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認定調査の日

母の介護と旅立ち、そして向こうの世界とこちらの世界の架け橋⑮

介護保険申請の認定調査の日の朝、40前後くらいの男性の認定員さんがみえました。

真面目そうな感じのその方は手にした書類に時々目を走らせながら、母の現在の状態を確認し、母への質問へと進めていきました。

母の様子はと言えば、寝返りもうてない状態ではありましたが、やはり外の人が訪問しているということで、いくらか外向けの表情を装っている感じでした。

質問に先駆けて、認定員さんは母の前にペンや時計など、いくつかのものを見せて、これを覚えておいてくれますか?と言いました。

が、母は、覚えるなんてことできませんよ、と即答。

あ・・・いえ、そんな真剣に考えなくてもゲームのような軽い気持ちでいいんですよと、認定員さん。

そこから質問が進んでいきました。

ここはどこですか?

ここは・・・と、自宅の住所を言い始めた母。

あ・・そういうことじゃなくって、例えばどこかの施設とか、病院とか・・・

ああ・・・ここは私の部屋です。

・・・

今日、私が来る前は何をしていましたか?

もうすぐいらっしゃるかなぁって、あなたをお待ちしてました。

・・・・

多分認定員さんの予想とは大幅にずれてると思われる母の回答が続きました。

一通り質問を終えた認定員さんが、

最初に覚えておいてくださいって言ってた・・・と、言い始めた途端、

ああ、さっきのペンと時計となどと一気に言った後、

それがどうしましたか?と、母。

あ・・・いえ、もういいです・・・

このやり取りを横で聞いていた私は思わず笑いだしそうになってしまいました。

あ~・・・母らしい答え・・・

え~っと・・・どうしよう・・・なんて書けばいいのか・・・こういう回答をされた方、初めてですよ・・・

と、認定員さんは書類に目を落としながら、すっかり困惑してしまったようにつぶやいていました。

とにかく何とか認定調査は終わりました。

身体も心も疲れ切っていた私にとって、やっと外に救いができた気がしました。

その後、結果が出る前に地元の介護の相談窓口へ行き、これからのことをいろいろと相談にのってもらうことができました。

24時間在宅酸素が必要な母の状況から、医療系に強い介護事業所を何か所かピックアップしてくれたり、実際にすぐ近くの事業所につれていってくれたりと、親身に相談にのってくださり、何の知識も情報もなかった私にはとっても心強いサポートでした。

おかげでとっても安心できるケアマネージャーさんと出会うこともできたのです。



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