息子のハンパない卒業旅行は誰に似た?
3月に大学を卒業する一人息子がいる。就職が決まり、残りの大学生活をどう過ごすのか気になっているとLINEが届いた。
「とりあえず、やることを決めた」
①青春18きっぷで日本一周
②アジア旅行
最初は、コロナ禍で行けなかった海外留学や海外インターン、ワーホリも考えたみたいだが、部活の引退試合が11月にずれ込むことが決まり、考え直したようだ。限られた月日の中で彼なりに考えた結論だった。
とは言っても、十分な日数がある訳ではない。どうスケジュールを組むのだろう? しばらく見守ることにした。
12/9 仙台港まで見送りに行く
日本一周のルート 北海道から攻めることにしたらしい。
「普通は夏休みにするんじゃない?」
冬の北海道を電車で回るという”無謀“な計画に不安しかなかった。
それでも、初めての一人旅に出発する息子が、不安に思わないように笑顔で見送った。
後ろ姿はとても寂しそうだった。
彼はどんな気持ちなんだろう?
「期待と不安はどんな割合?」
「半分半分かな」
きっと不安で一杯だっただろう。
でも、この1か月後。彼は予想以上の「日本一周」を成し遂げるのであった。
北海道を5日で回り、函館から本州に入ったと連絡が来たのは12/13だった。
天気予報は大雪警報。
北海道でも倒木で1時間半電車が遅れることがあったらしい。もともと本数が少ないため、万が一電車が止まると予定が大幅に狂ってしまう。
今回は「全国旅行割」を利用するために予め泊まる宿を決めていた。
秋田から新潟まで移動する日に予想外の大雪に見舞われた。
何時に着くかわからない電車に乗り、次の電車が何時に来るのかわからないまま駅で待つ。そんな中、夜中の1時に新潟にたどり着いた。
いったいどこからそのエネルギーが湧いてくるのだろう?
小さい時は決してトップを走るタイプではなかった。どちらかと言えば、後ろからワイワイついていくタイプ。授業中も積極的に手を挙げて目立つタイプではなかった。
そういえば、息子の成長を感じた出来事が過去にもあった。
大学1年生の春休み。5週間の短期留学でオーストラリアを訪れていた時のことだ。
ブリスベンにホームステイしていたが、あるライブを見に行った時に最終バスに間に合わず、一人でホテルに泊まったと後から聞いた。
最初は、ホストファザーが迎えに来てくれるはずだったが、予定よりライブの時間が延びて泊まるしかなかったそうだ。一緒に観に行った友達は、みんな家に帰ることができたため、息子一人で泊まる場所を探した。
昔と違って今はアプリなどから情報がすぐに手に入る。とはいえ、知らない場所で夜に一人でホテルを探す。なかなか無謀な挑戦だ。
この辺が良さそうだと向かうとホテルは既に鍵がかかっていた。諦めてうろうろしているとホテルの関係者のような男の人を見つけた。泊まりたいと(もちろん英語で)交渉し無事に泊まることができた。
*ブリスベンは、私が25歳の時にホームステイした思い出の場所でもある。
そうそう、今回の旅の友、バックパックは私が30年前に使っていたものだ。
大雪が続く日本海側をひたすら南下した。北陸を抜けて山陰まで進み続けた。始めての一人旅ということで、一つだけアドバイスをした。
「一人旅の醍醐味は人との出会いだよ」
偶然出会った人との会話からたくさんのことを知ることができる。自分の経験からのアドバイスだった。
「セトちゃんは、一時期、全国を飲み歩いていたんだよ。そこで出会う人といろいろ話すことで、たくさんの事を知り、たくさんのファンを作って、今があるんだよ」
※息子と仕事の話になると、今、日本人の若者で一番のオススメ『セトちゃん』の話になる。
そんな話をしたせいか、息子は泊まる町々で居酒屋に通ったそうだ。ある時は旅行中の40代の男性と。ある時は店のマスターや女将さんと。たくさん話をしたらしい。
一度、卒論発表のため戻り、12/20に再出発した。年越しは福岡。その後、九州、四国を回り、静岡まで来た。
青春18きっぷは5枚綴り。静岡でちょうど切符を使い切った。
「この先どうやって進もうか?」
息子が出した答えは、
なんと「ヒッチハイク」だった。
いったい誰に似たのだろう?
私の事を知る友人たちは、
「間違いなくあなたの子です」
と声を揃えた。
やっぱり私かぁ。。
というのも20歳のころ、
国内(宮城⇆長崎)でヒッチハイクをしたことがある。とはいえ、もう30年以上前の話である。当時は今より危険の少ない日本だった。
そんなこんなで無事日本一周を終え、帰宅した息子は何倍も大人になっていた。午前中いっぱい車が捕まらず、1時間半歩いて、"歩いて入れるSA"まで移動。その後、ラッキーなことに3台乗り繋いで帰ってきた。
「かわいい子には旅をさせろ!」
旅をさせてよかった。
この後、タイとカンボジアへ旅行してきた。パスポートの残存期間が少なかったため再発行となり、出発日が3日遅れたところが彼らしい。
春から社会人。
きっとこれからも いくつもの出会いや別れを経験し、たくさんの事を学んで成長していくだろう。
親元から離れて行く寂しさはあるが、無事に子育てを卒業させてくれた息子を応援しつつ、私も第二の人生を楽しく歩んでいきたい。
悩んだらいつでも帰っておいで!
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