夏目漱石「こころ」番外編「Kの告白」~俺が死んだ理由を教えてあげようか?
友人は、変わらぬ毎日を過ごしている。
いまだに俺には何の説明もない。
俺は自分を正直に友人に話した。
恥を忍んでお嬢さんへの恋心を話したのだ。
まさかあいつも同じ人を好きだったなんて。
なぜ今まで言わなかったのだ?
そうして婚約が決まった今になっても、あいつからは何の説明もない。
あいつは俺をバカにしているのか?
友人も同じ人を好きだったことに全く気付かないどころか、恋の相談をする愚か者だと思っていたのではないか。
そうに違いない。
ここから先は
4,992字
¥ 300
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?