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小市民の宴(豆のサラダ、アンチョビポテト)|酒と肴 その六十ニ

不意に仕事がべたなぎ。週の半ば、思わぬ賢者タイムの訪れに、ひらめきで会社を休みました。

いい歳しても遠足気分、いつもより早く目が覚めます。
起き抜け、いざ美術館と調べたところ、気になる展示は終わったばかり。慣れない勢い任せは、どうにもタイミングを外されます。

それでも粘って布団でごろごろ検索するも、ピンとくる展覧会はありません。曇り空からは無情の雨。嗚呼、こんな日は何をしたって出るのは裏目。諦めて家に籠ります。

それにしても今年の関東、公式には6月27日に明けましたけれど、感覚的には戻り梅雨。
「100年に一人の〇〇」に馴れきったよう、「数十年に一度の大雨」も日常的。防災グッズを見直す必要がありそうです。

さて、このまま静かに過ごせばいいのですが、息するだけで喉は渇きます。すると一杯やりたくなるのは、酒呑みの素直さと言いましょうか、イヤらしさと言いましょうか。

時計を見やればまもなくお昼。半日も呑まずに過ごした自分に対し、ご褒美が必要な案件です。
そうと決まれば、正午のサイレンを合図にキッチンを物色、冷蔵庫のビールと目が合いひと安心。食材は買い出し前で寂しかったので、乾物コーナーを漁ります。

シンク下では賞味期限間近の蒸し豆パックと、長らく行方知れずだったアンチョビ缶に遭遇。野菜かごのじゃがいもとにんにくも使い、昼酒のアテを作りましょう。

一品目は温かい豆のサラダ。まず、アンチョビのオイルとにんにく、唐辛子を炒めてソースを作ります。ボウルにあけた豆と和え、胡椒を挽いたらできあがり。

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二品目はじゃがいも料理。レンチンして、スキレットに残ったオイルで炒めれば、アンチョビポテトの完成です。今回は青のりでしたが、粉チーズも良さそうです。

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料理が終わった頃、いつしか雨は本降り。ザアザア音をたてています。

せっかくなので夏を味わうべく、エアコンを止めて扇風機、仕舞ってあった夏の絵を飾ります。さくらいはじめの、レコードを持った水着の女の子。これで準備は万端整いました。ちなみに冬の絵は、ビアズリーの、生首に口づけしようとするサロメです。

美術館には行けませんでしたが、自宅で眺めるポップアート。グラスのビールをゴクゴクやれば、気分は上々ご機嫌です。

出来ればすぐにもう一本呑みたいところですが、片付けが嫌になるので、先に洗い物を済ませておくことに。昼酒に抵抗は無い癖に、このあたり、大胆になれない自分の小ささを感じます。

夏は開放的と聞いてるんですけどね。


メニューと材料
・豆のサラダ(蒸し豆、アンチョビオイル、にんにく、唐辛子)
・アンチョビポテト(じゃがいも、アンチョビ、にんにく、唐辛子、青のり)

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