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「約束」はゆるく

歯医者さんに行くと、次回の予約のことを「次回のお約束」と言われる。

私が子どもの頃に通った歯医者さんでは「予約」は「予約」だった気がするのだけど、いつのまに「予約」は「お約束」と言われるようになったのだろう。

でも、ここ数年で、私も「お約束」という言葉にだいぶ慣れて、あまり気にしなくなっていた。

ところが、この間、美容院でも「次回のお約束」をいつにするか聞かれた。今までそんなことはなかったから、新しいマニュアルなのかもしれない。
でもビックリして、なんだか不快で、歯医者さんで言われる「お約束」に違和感を抱いていた気持ちを思い出してしまったのだ。

その美容院は、もう10年以上通い、ずっと同じスタイリストさんに担当していただいている。私が3〜4週間に1回のペースで通うことは、担当のスタイリストさんも他のスタッフさんも知っているはずなのに、次の来店を「お約束」させられる新システムは、どうにもこうにも息苦しい。
「お約束」なんてしなくても、行きたくなったら行くんだけどな。

予約ぐらい、自分のタイミングでさせてほしい。

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夏休みの何が大変って、毎日の昼ごはん作りと相場が決まっている。

でも、夏休みじゃなくても、お弁当という「家族のお昼ごはん」は、毎日作っている。

普段のお弁当と夏休みの昼ごはんが違うのは、朝ごはんが終わったと思ったらすぐにお昼ごはんのメニューを考えて支度にかからなければならないような、「束縛されている感」だと思う。

普段であれば、朝ごはんの時には昼ごはん(お弁当)も既にできているから、「束縛される」次のご飯作りは、夜ごはんまで、ないのだ。
自分だけのお昼ご飯なんて、わざわざ準備しなくてもどうにでもなるから、「束縛感」までは感じない。
時間もメニューも自由な昼ごはんは、楽しみですらある。

…どうも私は、「やらねば」「行かねば」と思わされるのが苦手なようだ。
(…みんなそうか)

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BlogやnoteやSNSも、「読まねば」「書かねば」「コメントせねば」と思うようになると、楽しかった交流も、励まされた関係性も、だんだん辛いものになってくる。

そう思わせないようなシステムを自分で作っておくのが、長く続けるキモなのだろう。

相手に対しては、「読めるときだけ読んでくださったらいいですよー」「コメントも無理なさらないでくださいねー」というスタンスでいられるのに、自分に対しては「読んでいただいたら読みに行かねば」「コメントをいただいたら自分もコメントしに行かねば」と、知らず知らずのうちに勝手に束縛されているのは、何故なのだろう。

だから私は、苦しくなってくると、フォローを外したりする。失礼なのかもしれない。でも、相手のせいではないのだ。タイムラインが大洪水のように溢れかえって苦しくなってくるのは、自分の問題だ。大洪水でもその中を上手に泳いでいける人は、外さなくてもやっていけるのだろう。フォローしたからには必ず全部読んでコメントしなければならないと苦しくなるのは、誰に強要されたわけでもない、私の勝手な思い込みなのだ。

自分のコメント欄も、閉じたり開いたりしている。
こちらも、自分にとってちょうどいい感じを模索中。

最近は、フォローする方は、コメント欄を閉じている方や、既に有名でたくさんフォロワーさんがいて、私が読んだ読まないなんて気にしないだろう(と勝手に私が思っている)方ばかりになってきている。

でも、フォローを外しても、読みたい方の記事は、読みたい時、読める時に読みに行っている。

フォロー外された、ママンがなかなか来なくなった、と不快に思っていた方がいらしたら、ごめんなさい。

なかなか本当のことを書けずにいたけれど、これはSNSの世界を、もっと自分なりに自由に楽しめるようになるための、試みなのです。

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人は「約束」がほしい生き物なのだろうか。

子育てしていると、園には園の「お約束」、学校には学校の「お約束」、家庭には家庭の「お約束」があると気付く。

子ども達の世界は、いつでもどこでも「お約束」という名のルールで溢れ返っている。

親達も、「褒めて育てましょう」「子どもの気持ちに寄り添いましょう」と、良い大人であるための膨大な「お約束」に、日々晒されている。

なんだかそれが、苦しくてしょうがない。
わざわざ「約束」にされなくても、声高に叫ばれなくても、本人が必要だと感じて実践していることだって、あちこちに、たくさんあるはず。

「約束」って、あればその時は安心だけれど、守られなかったら、それがなかった時より傷つくのではないだろうか。
「できない約束ならしないでよ」って。

だから私は、仕事のアポとか、誰かとの待ち合わせとか、そういう必ず必要な時以外の「約束」は、できるだけしないようになってきている。

歯医者のメンテナンスや美容院のように、多少の融通が効く「お約束」は、ある程度ゆるやかにしておきたいのだ。

「約束」は、ゆるい方がいい。
少なくとも、今の私には。

※※※

「次のお約束は、いつになさいますか?」

新しいマニュアル通りに言っただけであろう美容院の若い新人さん。何も悪くない。あなたが悪いわけじゃない。

「今日は手帳を持ってきていないので、家に帰って予定を確認してから、Webで自分で予約しますね。」

とだけ言って、私はいつも、ササッとお店を出る。


maman.







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