結婚という冒険(詳細)

この記事はキナリ杯応募投稿に簡単に書いた話の深掘りバージョンです。そちらにはキナリ杯のオマージュ企画「主婦杯」の詳細もあります。みなさんの主婦杯応募記事はこちらから→ https://note.com/hashtag/主婦杯


1つの場所にじっとしていられないわたしが、結婚生活なんて耐えられるのか?(いや耐えられない気しかしない)という意味では、結婚に踏み切ったのは人生で最大の冒険と思う。

どれぐらいじっとしていられないかというと、仕事なら1年、住居ならだいたい2年とどまればいいほうなぐらい。

具体的に例を挙げると、仕事なら半年で辞めたものもあるし2ヶ月で辞めたものも1週間で辞めたものもある。(こう書くとヤベーヤツみたいだけどそこまでヤバくないだろと自分で思ってるあたりがもしかしたらそこそこヤベーヤツです)

住居は実家を出てから今が7カ所目かな?思ったより大したことないな?っていうレベル。他の人がどうなのかあんまりわからないから比べようがない。ただ、あらゆることがわたしと真逆の、じっとしてられるタイプの夫と比べるとその差は歴然。夫は自分のことを"平均的日本人"と言っていて、仕事は最長10年最短2年で今が3つ目。これが同年代日本人の平均かどうかわからんけども。

そんなふうに飽き性で、我慢がきかず、それゆえにしがらみとは無縁のわたしが結婚。考えられない。無理。無茶。無謀。無味。無臭。ってぐらいに「無い」。

結婚って相手との生活に飽きることなく添い遂げる前提で我慢の連続で自らしがらみのジャングルに飛び込む行為なんでしょ??

ないな以内ないない。

「ない」を連打したら途中勝手に漢字変換されて「以内」が登場する始末。こんなふうにとにかく結婚に抵抗があったわたしと夫の出会いから結婚への道のり、誰も興味ないと思うけど書くよ。


夫との出会いは、入居者最大4人の小規模シェアハウス。わたし以外の3人は全員男性。

2DKのアパートを改装して、2部屋を無理矢理4部屋にした個室は絶望的に狭い。入居した日の夜は絶望のあまり本当に涙が出てきて、即退居を決心したぐらい狭い。(なんと、身長160㎝足らずのわたしが脚をまともに伸ばして寝るのにひと苦労する狭さ。男性陣はどうやって寝てるのか…)

次の日に別の大規模シェアハウスを内見に行きそのゆとりある広さに即入居を決意…するはずが、とりあえず狭いところで様子を見てみようという気持ちになったのが今思えば運命の分かれ目だったな。(国を跨いで実家1泊経由の引越し疲れが昨夜の絶望感に加算されていた気がするし、朝日を浴びて冷静になると市内とはいえまたすぐ移動するの大変だなという気持ちになった。しんどいことはなるべく後回しにしたい。それに家賃が倍以上高かったのもある。)

入居して1週間ぐらいたつと、シェア仲間の3人のうち一番年が近い男性(全員わたしより年下だった)と一緒に出かけたり作ったごはんをふるまい合ったりするようになり、寝る時間以外はほぼずっと一緒にすごすようになった。とにかく出会いからずっと何においても全部わたしを優先してくれてめっちゃ気が合う(話はあんまり合わないけどそんなことどうでもいいぐらいやさしい)その男性がいまの夫。

出会いから1ヶ月でプロポーズ、それから3ヶ月後の入籍は、そのシェアハウスで良くも悪くも表も裏もお互い何も隠しきれないほどの狭さが可能にしたスピード婚だった。

…のだけど、ある友達夫婦に当時このことを話すと奥さんの方は大いに喜んでくれたが旦那さんにはめっちゃ心配された。

「オーピー(わたしは夫にこう呼ばれてるから周りの全員にこう呼ばれてることにする)ヤバイって!1ヶ月でプロポーズとかその男ヘンだって!どう考えても騙されてるって!!!」

そうそう、そうだよね。そう思うよね。でもね、例えば彼ら夫婦の場合だと1年間の遠距離恋愛を挟んで出会いから2年で結婚だから、遠距離恋愛中は2ヶ月に1回しか会えなかったというし近距離恋愛中も1週間に1、2回デートしたとして1回あたりせいぜい3時間だとして、2年間一緒にすごした時間を全部足してもわたしたちの半月分にも満たないわけですよ。

わたしたちの場合、寝る時間はそれぞれの個室だが寝息も響かせ合う狭さだし日中は狭い個室よりはちょっとマシだがこれまたかなり狭い共用リビングルームですごしたり共に出かけたりして実質24時間一緒。たぶんそのへんの老夫婦よりずっと一緒だった自信ある。

え?そんなことある?え、え、え??って混乱したあなた。あなたは正常です。当時のわたしたちが特殊なんです。特殊ケースが偶然2つ重なったケースなんです。

当時、夫は無職。そしてわたしは退職前に有給消化中の身分。2人とも夏休みの小学生よりヒマ。宿題さえない。パッパラパー。

ちなみに夫が当時を振り返って言うには「無職の男と結婚するなんて大冒険だったね」だそうだけど、そこはまったく冒険だと思わないわたし。(夫婦でそのへんの感性が真逆)

彼は10年間働いた会社を思い切ってやめたあと、2年ほど食いつなぐための仕事をしてから、出会い当時しばし人生の休息中だった。長年憧れのバックパック旅行を実現させるべく安いシェアハウスに移り住み1ヶ月ほどたったある日、入居してきたわたしと出会った。10年も1つの仕事を続けられるなんて、それだけで大尊敬。わたしには絶対にできない。

入籍当時のわたしたちは世間的には無職の男と無職になろうとしている女だったけど、わたし的には不安なんて微塵もなかった。わたしの不安はいつだって、定職に就くなど固定された状態になるとすぐに「これではない何か」を求めて「ここではないどこか」へ行きたくなってしまうこと。社会や組織や世間という"ちゃんとした世界"に棲息できないこと。"ちゃんとしてるふり"を一瞬ならそれなりにできるししてるんだけどさ。

わたしと違って根っからちゃんとしてる夫は結婚を機にちゃんと働いてくれている。

彼の念願のバックパック旅行はわたしとの普通の旅行に変わったけど、そもそも夫は外国語ほぼできなくて一人旅を楽しめるタイプの人間じゃないらしい。わたしと出会う前の短い旅でそのことに気づいたから、適当に外国語を話すわたしと一緒の旅行の方がべらぼうに楽しいんだって。よかったね。わたしも楽しいよ。

何にでもすぐに飽きて投げ出して逃げ出したくなってしまうから、

夫との生活もうやめたい〜!子どもなんてもう飽き飽き!!ってなったらどうするの?仕事がイヤならやめてもいいし住む場所に飽きたら引っ越せばいいけど、夫や子どもはそういうわけにいかないんだよ⁇

というのが、実際結婚するまではとても不安で無理だと思ってた。夫や夫の家族に気を遣って、子育てにがんじがらめにされて、自分のやりたいことやれないなんてのも絶対に嫌だと思ってたけど。

なんのことはない。案ずるより産むが易し。夫との結婚生活、2人の子どもとの4人家族生活は全然飽きない。めっちゃ楽しい。そしてめっちゃ自由。ある意味独身のときより自由なぐらいだ。住んでる環境も家も文句のつけようがないぐらい快適だし。

結婚と同時に定住してから、自分史上最長定住年数記録更新中。(中国語みたい)

主婦を職業と呼んでいいなら職業も自分史上最長職業年数記録以下略。

1つだけ難を言うなら家が散らかり放題なことぐらいで、それは主婦であるわたしの職務怠慢によるものなのでどうしようもない。小学1年生のときから成績表の「整理整頓」欄は"もう少しがんばりましょう"でずっと通してきた生粋の片づけ(られ)ない人間。それがわたしです。

1人暮らしなら地表が見えない部屋でも生活に支障なかったけど、家族4人になるとさすがにカオスが極まってしまい、目下片づけ祭り©️『人生がときめく片づけの魔法』を果断決行中。ときめき感度が低すぎてツライですこんまり先生!


#主婦杯



あなたからわたしへのサポートは、わたしから誰かへのサポートにつなげます