最後の写真

6年前の7月24日
病院の緩和病棟は満床で、予め依頼をしていた都内の緩和病棟も満床。
夫は一般の個室に入院していました。

朝、病院に行き、面会時間の最後まで一緒に過ごしました。
病室の窓から野球場が見え、その歓声を聴きながら、あそこには私たちと違う日常があるんだなと思いました。
言葉もなく2人で眺め続けました。

面会時間が終わり、病院を後にして、当時、私が泊まり込んでいたホテルに向かう道すがら、花火の音が聞こえてきました。
すると

これが夫が撮影した最後の写真になりました。

今月、入院していた病院の敷地内にホテルがオープンしました。
先日、内覧に伺った時に、ホテルの部屋から見えたのは、あの野球場でした。

私が宿泊していたホテルも車で5〜6分の距離でしたが、私には病院を後にして目にする街の『日常』から、自分たちがかけ離れているのを感じるのが辛かったです。
同じ敷地内にホテルがあるのは、私のような状況の家族は救われるだろうと思います。

夫から送られてきた花火の写真にはコメントはありませんでした。
夫が見ている同じ花火を見たくて、見える場所を求めて歩きました。
『同じ花火を見ている』という時間を噛み締めました。

夫は何を思っていたのか。
なぜ写真を撮り、私に送ったのか。

思いを馳せながら、これからも生きていくんでしょうね。

夫を喪った時、後を追いたい気持ちもあったけれど、とにかく7回忌までは、きちんと執り行うのが私の役目だと思い返しました。

今週末、それを遂げることが出来そうです。

全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。