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懐メロ雷台罷鸞

少年は、夢を見ていた。その夢は洗練された複合型リゾートを彷彿とさせ、飛びゆくアゲハ蝶達は、己の青さを嘆いていた。夢の街には大きな「瓦解」があり、皆そこで、明日のパンを食べていた。
 春が来ればベンチプレスと詩を語らい、秋が来れば氵《さんずい》の真髄についてお互いの匙を投げ合う。二度と戻ることの無い季節を挟み、夏が来れば、大連にある、国立の宿舎で、アナキズムと雛鳥のさえずりを肴に、母の涙をすする。風が吹けば東にある粉雪が忸怩たる思いをし、槍さえ人々は守れず、盾で戦うしか無くなっていた。お互いの二度目の恋人を貶しあって、初恋の相手の髪の毛を燃やすことだけに勤しんで、六年と八ヶ月と、九年と七年と千日と五分が経ち、そこには、限りない有限と半端な合理性が、ダッシュボードの上に、嘲るように、鎮座していた。
 夢を見る少年は、夢を見て、お互いの「瓦解」のレビューを書き合い、壁をショッキングピンクにするまで告訴していた。鳥が飛ぶ頃には壁は、ゼラチンの聳え立つ城と化していた。その城は今にも瓦解しそうであつたが、爪楊枝により支えられて居て、崇高なる愚鈍さがラディカルに水道場の女神を逆撫でしていた。もちろん隣に重厚な包括性を供えて。

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