見出し画像

芸術の秋?大切な祖父との思い出と残された御朱印帳

ママリ編集部の湯浅です。

「〇〇の秋」といえばなにを思いつきますか?って大学生に聞いたら第5位が「芸術の秋」だったらしいです。「芸術」って言われると意識高いイメージがあるけど、僕はアートを見るのが好きなタイプです。

マイナビ 学生の窓口編集部、「「〇〇の秋」といえば思いつくものランキング! 大学生に聞いてみた」

ちなみに第4位は「睡眠の秋」だったそうで、個人的には初めて聞いたやつだったのでちょっと驚きました。睡眠時間は年間を通じて大切な年齢になってきちゃったので、今年の秋はいつも以上に寝ようと思います!

祖父とのお寺巡り

僕は京都出身。小さい頃からおじいちゃん、おばあちゃんっ子で2人と過ごす時間がとにかく大好きでした。

京都人らしくプライドは高いが明るく口数の多い祖母に比べ、大正生まれの祖父は絵に描いたような頑固じじいで、あまり笑顔を見せず、口数も少なく、うちの妻は表情に感情が出ない祖父を怖がっていたくらいでした。

そんな祖父と僕の楽しみはお寺巡り。週末が近づくと祖父が新聞などの切り抜きを持ってきてはここに行くぞって!関西にはお寺なんて腐るほどあるのですが、通常は公開されていない仏像や庭園の特別公開があったり、(お寺じゃないけど)博物館や美術館の企画展にお寺では見れない仏像などが展示されたりと、毎週のように何かと楽しめそうなネタがあったんです。

そんなこんなで毎週のように2人でお出かけしていました。

勝ちだるまが有名な勝尾寺

祖父と僕と文庫本

京都はもちろん、滋賀、大阪、奈良、兵庫と2人で様々なお寺や展示を楽しみ、その都度電車やバスで移動しました。

祖父は読んでいる文庫本を鞄に忍ばせ、僕にも文庫本を用意してくれていました。祖父はとにかく口数が少ないので、会話がない移動中は本を読もうという算段だったんだと思います。

そんな移動時間が僕にとって非常に幸せで、祖父が勧めてくれる本をひたすら読みまくりました。僕が祖父に読んでほしい本を押し付けることもあり、その本から彼が得た学びを箇条書きにしたメモを目にした時はとてつもない幸福感を抱いたのを覚えています。

他界した祖父が残した御朱印帳

お寺に行くと祖父は必ず御朱印をいただいていました。僕が小さい頃は祖父が何をしているのかすらわからなかったのですが、彼の御朱印帳は何十冊にもなっていたはず。

定年退職後も大学で仏教を学ぶほど熱心な人だったのですが、熱狂的な信者
だったわけでもなく、特定の宗派に拘る人でもありませんでした。頑張って働いた後の時間の過ごし方として、仏教を学び、学んだことを見てみたいという興味からお寺を巡っていたのかもなって思います。

そんな祖父が他界したときに僕が形見として手元に残したのは彼の御朱印帳でした。祖父はもう何周もしたのでしょうが、僕の手元に残った西国三十三所の御朱印帳にはまだ行くべきお寺がたくさん残っていました。

まるで彼と一緒だったときのように、僕は好みの文庫本を鞄に忍ばせ、祖父が残したお寺を巡り続けてもう10年経ちました。そしてやっと最後のひとつのお寺になりました。

紫陽花がきれいな三室戸寺

お寺という建築物やお庭、仏像群の芸術的価値とその歴史を、祖父との思い出と共にこの秋に制覇できるといいなって思っています。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?