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喫茶店にて【詩】

 夜と朝のあわいに位置する喫茶店で待ち合せしているのは刑事とその愛人。野暮ったい内装だが滅法旨いパンケーキを出すお店。刑事は止められないショート・ピースを咥えながらただ待っている。愛人は一言も喋らない。刑事はまだ火を点けない。聖書売りのおんなが近づいてくるが直ぐに踵を返してカウンター席に座る。聖書を開くとそこには押し花が挟んであり、押し花をカウンターに置いてなにも注文せずに店を出る。ウェイトレスがコーヒーのおかわりを注ぎにくる。2人分たっぷり注いだ後、ニコリともせず去ってゆく。刑事と愛人は一言も喋らない。

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