ヘブンゲート(ハンターハンター 二次創作)3話
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約2キロに及ぶ橋を車で渡ると、ある島に着いた。ヘブンだ。橋の行き止まりには巨大な駐車場があり。高速道路のサービスエリアのようになっていた。
島に入場するゲートは巨大な壁が立ちはだかっており、とても登れそうにない。時折、大型トラックや業者を乗せた車両が入場していくのが見えた。
入場できない人間はこのサービスエリアをUターンするしか無い訳だが、この場所自体が観光地となっていた。サービスエリアには屋台が並び、特設ステージでは高校生くらいのダンスグループがパフォーマンスをしていた。
巨大な壁には誹謗中傷の落書きがスプレーで一面に描かれていた。
ヘブンゲート名物のフランクフルトを咥える京平とソフトクリームを食べる山崎。
スーツ姿で薄いサングラスの山崎とワイドパンツにオレンジの柄シャツ、赤髪の京平はヤクザとチンピラにしか見えない。
身長170センチの京平は特別小さいわけではないが、180センチある山崎と並ぶとやや小さく見える。湯座と並べばさらに小さいだろう。
ゲートの方から刑事が汗を拭きながら戻ってきた。
刑事 「やっぱり、入場記録はないですね」
刑事はそのまま周辺のお店で聞き取りをすると言って足早に去っていった。
山崎と京平はコーヒーショップのテラスに座った。
京平は「ヘブンゲート発祥!」と書かれた、どこにでもあるようなミックスジュースを頼んでいた。
山崎 「お前、強化系だろ?」
京平は驚いた顔をした。
京平 「なんでわかったんですか?」
山崎はアイスコーヒーを一口飲んだ。
刑事が小走りで戻ってきた。
刑事 「やっぱりダメです、これだけの人が出入りしているのでお店の人たちは覚えてませんね」
ここまでは想定内だった。
山崎 「とりあえず入ってみるか」
3人は入場手続きを済ませ、車で入場した。
大きなトラックも入れるゲートの横に関係者用らしき小さな出入り口があることに山崎は気づいていた。その前には警備員が立っている。警備員は真っ直ぐと前を見たまま動かなかった。すれ違うとき、山崎がじっと彼を見ていることに京平は気づいた。
車で門をくぐると、内側のゲートの周辺はただの田舎道だった。
内側から見たダムのような高い壁は、向こう側の賑やかなお祭りが虚しく響いていた。
車で主要な街を散策する。入場手続きの際、地図を貰うことができた。
街では昼間から酒を飲んでいる人間が多くいた。競馬場から賑わう声が聞こえた。
美味しそうな飯屋が並び、大きなショッピングモールもあった。
そんな中、目につく高級車、高そうなスーツを着た男や、水商売風の女性も何人か見えた。
京平 「ずいぶん羽振りの良さそうな人もいますね」
山崎 「おそらく、保護対象者以外も結構な人間が住んでるな」
ここで商売をしている人間も許可を得て住んでいる。国がやっているといっても、並ぶ店の経営は外部委託だ。民間の業者が国から依頼を受けて店を出している。消費だけしてくれる人間が確保されている地域。こんなにいい話はない。当然、役人との癒着がある。
山崎 「さっきすれ違ったのは国会議員だ。議員バッチは外していたがな」
京平 「なんか、ムカつきますね」
小さめのジェット機が低い位置を飛んでいくのが見えた。
山崎 「大体分かってきた」
京平はキョトンとした顔で山崎を見た。
山崎 「刑事さん、この地域の有力者はいるか調べてくれるかい?特に治安はどう守られているか知りたい」
刑事 「わかりました」
山崎 「しばらく泊まり込みで調べたい。おそらく高級ホテルがあるはずだ。俺たちはそこに泊まる」
京平 「??」
刑事 「わかりました。私はどこかビジネスホテルを探します」
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