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なみだのある風景

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「詩」の置き場です
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#失恋

詩「恋を失う午後」

一口も口 つけて ない 珈琲の なかの 目と 目が合う 午後 頷いてる 合間に 零す 涙が 傍観…

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詩「道化師」

写真立ての中、楽しそうに笑う私にだけ 頬のところに小さくひとつ青い色鉛筆で なみだを書き足…

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詩「夏の衝動」

夏やせと 強がって みせた けれど 去りゆく あなたを 玩具の 水鉄砲で 撃ち抜きたい …

詩「夏至」

このまま 泳ぎ続けよう 水面に乱反射する 光まき散らし 無駄のない 息継ぎ 無駄のない ター…

詩「ふたつぶ」

夜通し降り続け 喧騒をかき消したのに それでもなお 木の葉の裏にかくれていた 雨ひとつぶ 夜…

詩「風花」

濡れたまつ毛が寒さで凍ってゆくので目をしばたたかせる 弱い陽射しの中、風花が涙といっしょ…

詩「恋敵」

振られたて直後、急に涙は出てこないものね 黒いヘルメットの後ろ姿を見送っていても 早速、ふたつ目の信号で右ウインカーが点滅 バイクがあなたを遠い世界にいざなってしまった 恋敵に負けてひとり まばたきすら忘れた

詩「涙日和」

ローカル線 向かいの 緑色のシートに 陽だまりが ちょこんと座り 銀世界 ときどき 針葉樹林 …

詩「オレンジライム」

夕日浴びて床にころがるライムかじれば オレンジの涙があたりの視界を滲ませる いつだってぼ…

詩「しじま」

投げられた 小石 投げかけられた さよなら 夕べの 川面に いくつかの 波紋を 描いたのは 小…

詩「ぺリエ」

もう炭酸の抜けてしまった投げやりなぺリエを飲み干して 捨ててきた恋を弔う きみたちの前で…

詩「ちいさな矛盾」

温野菜サラダ の前で さめざめ 泣いた 気づけば 朧月 冷え切った 温野菜サラダを ちいさな矛…

詩「キンモクセイショウトツ」

花に無関心なあなたが よい香りだねとつぶやいた金木犀って 惑星と惑星を足したような名前だっ…

詩「恋に恋する」

涙に涙することが あるように 恋に恋することも ある 上書きされる若さ故の理論 勘違いしたもの勝ちの論理 このごろ 涙もろくなって このごろ 恋がもろく散った