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読書について 21.08.30_omom

去年、友人とブッククラブを始めた。クラブと言っても夫と友人の3人で月に1回カフェに集まって課題本について感想を言い合っているだけだが、これが結構楽しい。(絶賛会員募集中)今月の課題本はドイツ人哲学者ショーペン・ハウエルの「読書について」という本だ。著者曰く、読書とは他人にものを考えて貰う行為で、多読すると次第に自分で考える力を失ってしまうそうだ。なので、悪書を読まず良書だけを読み、読んだ後で自分で思索する必要があるという。

 うちは家にテレビを置いていない。テレビがあると、薄っぺらい扇動的な内容の番組を、興味も無いのに何時間もだらだら見続けてしまい、時間の浪費になると考えているからだ。ネットフリックスも、私の弱い心ではエンドレスに見続けてしまう事になるので、約1年前に断腸の思いで解約した。それ以後は図書館に通い、本をよく読むようになった。そんな私にとって、このショーペン・ハウエルの提言は胸に刺さった。テレビを見ない事でかなりの時間がセーブされたと思っていたが、今度は本をテレビ感覚で、暇さえあれば次から次と読んでいた事に気付かされたのだ。

 ショーペン・ハウエルの言う「思索」とは、秩序立てて考えをすすめる事で、自分で思索する人としない人は、そもそも思考の出発点が違うらしい。思索する人はまず自分で理論を立てた上で、本を読んで他人の意見を知り、それを自分の理論を立証するのに利用するが、自分で思索しない人は、最初から人の考えた内容で思考をスタートさせる。そして自分の頭で考えていない人程、有名な教授や学術書の記述など、すぐに権威を持ち出すらしい。(ぐさり) これを聞いて、映画グッド・ウィル・ハンティングで、ハーバード大の学生が集まるバーで、本の内容や著名人の意見ばかりを引用して知識をひけらかしてくるインテリ風学生に対して、マット・デイモン演じる天才不良少年が言い放った言葉が頭に浮かんだ。「それはお前の意見じゃなくて本に書いてあった内容だろ。俺もそんな本なら地元の図書館で借りて読んだわい。自分で考えて物を言いやがれバカヤロー。文句あるなら表でろ」(だいたいこんな感じだった)そうかっこよくキメて、彼は意中の女の子の電話番号をゲットして颯爽と去っていった。

 私は今まで本を読んで得た知識を頭に貯める事で、自分の頭脳がレベルアップしていると勘違いしていた。しかしこの本を読んで、大切なのは読んだ内容を自分の考えと突き合わせ、そこから思考を突き進めていく事だという事に気付かされた。では具体的に何をすれば良いのだろう。ひとつできることは、面白い、もしくは同意できない、理解できないと思う節に出会う度に、一旦ページをめくる手を置いて、なぜ自分がそう感じたのか考えたり、読み終わった後で人に感想を共有するといった事では無いだろうか。(まさにブッククラブですね!皆さん、さぁ我がブッククラブに加入してください)人生の時間は限られているので、読む本のセレクトも慎重に行ったほうが良い。後は、瞑想とかも良いんじゃないかと思う。1日のうちに頭を無にして、湧き出る思考に身を任せて色々考えてみる時間を持つのは良いことだと思う。そうでないと、情報だけが頭に溜まりぐちゃぐちゃになって、意味も理解できぬまま消えてしまうのではないだろうか。今年からは、がむしゃらに読む姿勢を止めて、厳選した本をじっくり読み進めていきたいと思う。

桃


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