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卵巣がんお気楽備忘録(6)いよいよ退院!

卵巣がん&子宮体がんが発覚してから約1ヶ月半。
1ヶ月にわたる全身の検査に耐え抜き(そんな大げさなもんじゃない)、ガチガチに緊張した状態で(嘘)人生初の入院、そして不安でいっぱいの中で(嘘)開腹手術に臨み、無事に悪いところを摘出。
最初は2週間といわれた入院だったが、10日で退院が決まった。
予定より早い退院といっても、別に私が「奇跡的な快復」を見せたわけではなく、フツーはこの程度らしい。
本人としては、何せ人生初めての手術だったうえに「ハラを切ったのだから結構な患者なんじゃないか」と思いこんでいたのだが、スタッフたちから見ればフツーに治っていき、フツーに退院が決まったということらしい。
ま、フツーが何よりってことです。

さて、10日間の入院生活も終わり。いよいよ退院の朝を迎えた。気持ちよく目が覚め、この日も朝食はしっかり完食。
朝食後にドクター回診。この日はチームオールスターであった。
若いドクターがキズの状態だけ確認して、主治医のセンセイが「じゃ、また外来で」。
皆さん最後までライトでさわやかだわ(笑)。

今回、主治医や執刀してくれたセンセイだけでなく、婦人科の何人ものドクター、そして何人ものナースにお世話になった。
思えば旦那の4ヶ月半にわたる入院生活の時も医療従事者としてのプロ意識&プロの動きと、患者を安心させてくれる姿勢を感じたものだが、いざ自分が患者になってみると改めて実感する。みんな何を聞いても丁寧に答えてくれるし、情報の共有がスゴイ。
おかげで何の不安もなく手術~入院生活を送ることができた。
10日ぶりにフツーの服に着替え9時半過ぎにロビーへ行くと、旦那が迎えに来ていた。
入院中は部屋の窓か廊下の窓から外を眺めることしかできなかったが、いよいよ外の空気を浴びることができる!
外に出ると風が冷たい。すっかり初冬の空気になっていた。
たくさんの方々に支えられ、人生初の入院生活も無事に終了。

コロナ禍での入院生活

私が入院したのは2021年11月。
世の中はコロナ禍であった。
入院前にはPCR検査、入院時にはCT検査があり、もちろん面会は基本的に禁止。
旦那が左足切断とリハビリで4ヶ月入院していた時(2018年)は毎日面会に行っていたが、今回はそれもままならない。
病室に居る時も基本はマスク着用、院内のコンビニも入院患者は行ける時間が限られている。
旦那とはテレビ電話で話をしたり、延々とメッセージのやり取りをしてはいたが、やっぱり初めての入院生活は心細いし淋しかった。
それでも私の場合は長くて2週間とわかっていたのでいいけれど、これが1ヶ月2ヶ月の入院の人は、家族に会えないって辛いよね。
スタッフは何だかんだと気にかけてくれるけれど、やはり入院生活ってしんどいものなのだ。

子宮と卵巣はなくなったけれど

2021年9月末の腫瘍発覚、そして卵巣がんと子宮体がん(ついでに大腸がん)の診断。この2カ月弱の間に、人生初のさまざまな体験をさせてもらった。
もちろん、しなくて済めばいい体験なのだが、これもきっと私の人生においては意味のあることだったのだろうと思う。
こうして文章に残す作業もできたわけだし。
卵巣と子宮はなくなったが、得るものもあるだろう。むしろ、これからは得るものばかりかもしれん! と、すがすがしい気分にもなった。

退院してからは、すぐにフツーの生活が待っていた。毎日の食事を作り、たまにはお惣菜で手抜きをし、部屋の片づけをし、溜まっていたことを片づけ・・・、ゆっくり動きながらゆっくり休み、毎日キズのチェックも欠かさず行っていた。
そうそう、そもそもの発端であった便秘は気持ちがいいほどに解消した。
退院直後はまだ腹に力を入れるのが怖かったのだが、退院翌日に実に気持ちよくするっとスッキリ。
やはり両側の卵巣にあった10センチもの腫瘍が腸を圧迫していたんだろうかねえ。

治療方針外来で摘出された子宮と卵巣を見る

退院してから2週間後、今後の治療方針外来があった。キズのチェックと内診、経腟超音波を行っていずれも問題ナシ。
パソコンの画面上で摘出した子宮と卵巣も見せてもらった。一応白黒の画面なのでグロさはなかったが・・・これ、一応患者に「見る?」と断ってからの方がいいかもなあと思った。
人によっては自分の臓器の画像を見るのはショックが大きいかもしれない。特に女性の場合、子宮がなくなったことで喪失感を感じる人もいるだろうし、画像で改めて見るのは辛い人もいると思う。
私の場合は、多分・・・ドクターも入院前から私のどうにもノー天気な様子やノー天気に検査に臨む様子を見ていただろうから、コイツは大丈夫と思ってのことだろう(と思う)。
そんなわけで、卵巣の大きさに驚き、子宮はホントに教科書にあるカタチだったなあと感心してしまった。
それでもしみじみと・・・妊娠経験がないゆえ卵巣はほぼ働かせっぱなし、子宮も本来の役割をすることもなく取り出されてしまったのだなあ。少し申し訳ない気持ちにもなった。少しだけ。

「センセイ、まだキズがチリチリ痛いし動き出しも重痛い感じで」と言ったら
「まあ・・・お腹切ってますからねえ」
・・・ですよねー。
しかも考えてみたら切ってからまだ3週間しか経ってないのであった。
表面のキズがどうこうなることは無いけれど、中はまだくっついてないかもしれないので、
ハラにぐっと力が入るような動きをしないようにとの注意。
家に戻ってきていろいろなことをやっていると、何をするにも腹に力が入るということを実感している。
立ち座りや歩くことはもちろん、背伸びをするのも食器を洗うのに前かがみになるのも、何かを取ろうとカラダをひねることも、靴下を履くことにいたるまで全部腹が大切。
退院してきてから何だか常に下っ腹を意識して生活していたような気がする。

未知なる治療(抗がん剤治療)の説明を受ける

そして改めて化学療法の説明。年内にスタート、3週間ごとに6回行う。
パクリタキセルとカルボプラチンという薬剤を使った「TC療法」という治療だそうだ。
婦人科の悪性腫瘍で使われている抗がん剤ではポピュラーなものらしい。
初回と2回目は2泊3日の入院で、3回目からは通院でできる予定だそうだ。予定どおり治療が進めば2022年3月末には終わる予定。
この治療が終わったらまた大腸の方をチェックしなければならんそうだが、まずは目の前の治療にしっかり臨むことにする。
一度にあれこれ考えても、不安ばかりが大きくなるのでな。目の前のことを一つひとつ、確実にこなしていければいいや、と気楽に臨むことにした。

そんなわけで、2021年11月、私たち夫婦は「透析&義足のサイボーグな旦那とがんサバイバーの嫁」となり、さらにバージョンアップ(?)を遂げた。

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