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世界を小さく変えた、強く優しい女性

今日の朝映画は「フラワーショウ!」
ヴィヴィアン・デ・コルシィ監督の2016年の作品。

逞しく、美しく、色鮮やかな自然の生きる様子が前面に表現されたこの作品は、ランドスケープデザイナーとして活躍する主人公メアリー・レイノルズの半生を描いた物語である。



物語のあらすじ

主人公メアリーは、自然豊かなアイルランドの地で生まれ育つ。自然の声を聞き、いつも自然と共に生活してきた彼女は自然を生かすガーデニングデザイン”を得意としていた。
ガーデニングデザイナーへの道を歩はじめたメアリーは始め、憧れの有名ガーデンデザイナーの事務所で雇われる。しかし、その上司は自分の利益の為にメアリーのデザインを利用し、終いには大切なデザインノートを搾取し、彼女を解雇する。

悲しみにくれていたメアリーはある日、「チェルシーフラワーショー」(エリザベス女王が総裁を務める、世界最高峰のガーデニング大会)に出ることを思いつく。しかし、由緒正しきこの大会では、そう簡単に無名のデザイナーが出場することは許されていなかった。
そこから、ショーに出場する為の彼女の試練が始まる。
願書の取り寄せ、資金集め、新たなデザインの思考…様々な困難を乗り越え、彼女は出場権を獲得する。
出場権を得たメアリーだったが、本番の日、共に庭造りをしてくれる人が周りにはいなかった為、試行錯誤しながら仲間集めをしていく事になる。

メアリーは、大会の本番の日まで奮闘するが、その甲斐あって、最年少28歳で金賞を受賞した。メアリーは現在、「ランドスケープデザイナー」として活躍し、地球の美しい景観を守り続けている。

主人公が伝えたかったこと

この作品は、終始メアリーの眩しい程の純粋な想いが、作品全体を美しく彩る。物語の中で「人は美しい自然を求めて旅をするのに、その自然を守ろうとはしない」というメアリーの言葉がある。彼女はいかに自然を美しく魅せるかよりも、いかに自然の強くたくましく生きる様を訴えていくかを考えていた。今までの庭は色んな意味で美しくない、これからは自然を生かす庭を造るべきだと。

彼女の自然に対して真っ直ぐな姿勢や、夢中で愛しい相手を想うひたむきな言動からは、彼女自身が「向き合う」ことから目を背けないことを大切にしていることが窺える。
素直に周りにある物を見渡し、声を聞きいて、受け入れて、手を取り合う方法を考えていく。それはとても難しいことだが、とても大切なことの様に感じた。


作品を通じて

メアリーが訴える、自然の美しさや自然の持つパワーを、きっと私たちは生まれながらにして感じている。しかし、その感受する能力は、便利な資源に出会えば出会う程、日々の営みに手間をかける事を惜しめば惜しむ程、薄れていってしまうのだろうと思う。
忘れてしまっていた、美しい物をそのまま美しいと感じる感覚を…
忘れてしまっていた、有限な資源があるという事を…
この作品は思い出させてくれた様に思う

新しく美しい物を追い求め、創り出していく事と同時に
失われていた物を生かし、今残されている物を大切にしていく手段を考えていく事も大切なのだろうと思う。
そんな小さな思考の変換が、世界という大きな対象に変化をもたらすのかもしれない



春の温かい陽気な風に包まれて、空を仰ぎ、思い切り深呼吸をしている時の爽快な気分になれる、とても気持ちの良い映画だった。


参考
チェルシーフラワーショー-wikipedia
メアリー・レイノルズ

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