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森 博嗣さんの「自由をつくる 自在に生きる」を読む

25年以上勤めたお堅い職場を早期退職して、現在、小学生男子を育てながら主婦をしているまめさとです。
読書好きなので、今は暇に飽かせていろいろな本を乱読中。

今回は森博嗣さんの「自由をつくる 自在に生きる」を手に取ってみました。

ご存じの方も多いかと思いますが、森さんは国立大学の教員をしながら、好きなことをするための資金を得るため、小説を書いて作家デビュー。
しばらく二足のわらじをはいたのち、教員の仕事はやめて、作家業に専念。
今はその作家のお仕事も抑えつつ、田舎でご自分の好きなことに没頭するという、私からすると理想的な人生を送られている方です。

森さんは先入観や常識にとらわれず、常に事の本質を見極めようとするスタンスで、思考回路が極めて合理的です。
それでいて理論的な正しさだけにこだわるのではなく、物事のメリット・デメリットを比較し、現実的な判断をくだし、最終的な目的を達成するために黙々と行動する。

その理知的な考え方に目から鱗ということが多々あり、ちょくちょく著作を拝読しております。
しっかりと自分の考えを持ちつつも、他人の意見を否定することはしない。
その代わり、迎合することもなし。
そのクールなスタンスもツボだったりします。

この本のテーマである森さんの考える自由とは、私の解釈が間違っていなければ、自分の思った通りに行動できること。

人は社会的あるいは常識による支配を受けています。
会社で働くなど、ある組織に所属することも、支配されている状態にあたります。

これは人間が本能的に持っているもので、生存戦略の一つ。
文明が発達していない時代において、集団で暮らすほうが生き残るのに有利だったため、何かに所属していることで安心する傾向があるそうです。

そうした事情がある以上、自由に生きることは、周囲との摩擦を生じるのが当たり前。

なぜならば、ほとんどの人がなにがしかの「支配下」にあってその支配を当たり前だと思いこんでいるから。
その「当たり前」の世界を乱そうとすると、軋轢が生まれるわけです。

森さん自身の人生の目的は自由であることと、述べられておられますが、不自由を良しとしている人を否定していません。

何かの支配下にあっても、得られるメリットがあり、損得勘定の結果、支配されているほうが今の自分にとって有利だと評価されれば、我慢したほうがいいし、我慢できる。
むしろ、大きな自由を得るために小さな支配をある期間じっと我慢するケースは割と多いと書かれています。

大切なのは支配されていることを自覚すること。
その前提に立ったうえで、不自由は息が詰まるという人に自由になるための心構えやヒントを提示してくださっています。

こういうところが森さんらしく、現実的でとても好きだなと思います。

本を読み終わり、なぜ自分が働こうとする気持ちから完全に逃れられないのか。
人恋しい、承認欲求を満たしたい、ということもあるかもしれません。
が、自分自身がやっぱり何かに支配されているという状況を望んでいるのかも。

そんなことを考えた本でした。

本日の写真:しだれ梅
青い空をバックにした桃色の花がきれいでした。

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