても”遊び”や”カップリング”の要素を散りばめられるのは正に然りニヤリといったところ。ようやく自分たちの夢だけを追うシリーズになったと思っていたのにまた学校の経営難の問題を持ち出してきたのには苦笑いだったが…。シリーズものをどこまで続けていくのかというのは永遠の課題だが、いつまで自分もしがみついていけるのかは分からない。今はただ、そうした思考を颯爽と吹き飛ばしてくれるような”勢いと潤い”を与えてくれたことを深謝したい。

―Liella! キャラランキング—

【1位】 唐可可タンクゥクゥ

これまでもハーフだのクオーターだのは存在したが、正真正銘の国際色を打ち出してきたのには正直驚いた。Liella!結成の礎は彼女が築いたこともあり、そのスクールアイドルへの情熱はある意味主人公的存在ともいえる。さらにLiella!のマスコット的存在も兼任しているが、全然あざとく感じないのもポイント高し。あざとくなくてちょっと寒いネタも封印した矢澤パイセンとか惚れる要素しか残らないし、強いのは必然の理か…(笑

【2位】 嵐千砂都

「うぃっすうぃっすうぃーっす!」は個人的にはありありのあり。だって、普通に可愛いし。かのんとの幼馴染コンビも最初に若干の距離感を描いた分、それが解消された今ならもう”ようちか”のようなこじれ方はしないか。基本的に全員が揃った振付をするのでダンサブルなキャラは個性を発揮しにくいのが常だが、これだけストーリー上でも前面に押し出してきたのだから、間奏でのダンスソロという見せ場もあっていいはず(チラッ

【3位】 澁谷かのん

作中ではどれだけ本人が否定しようとも滲み出るカリスマ性に周りがほっとかない存在となっているが、その抜群の歌唱力によりファンの心も一気に鷲掴みにしたLiella!のリーダー。センター街ど真ん中の名字、実家は小洒落た喫茶店、いい意味でリアル寄りの容姿&思考回路などスタイリッシュさが群を抜いており、”強いセンター”として早くもその地位は盤石のものとなっているように思える。実はスペイン人のクオーターらしい。

【4位】 平安名へあんなすみれ

容姿の華やかさはLiella!でもトップクラス。即座にセンター選挙で勝てるぐらいのポテンシャルは秘めていると思うのだが、キャラ付けでひたすらに残念要素を付加し続けている不憫な子。でも、そこが彼女の魅力でもあるからこれもアリか。彼女と可可クゥクゥのカップリングは大のお気に入りで、可可クゥクゥの雑な対応がひたすらにジワる(笑 なお、「ギャラクシー!」はどうしても某電気製品を連想してしまうので個人的にはちょっと苦手…。

【5位】 葉月れん

一般的なキャラとして見れば悪くはないのだが、こと本シリーズにおいてはスクールアイドル活動に否定的な生徒会長キャラとしてのテンプレにハマりすぎており、面白みには欠けると言わざるを得ない。この辺り、もう少しなんとかならなかったのか。ちなみに、加入時のかのんとの握手シーンの構図がもろにかよちんリスペクトで思わず震えた。彼女の背中を押してくれたあの風はきっとあの屋上から吹いてきたのだろう…(涙


<1位> ぼくたちのリメイク

評価:S

お気に入りキャラ:小暮奈々子

チートではないぼくたちの人生賛歌。人生やり直し系作品における主人公のアドバンテージはその”人生経験”にあるが、本作品においては過去の後悔から培われた「仕方ない」を覆す”熱量”こそが一番のアドバンテージとなっているのがポイント。他作品において「クオリティを人質にすんな」という言葉もあったように、社会人として仕事への妥協と諦めの積み重ねというのはどうしても折り合いを付けていかなければならない永遠の枷である。そういう意味では、それを真っ向から投げ出した恭也は正に”少年”であったし、ある意味「壊れている」と感じた人も多いのではないだろうか。きっと作者もそれが分かっているからこそ、再び”リメイク”を始めた恭也のこれからはあえて描かれなかったが、これほど「俺たたエンド」がしっくりきた作品を自分は知らない。その時、「この先の物語を描くのはキミ自身だ」――ふと、”ぼくたち”の真の意味に気付いた気がしたのである。

―ヒロインズ総評—

志野亜貴

本作品のヒロインズの中心的存在。オタクにとっての絵師の重みを体現する強烈な存在感を発揮したが、「自分が本当に欲しかったものを持っている」ことが恋愛においてどういう意味を持ってくるのかまでは突っ込んだ描写がなされなかったというのが正直な感想。一方、”普通の女の子”としては小動物のように愛くるしく甘え上手で適度に抜けたところもあり男にとってはひたすらにたまらん存在。主人公がメタモンと化すのはお約束。

小暮奈々子

負けヒロイン属性が骨の髄まで沁み込んでしまっている気がするが、個人的には一番のお気に入りだった歌姫。ヒロインズの中では最も不遇であり、立ち始めたフラグをことごとくシノアキが絶妙のタイミングで折り続けていく不憫な存在。っぱ、素直に主人公に好意を寄せてくるヒロインっていうのはいいもんだ。ポニーテールも最高だし。奈々子推しの目線からは、シノアキ絶対分かってやってるだろと言いたくなった場面は数えきれない。

河瀬川英子

クリエイターの立場としては恭也の先駆者として、ヒロインの立場としては恭也と同じく”持たざる者”としてシノアキとは上手く棲み分けができており、輪の中にいないからこその独自の立ち位置を築いていた。恭也とは傷を舐め合うことのできる存在として、二人の空間に独特のエロスが満ちていたのも非常に良かった。終盤の上げ幅が凄まじく、空港のシーンではもうこの勢いで一緒に不倫旅行に行ってしまうのではとドキドキした(汗



<劇場版8位> Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女

評価:B+

お気に入りキャラ:ベアトリス

自分の中で微妙な扱いとなったシリーズものとは真に厄介なものである。「次はひょっとしたら傑作かもしれない…!」という淡い期待を抱きつつ惰性を感じる自らの心を押さえつけ、まだ見ぬクライマックスへと思いを馳せる。そして、全てが終わった後で振り返ってみて残るのは「あの頃が一番面白かったなあ…」という言い知れない虚無感である。そんな経験を過去に何度もしながらこの沼から抜け出せないのはオタクの性ゆえか。本シリーズも例に漏れず完全にそのルートに入り込んでいる気がするが、今回はベアトリスの想いの果てやジュリアンが本当に望んでいたことなどなかなかに見せ場はあり、ちょっと感動すらしてしまった。だが、このまま綺麗には終わらせじと大人の事情が最後に割って入り、その余韻を全て台無しにしてしまうのはいただけない。そして、エンドロールの締めに燦然と輝く「To Be Continued」の文字…。う~ん、結局次も見ちゃうんだろうなあ…。


<劇場版7位> 劇場版 クドわふたー

評価:A-

お気に入りキャラ:二木佳奈多

『リトルバスターズ!』10周年記念プロジェクトにより制作が実現したKeyの誇る(21)ロリであるクドのアフターストーリー。原作は2010年に発売された同名のPCゲーム(18禁)であり、自分も当然(?)プレイ済である。その立場からすると、約50分という上映時間は暴挙と言わざるを得ず、案の定ストーリーも表層をなぞるだけの当たり障りのないものとなっていた。クラウドファンディング作品としては作画も頑張っていたし、この尺なりによく話をまとめていたとは思うが、やはり本作品の神髄は原作…というのが紛れもない真実である。本作品の主要メンバーは佳奈多を筆頭に原作本編では立ち絵の無かったあーちゃん先輩やクールな理系女史である氷室さんなどかなりの俺得揃いなので、彼女らの描写に限られた尺を注力してくれたら嬉しかったのだが…。原作はシリアス成分も多めでKeyらしい王道作品に仕上がっているので、興味を持たれた方は是非プレイしてみてほしい。


<劇場版6位> サイダーのように言葉が湧き上がる

評価:A

お気に入りキャラ:マリ

イシグロキョウヘイ監督の劇場版新作。ひと夏のボーイミーツガールの物語はひたすら純朴に紡がれ、俳句という伝達手段やマスクやレコードといったキーアイテムや多彩な伏線によるギミックも効果的に機能しており、映画としては中々の出来栄え。さらに、公開延期により結果的に季節感がピッタリになったのも追い風となったか。ただ、良くも悪くも2次元だからこその映えという印象も受け、特に人気JK配信主であるヒロインがけして前向きでない草食系主人公という一択に惹かれていく過程には少し説得力が欠ける気がしなくもなかった。順当に補完をするなら、大きな前歯というコンプレックスに悩むヒロインがそれを原因として失恋をするという前日譚も必要だったと思うのだが…。これからの二人は遠距離恋愛ということになるのだろうが、コンプレックスを克服したヒロインが素直にそこに収まってくれるのかは怪しいな、というほろ苦い想像が後味として残った。


<劇場版5位> 劇場版 きんいろモザイク Thank you!!

評価:A

お気に入りキャラ:猪熊陽子

ゆるふわ学園コメディの金字塔が遂にフィナーレを迎えるということで、演出もストーリーも多分にエモいものがあったのだが、こうした日常系作品に「進路」という要素が加わってくるとやはり少しテンションは下がる。せっかくなら忍たちの最終学年もTVシリーズの3期として放送してほしかったというのが本音だが、そうしたシリアスモードも関わってくるなら劇場版として締めるというのもまあアリか。また、原作勢ではないのでアニメとしての評価しかできないのだが、個人的に全幅の信頼を寄せている天衝監督が本作品に関わっていなかったのは残念な点。同監督への贔屓目もあるのだが、これまでよりも会話のテンポやストーリーの組み立て方など、細かいところで”らしさ”みたいなものが減ってしまった気がした。再度、カレンだけクラスが離れてしまったことへの心境ももっと掘り下げて欲しかったところで、天衝監督ならこの辺りも…というのが心残りではある。


<劇場版4位> プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第2章

評価:A+

お気に入りキャラ:ベアトリス

第2章では、共和国が開発に成功した絶大な威力を誇るケイバーライト爆弾が王国に盗難されたことを契機とする捜索と奪還ボム・アクションが繰り広げられる。期間の空く劇場版としての公開なので、前章までのストーリーを思い出すのにひと苦労するのはご愛嬌だが、チームの5人それぞれに見せ場があり、可憐な少女たちによるスパイ・アクションとして単体でも十分楽しめるようになっている点は高評価…というか、そうでなければこの形式での公開は成り立たないだろう。とはいえ、やはり「爆弾」という舞台装置はクライマックスの盛り上げ方が難しいと感じ、爆発バッドエンドを防いでしまうことで派手な演出をも放棄してしまうのは少し残念なところ。ストーリーは長らく存在しなかった”ラスボス的存在”が仄めかされて締められ、このまま勢いは加速していきそう。当初は『ガルパン』だからこそ許される形式だと思っていたが、本作品も思いの外善戦しているというのが偽りのない感想である。


<劇場版3位> 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション

評価:S-

お気に入りキャラ:―

入場者プレゼントの「超豪華冊子」を確実に入手するために、公開初日に定時ダッシュして20分後の回に滑り込んだというウソみたいなホントの話(当然のように汗だくだった模様…)。絶賛連載中の作品の劇場版は本編に影響しないようエクストラミッションめいた内容になるのが常であるが、本劇場版は時系列的にも「あれ?これ先週のアニメの続きかな?」と思ってしまうぐらいギリギリを攻めており、事件の規模も一歩間違えれば世界が崩壊していたレベルの案件であり制作陣の本気度が存分に伝わってくる。また、日常シーンを犠牲にして大きく尺の割かれた”魅せ方”を正しく踏まえたスピード感&縦横無尽なカメラアングルが躍動するバトルシーンは歴代のアニメ作品の中でも間違いなく最高峰であり、ボンズは遂にufotableを越えたのでは?とまで感じた。それにしても、『空青』の時も思ったけど吉沢亮の演技はもはや本職の声優とは別ベクトルでの大正義やね。


<劇場版2位> 岬のマヨイガ

評価:S-

お気に入りキャラ:ひより

当初は全く期待していなかったが、下がり切ったハードルのせいか、それとも吉田玲子脚本の力なのか、とにかく自然にスッと心に染み入ってくる血の繋がりのない家族の絆の物語。おばあちゃんのキワ、17歳のユイ、8歳のひよりという女3人の組み合わせは、こと家族という構成なら「父と娘」が一番涙腺に来ると思っていた自分であるが、「祖母と孫娘」「姉と妹」にこれだけやられたのはなかなか記憶にない。感動を煽るような劇的な演出はなくとも、なんでもないけど今一番欲しかった言葉、言葉にせずとも伝わる気持ち、そういったもので魅せる演出が抜群に良く、正に味付けは薄めでもしっかりと出汁の利いた料理の様。ノイズになるのではと警戒していた妖怪の要素についても、ストーリー上の役割は明確で過不足なく自然に受け入れられるものになっていた点も◎。総じて、「もっと評価されるべき」というタグを真っ先に付けたくなるような上質な掘り出し物であった。


<劇場版1位> 劇場版 『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』

評価:S

お気に入りキャラ:市ヶ谷有咲

セルルックによるアニメーションで臨場感たっぷりにリアルライブを再現するという本作品の試みは、声優よりもキャラ重視の自分にとっては大いに刺さりまくりであり、今回も非常に高品質な高揚感を味わうことができた。昨今、劇場版作品が乱立される中でその意義が改めて問われているところであるが、本作品はまさしく劇場の大スクリーンと大音響で鑑賞することが大正義であり、思わず劇場内で歓声を上げそうになってしまった場面もしばしば…(汗 フルサイズでの楽曲の演奏が各バンドに用意されていたのも非常に嬉しく、ボーカルに焦点が当たるだけではなく各楽器のソロパートの演奏シーンなどが大きな魅せ場となっていた点は正に本作品の真骨頂だろう。映画という定義からは少しズレるのかもしれないが、「FILM LIVE」はアニメ作品の表現技法の一つとして市民権を得るべきであり、自分にとって『バンドリ!』の強烈な個性となっているのは間違いない。

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