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不安の向こう側へ

子どもが好きなアーティストの動画を見ていたら、その人がサラリと言った。

「不安の向こう側へ。」

「不安を感じるのは、前に進もうとしている時だと思うから、その環境は、すごく良い環境だということだと思うんですよね。」

この人はきっと、誰よりも不安を感じてきたのだと思う。
ずっと不安と向き合ってきた人の言葉だ。


私は、このごろ、不安が消えない。
というか、不安しかない。

子どもたちが巣立つこと、親が老いること、夫の仕事のこと、自分の仕事のこと、お金のこと、健康のこと…。

不安要素しかなくて、朝はものすごく憂鬱な気持ちで目覚め、夜はものすごく心細い気持ちで眠りにつく。

現実的な対策は常に考えているつもりだけれど、だからといってすべての不安が今すぐに解消されるはずもなくて、持て余し気味だと自分でもわかっている。

この不安は、年齢的なものもあるのだろうか。
ミドルエイジのクライシスというやつか。

何だろうな…。
今感じているのは、「人生のステージが変わる時」の不安という気がしている。

これまでにも、人生のステージが変わる時はあったけれど、それは、進学とか、上京とか、就職とか結婚とか子どもが生まれて親になるとか、自分の意思で起こしてきた変化だった。もちろん不安もあったけれど、そこは自分で決めたことだから、エイッと飛び込んできたのだ。

でもこれから起こる変化は、自分の状況とは関係なく、周りに合わせていかなければならない変化だ。子どもはどこに進学しどこに住むのか、親は老後をどうしようと思っているのか、夫は転勤があるのか…私が決められることではないことばかり。家計も健康も、先のことはわからない。

今の私は、そこに気持ちが追いついていない。
「もう少し待って。」
「今は無理。」
心も体もそう言っているのに、周りの状況が刻々と変化していくことに追い立てられているようで、ただただ焦る。このまま生活に流されるように時間が進んでいくのが怖い…。心も体も、何も準備ができていない。


あのアーティストは、若い頃に苦労して、自分の意思でいろいろと変化を起こしてきたのだそうだ。バンドとして売れてからは、周りの変化も受け入れつつ、自分たちはもっと先へ、さらに先へと意識を向けている。

「不安のその先へ。」
「不安の向こう側へ。」


行くと決めたら、行けるのだろう。
私は、「不安の向こう側の景色を見る!」と、決意するだけでいいのだろう。

そう思ったら、少し楽になり始めている。どうにかこうにか、やってみようかという気持ちが、戻りつつある。


この歳になって若いアーティストに励まされている自分にビックリだけれど、この先が怖くて足がすくんでいた私に、「数年先に私が見るであろう景色は、もしかしたら、今の私が思うよりキラキラしているかもしれない。」と、そしてそこへ行ってみようと思わせてくれた彼らには、感謝しかない。


うちの子、あのアーティストに心惹かれるなんて、なかなか良い目をしてる(´艸`*)。


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