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なみだのある風景

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「詩」の置き場です
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#自由詩

詩「水紋」

流星のように落下する光は 涙を追いかけていた 水紋が 悲しみの分だけ広がり そしてまた 静…

詩「はらはらと」

ミズナラの黄葉が 一陣の風に はらはらと 舞い みずからの感涙は 色なき風に はらはらと 舞う…

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詩「まぶた」

涙から涙が生まれて絶え間なく あなたがかなしみを流すとき まぶたは鋭いナイフで負った傷口の…

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詩「いつのまにか」

ミリバールはいつのまにかヘクトパスカルに変わり 空気は肺に取り込むものじゃなくて 顔色を…

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詩「瞬き」

瞬きで会話するホタルのようにあなたと 瞬きでわかりあってみたかった 羽撃きを覚えたばか…

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詩「寿命」

味のなくなったガムを 噛み続けている 説得力のなくなった涙が 流れ続けている 横顔が 夕陽…

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詩「ゼロ」

ウソ泣きは五回目で罪悪感がゼロになる そのたび涙の塩分濃度は薄まり、とはいえ純水になるわけでもなく 失恋は五回目で喪失感がゼロになる そのたび傷心旅の移動距離は延び、とはいえ恋に臆病になるわけでもなく 夏は上書きされるたび暑くなり 私は上書きされるたびゼロになる

詩「武装」

反論されないよう理論で武装し 他国の脅威に対抗するため核武装する 自信のない自らの見栄え…

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詩「改竄」

学区か校区か、体育座りか三角座りか 通信簿か通知表か そんな小学校のころの呼び方の違いで …

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詩「信用しない」

唯一無二の という言葉は信用しない 信用してね という言葉も信用しない 無機質な記号と化し…

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詩「溺れる」

水に溺れるな 酒に溺れるな 涙に溺れるな いつか蒸発し 消えてなくなる ものに 愛に溺れたい…

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詩「はみ出してるもの」

ごぼうと長ねぎがレジ袋からはみ出してる フランスパンとセロリをエコバッグからはみ出させた…

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詩「没落」

きれいごとばかりじゃないのはわかっている 白を黒と言わなきゃならないことだってある 表情…

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詩「スコール」

やがて虹を連れてくるスコールのように感情をほどいて泣くわたしは 我慢できる痛みでナースコールなんて押さない 見たくない世界をスクロールして画面から消して平静を保つあなたは 室内プールで疲れ知らずのクロールを披露する