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バージンロードで交される父と娘の会話は実は・・・

教会で結婚式を挙げ、お父さんと腕を組んで
バージンロードを歩いた経験がある女性のみなさん、
もしくは、娘と歩いたことがある男性のみなさん、
その時どんな会話を交わしたか、覚えていますか?

おそらく、それまでほとんど腕を組んだこともなく、
それでなくても初めてのバージンロード、
しかも娘は嫁いでいく。
そんな究極のシチュエーションの中、
緊張して何も話さなかったとか、記憶にないとか、
そういうことも多いでしょう。

テレビドラマや映画などでは、よく
「お父さん、長い間お世話になりました」とか、
「幸せに、なれよ」とか、
感動的なセリフが生まれるシーンでもあります。


私事ではありますが、先月、娘が式を挙げました。
前日まで「嫌だ」と言い張っていた夫をなだめ、
なんとか扉の前の控え室に連れて行くことが出来ました。
でも、そこで受けたプランナーさんの説明は思いのほか複雑で・・・
「最初に新郎が入場、一番前で待つ。
新婦の母(つまり私)は呼ばれたら扉の内側で待機、
扉が開いて花嫁と父が一礼、一歩中に進んだら、
花嫁のベールをおろす、“ベールダウン”というセレモニーを行う。
そしてベールをおろした花嫁と父がバージンロードを歩いて行き、
新郎にバトンタッチする」
これだけのことを、直前に説明されて、頭の中は少々パニック。
(もっと事前に教えといてよ~っ)
「大丈夫だろうか、忘れたりしないだろうか」と
不安になってしまいました。

これから、大切な娘の結婚式が始まるというのに・・・

そうなのです。
感動的な式にどっぷりと浸って涙するはずが、
準主役みたいな立場になってしまい、
まるで初舞台を踏む新人みたいな気持ちになってしまったのです。

心の中で自分のやるべきことを反復しているうちに
あっという間に結婚式は始まりました。

私の役目はベールダウン。
ベールが髪に引っかからないように・・・
娘の大切なドレスを踏まないように・・・
それだけを考えながら、なんとか役目を終えると
こともあろうに、かけた言葉は「いってらっしゃい」

ああ!
ここは「誰よりも幸せになるのよ」じゃないの?

なぜか凹みながら自分の席に戻る新婦の母。
それでも、自分の役目を終え、少し余裕ができて周りを見渡すと、
ゲストの多くがハンカチを目にあてて涙をこらえている様子が。
え?まだ入場の段階なのに?
後から聞くと「パパと歩いている姿を見ただけで涙が溢れて・・・」と。
ケンカばかりして、でも似たもの同士で、妙に仲良しなところもあって。
そんなふたりを知っている人たちにはたまらないシーンだったようです。

さすがの夫もグッときてるんだろうな・・・
ちょっとうるっとしながらふたりを見ると、

あれっ?

笑ってる??


思いだしたのは、20数年前のこと。
私も同じようにウエディングドレスを着て、教会で式を挙げました。
生まれて初めて父親と腕を組み、バージンロードを歩きました。
その時の会話は今でもはっきりと覚えています。

「ちょっとお父さん!右、右!」
「同じ足を出さないで!ドレス踏まないで!」

緊張でガチガチの父親は、
「右・左・右」と私が小声で指示を出したにもかかわらず、
うまく歩くことができなかったのです。
私は私で、「蹴るように歩いて」と指示されても
長いドレスを引きずってなかなか上手く歩けず、
しかもくっつきすぎたり離れすぎたりする父親に合わせることに必死で、
感動なんてどこへやら、
夫のもとにたどり着いた時には、心からホッとしたものでした。
「ああ、転ばなくて本当に良かった・・・」


後から娘に話を聞くと、まさに同じことが起こっていたようで・・・

「パパは歩くの速いし、ちょっと待って!ドレス踏む!て言いながら
必死に歩幅合わせてたら、あっという間に着いちゃった。」

それでも笑顔が出ていた分、私の時よりは余裕があったみたいで、
「おまえが遅いんや」「いや、普通花嫁に合わすでしょう?」なんて
小声で会話していたようです。


夢のない話でごめんなさい。
でも、ぶっつけ本番がほとんどらしいので、
我が家以外でも、こういうことが起こっている確率は
案外高いかもしれません。

これからウエディングドレスで結婚式を挙げようと思っている方、
ご両親への感謝の言葉は、
式の前日までに伝えておくことをオススメします。


それに・・・

たとえこんな現実的な会話になっても、それはそれで一生心に残る、
そして結局泣かされる、
間違いなく、そんなステキな結婚式になるんだと、思います。


そんなステキな結婚式に、してくださいね♪





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