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"老舗びん問屋が見つめるサステナブルな暮らし"【大川硝子工業所】大川岳伸

東京都墨田区で100年続くガラスびん問屋『大川硝子工業所』。何度も時代の節目に立ち会ってきた企業は、強さと柔軟さと少しの遊び心を持ったカラフルな人でした。

まめくらし研究所で販売しているのは、そんな大川硝子工業所が"看板のような商品"だと語る3種類のびん。その商品について詳しく聞いていきます。

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"ここで売ってるガラスびんは可愛い"とお客さんに評判です。どういった経緯で生まれた商品なんですか?

すでにあった商品を3年前にリニューアルしたんです。時代に合ったパッケージデザインにしたりサイズダウンしたり、試行錯誤しましたね。私の先代の時代につくられたもので、どうしても昭和っぽいデザインだったので。リニューアルしてでもこの商品にこだわったのは、長く愛される商品だという自信があったからです。

というのも、地球びんに関しては先代が「煎餅屋で使われてるびんの小さい版つくったらどうか」と言って、需要も何も考えずにつくりはじめたのがきっかけなんです。当時は”つくりたいからつくった"商品が世の中に多くあって、その分商品に込められている熱量みたいなものが濃くあったように思います。職人技っていうんですかね。まずつくってみて、それを後から需要に合わせてチューニングしていく。この商品もそうやって続いてきたからこそ、いまでも通用するものだと思ったんです。

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なるほど。確かに機能性やデザイン性からも強いこだわりが伺えますよね。リニューアル後、宣伝などにも相当力を入れたんじゃないですか?

実はあんまりそこには力を入れてないんです。びんを買ってくれた方々が他の人にも紹介してくれて、徐々に広がっていったんですよね。聞くと「逆に懐かしい感じのこのデザインがいい」らしく、ちょっと複雑ですが嬉しかったです。コメダ珈琲店さんのミックスジュースに使われたのも大きかったんだと思います。

パッケージリニューアルを進める中「出来上がったデザインが昭和っぽい」という感覚がどうしても拭えなかったので、産学連携プログラムで一緒の専門学生たちにデザインについてヒヤリングをしたことがありました。そこで「古さとかは全く感じない」「色使いも今どきで可愛い」という感想をもらえたんです。それが後押しになっていまのデザインで進められたので、彼らを信じてよかったです(笑) 「古いデザインだな」と感じる僕の感覚が古かったわけですね(笑)

うちにとって象徴的な商品なので、そこにあるだけで宣伝になる。お金をかけて広告をつくるより、モノを売ることで宣伝していくほうが健康的ですよね。

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すでに大川さんにとってもかなり思い入れのある商品になってますよね。お客さんにはどんなことを感じて欲しいですか?

生活者のみなさんにびんをもっと身近に感じてもらいたかったんです。「可愛い」をきっかけにびんに触れてもらうことで、びんの魅力にもっと気づいて欲しいと思っています。

びんはペットボトルよりも密閉度が高く保存期間が長いので機能性にも優れています。なので昔から食品を保存するのに使われてきたんですよ。いまはそういったことを知らない人たちも多いので、うちのびんをきっかけに感じてもらえたら嬉しいです。蓋がカラフルなので、シンプルになりがちなキッチンインテリアに彩りを加える楽しさも感じてもらえると思います。

あと実は、びんって環境に優しいんですよ。リサイクルってありますよね?回収したモノを同じモノにつくり変えるイメージですが、同じモノになるのは缶とびんくらいなんです。ペットボトルは大半が別の物の原料になってしまいます。「可愛いからびんを使う」って純粋な気持ちが、知らずのうちに地球に優しくすることに繋がっていたら楽しいですよね。

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そんな想いのこもった商品には、今後はどんなふうに育っていって欲しいですか?

先代の頃からこれまでのように、長く愛される商品でいて欲しいです。

うちの仕事は伝統工芸じゃないけど、100年続いてるだけに昔からのお客様とか先代からの意志とか、色々と引き継ぐものはあって。もちろん蔑ろにはしたくないけど、そればかりに縛られる仕事はしたくなかった。だから今回のリニューアルもあったんです。これから地球環境を考える流れでびんにスポットライトがあたる時が来るかもしれません。その時、また新しいなにかを仕掛けられたら面白いですよね。長く愛されるものづくりってそういうことなのかもしれないですね。

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びんを通じて自身の暮らしや地球環境について考えるきっかけを生んでいる。「大川硝子工業所」の想いがこもった商品ならでは、なのかもしれません。店頭では3種類のびんを複数のカラーバリエーションでご用意しています。お気に入りの一品を探しに来てください。

まめくらし研究所
住所:高円寺アパートメント1階(東京都杉並区高円寺北4-2-24 A104)
営業時間:水〜日曜日 10:00〜18:00(不定休あり)
連絡先:junta@mamekurashi.com

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