そりゃダメになるよ。
辞めた職場での会話はそのほとんどが同僚の悪口や噂話、それか女性関係の話だった。
「あいつはほんまクズやな」
「女だってヤリたがってる」
「女の方が気持ちいい」
「あいつ辞めるみたい」
「セックス、セックス」
「レイプ、レイプ、レイプ」
さすがに「レイプはダメでしょ」って言ってはいたけど。
私は女とは見られてなかったっていうのと男の方が強い職場だったから、いないも同然だった。
単に私の反応を見て楽しんでただけかな。
5年間耐えて、耐えて、耐えて。
それで。
ダメになった。
今ならわかる。
そりゃダメになるよ。
って。
諦めもつく。
でも当時は、
「私がダメなんだ」
「私が大人にならないと」
「あいつらに合わせないと」
「慣れたらなにも感じなくなる」
「あんなやつらでも好きだって思い込んでたら好きになれる」
って必死に思って頑張ったんだ。
その頑張りはとてもとても未熟で大きくて虚勢的なものだったけど。
若い私はそうするのが普通だと思ったし、1番いいことなんだって思ったんだ。
だって、私以外そんなことに疑問を持ってないんだから。
“慣れる”わけないのに。
“好きになれる”わけないのに。
でも...、頑張ったんだ。
「部署を移動させてください。でないと辞めます」
私にできる精一杯だった。最善だった。
この
“一時保留”
“整理期間”
を持てたからなんとか持ちこたえることができたんだって思う。
整理ができて、やっと今、落ち着いて判断できた。
職場は辞めた。
この決断が良かったのかどうかなんてわからない。
だけど、ひとつ、確かなことがある。
『私のために“いいこと”だった』
そう思えるから、今、自分を好きでいられる。
そう思えるから、前を向いていられる。
生理的に受け付けないことを無理に飲み込もうとしたら壊れちゃう。
そんな時は、逃げたっていいんだ。
自分を蔑ろにした先に幸せなんて絶対に訪れない。
しんどい時に、
「前を向け」
だなんて絶対ムリだもん。
今なら言える、
「それおかしいよね」
って当たり前が。
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