冬の醍醐味(ビビンバ)|酒と肴 その七十一
この季節、お風呂が何よりのごちそうです。
シャワーは手軽で便利ですが、暖まるには至りません。いくら温度を高くしても、表面を流すだけでは却って寒さが増すばかり。湯船に浸かってこそ味わえる、冬ならではの楽しみです。
いつ、お風呂に入るかという問題があります。
私は酒を嗜む生き物。酔うと全てのことが億劫になって、布団に潜り込む習性があります。ですから基本は晩酌前に済ませる派です。
それでも、料理によっては髪や服に匂いがつくのが困りもの。
ホットプレートでいろいろ焼いて、ビビンバで〆るのが好きなのですが、換気扇を「強」にしても、空気中に漂うごま油とコチュジャンが染み付き離れません。ですからビビンバの日は、泣く泣く食後にシャワーを浴びるのです。
…のはずが、着のみ着のまま気づけば布団。酔っ払うと、自分ルールはいとも容易く破られてしまいます。
結果、朝からシャワー(これがまた寒い)を浴び、シーツや枕カバーの洗濯で貴重な休日が溶けていきます。おかげでこの頃はホットプレートから足が遠のきました。
とは言え、ビビンバは食べたい訳で。
そこで発見したのがホットプレートは使わず、あらかじめ肉とナムルを炒めて「ビビンバの素」を作るスタイル。昼のうちにを作り置きして、夕飯前にお風呂を済ませます。
あがりましたら、まずは魚焼きグリルにエビやお肉をイン。焼けるのを待つ間、火照った体をビールで解熱します。
結果として喉に潤いを与えることになり、風邪予防にもつながります。韓国海苔はミネラル補給が目的。お通しではありません。
焼けたところで本搾りのレモンに切り替え。熱々の魚介と肉塊には、氷たっぷり爽やかなチューハイがよく合います。これもあくまでビタミンCで免疫力アップのためであり、体内のアルコール消毒も兼ねています。
なんて益体もない言い訳をしつつ、〆のビビンバまで呑んでは喰い、喰っては呑みを楽しみました。
翌朝、夢にサムギョプサルが出てくることもなく、至って健やかな目覚め。枕カバーをスンスンしても、コチュジャンは感じられません。
ビビンバの素のおかげで、心置きなくお風呂に入れるようになりました。
のんびりビバノンすれば、湯気が天井からぽたりと落ちます。口から出るのはもちろん
「ハァ極楽、極楽」
この冬、皆様のお風呂ライフがいい湯であることを願います。
メニューと材料
・ビビンバの素(合挽き肉、ナムル盛り合わせ、コチュジャン、ごま油)
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西日暮里BOOK APARTMENT次回の店番予定のお知らせ
12月25日(日)12:00〜16:00
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