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おかえり日常(ニラ玉と鶏ハム)|酒と肴 その八十一

ゴールデンウィークの終わりと共に、通勤電車の混雑も戻ってきました。

そんな折、落雷の影響で一部路線が運転見合わせ。直通運転の入り組んだ都内は、加速度的に乗車率が上がります。
ソーシャルディスタンスもどこ吹く風、身体が軋むほどの満員電車。パーソナルスペースを守ろうと身をよじったばかりに、デリケートゾーンが手すりに押しつけられる悲劇に合いました。

数年来の出来事で空いた電車に慣れてしまったものの、こんなことって日常茶飯事でしたね。

日常と言えば、普段の、ありものでつくる献立が大好きです。
賞味期限間近のたまご、冷凍しておいた特売肉、買い置きの野菜で作る定番メニュー。派手さも新鮮さもありませんが、身の丈に合っていると申しますか、何ともしっくりくるんです。

そんな「くたびれ系」の食材で、この日は二品作りました。

我が家の定番くたびれメニュー

まずはニラ玉。
ちょいちょい作るのですが、正直イマイチです。なのに今回も選んでしまったのは、腐れ縁みたいなものでしょうか。確かに、油断して野菜室に放置していた結果、葉先が少し溶けていました。
ニラって特売が掛かることも多いのですが、匂いの強さが食べる日を選びます。そのせいか、使うのが後回しになっちゃうんですよね。
食べきるまで2、3日を要するあたり、家人からの支持も得られていない模様。だけど濃い目の味つけなので、酒の肴にも飯のおかずにもなります。ある意味コスパがいいのかも知れません。

もう一品は鶏ハムです。
氷の世界に封印されていた堕天使、鶏胸肉で作ります。ウチのご近所では100gあたり55円だとお買い得、数年前には38円なんて頃もあったのですから、物価のコキュートスもだいぶ様変わりました。
パクチーを散らすと、味も見た目も良くなることは存じておりますが、買い出しが億劫なので省きます。長期間冷凍のせいか、しっとり感は少ないですけれど、麻辣なタレのおかげでまあまあイケます。萎びたキュウリの歯応えを、玉ねぎスライスで補うファインプレーが光ります。

あらためて文字にすると、一体どこが好ましいのか分かり辛いですね。
補足しますとご馳走みたいなイベントって、一時的にゲージが上がってハイになる分、終わった後の喪失感がデカくて苦手なのです。祭りの後、いつも通りのはずなのに、寂しさが募るアレです。
だからかしら、見映えもせず、代わり映えのない献立に惹かれるんですよ。

そして三年あまり続いた混乱も、一応の区切りを迎えました。あと七十五日もしたら、きっと何ごとも無かったかのようになるのでしょう。
あんなくたびれるイベントはもう勘弁、これに関しては喪失感ばかりで寂しさはありません。

戻りつつある日常を大切に、普段の暮らしと、お店で呑める一杯に感謝をして過ごします。

■□■ 店番のお知らせ ■□■

西日暮里BOOK APARTMENTさんの棚をお借りして、酒と料理の読みものを中心に、集めた本を販売しています。

次回は5月20日(土)12:00〜16:00がお店番、数量限定で長野県の美味しいものも販売します。

最新情報はtwitterにて。



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