ホテルのフェアでの経験
ホテルのレストランで働いていると
和洋中の各レストランで
年に一度くらい
1ヶ月ほどの期間フェアを開催します。
私のいたレストランはフランス料理なので
海外のミシュラン星付きのレストランから
料理人を招聘しコラボレーションイベントを
やるのですが
ミシュラン星付きのフランス人シェフが来ました。
フランスのミシュラン2つ星のオーナーシェフと
シェフパティシエ(菓子製造責任者)が
2人で来日し1週間滞在します。
NHKBS1の『奇跡のレッスン』という番組知ってますか?
世界の一流指導者が1週間子供達にレッスンを行い
技術とともに意識も変えていく素晴らしい番組なんですが
ミシュランシェフが
フェアで滞在している1週間は正に奇跡のレッスンでした。
まず、驚いたのがシェフパティシエが
20歳と自分より年下だった事
シェフパティシエというのはデザートを作る
責任者のポジションで
ホテルだと30代になりようやく辿りつく役職です
それを20歳の若者が任されている事に
驚きました
フランスでは子供の頃から料理や菓子をつくり
早ければ14歳や15歳からレストランで働くそうです
なので5歳から菓子作りを始めたとしたら
20歳の時点でもう15年選手!!
日本のホテル業界とは違い年功序列は関係なく
実力主義なので25歳で総料理長になる人もいます。
そんな実力を兼ね備えたシェフから指導を受けるのですが
フランス人は日本人と発想が違います
日本人が考えない事をインスピレーションするので
料理もとても奇抜で面白いものでした。
前菜ではソテーされたフォアグラの上に
ゴマ油でソテーしたマンゴーの細切りをのせ
ナッツを振りかけたものや
ほたて貝のグリエにココナッツのソースを合わせ
付け合わせにはワサビのアイスを😂
デザートにはシェーヴルチーズを
豆腐に見立てたものを
和の食材や調味料を使用したコース料理で
日本人なら考えないような発想が
とても勉強になりました。
逆にフランスならではの料理もあり
パン・デピスというスパイスを生地に練り込ませた
パンがあるのですが
デザートでよく使用されます。
パンにスパイスを入れるという発想もフランスならでわで
当時のフェアでもデザートで提供され
食べた事のないスパイシーなパンに
衝撃を受けました。
パン・デビスは元々は中国の保存食で
ヨーロッパに伝わったのですが
フランス料理というのはフランスだけで
とどまらない外国の文化や食材や調味料を取り入れ
新しいものを創作していくものだと教わりました。
盛り付けるときも美しさを追求して美しくなければ何度も盛り直し
日本では時間と提供スピードに重きを置きますが
フランスでは美意識がとても大切で
もちろんスピードも求められますが
時間は二の次
完璧に準備が出来ていないと営業時間になっても
店をオープンしない。
日本なら準備が出来ていなくて間に合わなくても
時間になればオープンします。
なので営業が始まってから慌ただしく準備して
提供に時間がかかったりクォリティが下がる事は
しばしばあります。
クォリティが低くてもお客様から
頂く料金は変わりません。
フランス人はクォリティ重視
頂く料金以上の事を求めますので
準備が完璧でなければ
平気で営業時間をずらします 笑
フランス料理は歴史を辿るとイタリア料理がベースに
なってます。
大衆的な一般庶民の料理だったイタリア料理が
フランスの貴族のための高級な料理に
変化していったという歴史があります。
ラーメンもそうですが中国から伝わった麺料理が
日本で昇華され現在では昔に比べ高価なものに
変化してきました。
屋台で提供されていた大衆的なラーメンが
今ではラーメンのコース料理を提供したり
完全予約制、会員制のお店もあります。
常に進化を求めて
ただ食べるだけではなく
料理を魅せる時代へ
この料理フェアでは
国が変われば考え方が変わる
食材や料理に対する姿勢が違う
美意識の違い
感覚の違いと
多くの事を学べました。
正に奇跡のレッスン
とても貴重な経験でした。
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