読書「遊ぶ鉄工所①」~人間らしく働ける環境を作る~

私は将来的にマネージャーとなったとき、どのような職場環境を目指すべきか、どのように変えていけばいいのか、悩んでいます。
本著では「汚く、暗い、地味な鉄工所」を周りが羨ましがるような理想の工場を作るまでのノウハウが書かれており、参考になるかなと思い、手に取りました。
Chapter1~3では、楽しく仕事をすること、高いモチベーションを維持することの重要性について書かれています。

・人間が人間らしく働ける環境を作れるか

本著では、「経営者の仕事は人間が人間らしく働ける環境をいかにつくれるかに尽きる」と書かれています。元々、油まみれだった著者の鉄工所ではどれだけいい仕事をしても社員の自尊心が満たされなかったそうです。「地味で暗い、油まみれで汚い」といったイメージから「社員が自分の子どもに自慢できる会社にすること」を目標にして会社を変えていったと書かれています。

・職人を作らない

誰でも同じ品質の製品を作れるように作業をマニュアル化することが大切と書かれています。蓄積した作業をデータベース化して残すことによって、誰がやっても同じ製品ができる体制となり、効率性が高まります。
また、このように職人としてのノウハウや能力を全部捨て、データ化、マニュアル化することによって人への負担が減り、「考える」ことに注力する知的作業が増えます。そうすると、新しい技術を勉強する時間もとれ、より楽しく仕事ができると書かれています。

・生産性が落ちてもジョブローテーションをする

著者はたとえ生産性や効率が下がったとしてもジョブローテーションを行なった方がいいと述べています。
その理由は、以下の通りです。

①モチベーション低下を防ぐ
人は仕事に慣れて(効率が上がって)しまうと、向上心が満たされなくなり、モチベーションが下がり始めることがあります。ジョブローテーションをすることで一時的に効率性は下がりますが、高いモチベーションを保てるため、ジョブローテーションをうるべきと書かれています。

②社内にノウハウや知識が蓄積される
人間の能力のキャパシティには限界があるため、ある程度ノウハウが溜まったらジョブローテーションして手放してあげることが必要と書かれています。それによってキャパシティが広がるため、新しい知識を入れることができます。但し、手放す際には必ずノウハウや経験値をデータ化して残すこと。そうすることによって引き継いだ社員もそのノウハウを使えるようになり、有用性が高くなります。

③社員の引き出しが増える
多くの仕事を経験することで、自分の引き出しが増え、様々な角度から検討できるようになります。

以上がジョブローテーションを行う3つの理由です。現状肯定の中からはイマジネーションは生まれない。ジョブローテーションを常態化させ、「現状を否定させること」によって新しい課題を発見できると書かれています。

・モチベーションを優先、生産性は後

働き方改革のもと、生産性について取り上げられることが多くなりましたが、生産性でなくモチベーションを上げるべきと書かれています。少しくらい効率と生産性が落ちてもいいから知的作業を確保し、モチベーションを保つことが効率性と生産性の向上につながると書かれています。

・5%でもいいから楽しいことをやる

一度に大きな変革はできなくても、5%でもいいから変えていけばいいと書かれています。この5%だけでもいいからという「5%理論」によって社内に停滞感が漂うことは無くなります。

~終わりに~

「人間らしく働ける環境を作れるか」という点は、働き方改革が叫ばれている今、企業の大切な基準になってくると思います。「労働することはツラい環境で過酷な作業を行うこと」という考えを変えていかなければならない。そのためには、社員のモチベーションを高く維持する仕組みづくりをしていく必要があると思いました。上からのプレッシャーも大きくかかると思いますが、部下や職場を守ってあげるマネージャーになっていきたいと思いました。

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