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グローバルな若者が教えてくれた◯◯の話|酒場知見録vol.1

酒が入るとついつい余計なことまで喋っちゃう。
気づいていないかもしれませんが、その会話、結構聞こえてますよ・・・!

居酒屋店員が盗み聞きした面白い話をシェア。
今回は「グローバルな若者が教えてくれた【アイデンティティ】の話」です。

***

22時過ぎ、男性2名と女性1名が入ってきた。見た目は若く、20代後半くらいだろう。
彼らはすでに酔っぱらっていて、最初から大きな声で話していた。
会社の飲み会を終え、若者3人でもう一軒…と来たようだった。

3人の話題は、会社のことについて。

といっても、会社の愚痴を話しているワケではない。どうすればもっと面白い企画ができるか、もっと売り上げを伸ばせるか、世界に通用するか、ということを話していた。時折、英語や中国語を織り交ぜながら。どうやら彼らは全員が3カ国語以上話せるらしい。

彼らはそこまで仲が良かったわけではないのだろう。ひとしきり仕事の話をした後に、それぞれの生い立ちの話になった。

話を聞いているうちに分かったことがある。実はそのうち一人の男性が韓国人だった。

正確には両親が韓国人で、生まれた時から日本で育ち、国籍も日本だという。流ちょうな日本語を話していたし、見た目に何か大きな差があったとも思わない。しかし小学生の頃は日本人からも、さらに韓国人からも差別され、辛い思いをしたそうだ。

「結局、何に救われたと思う?」彼は2人に聞く。

「救われたのは、日本でも、韓国でもなく、アメリカ。英語が出来たことで俺は救われたんだ。」

「韓国人の両親に生まれたから韓国語は当たり前。日本で育ったから日本語は当たり前。周りはみんなそう思ってた。だけど英語を勉強して、話せるようになったら、周りが認めてくれたんだ。その時にようやく何者かになれた気がした―」


自分が何者であるかということ、つまり「アイデンティティ」は他者との区別によって生じるとされる。

韓国人でありながら、日本で生まれ育ったということは、それだけで十分に確立されたアイデンティティになりそうだが、現実はそうはいかない。アイデンティティは、その区別が他者に認められていないと成り立たないのである。

「英語に救われた」という彼の発言に、とても皮肉を感じながらも、個人として社会の中で生き抜く術を教わった。

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お涙ちょちょぎれ
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真央と書いて、まさおと読みます。会社員をしながら、たまにライターをしてます。映画、教育、飲み屋、の話を書きます。それから、「日刊かきあつめ」という駆け出しのライターたちによる毎日更新の共同マガジンをやっとります。
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