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嫌いな女のストーリー非表示にしてもわざわざ見ちゃう

こわいことなんてなにもない!お化けなんてもちろんいないし夜に帰れる家がある!こわいことなんてなにもない!いじめてくる人もいないし美味しい食べ物が食べられる!こわいことなんて本当はなんにもなかったのよ!

すこしだけ香る春が冷たい風とミスマッチでまた情緒が狂う音がした。嫌いな女のストーリー非表示にしてもわざわざ見ちゃう。ため続けたレポートを一晩で終わらせようと奮闘する。すれ違う人は少しだけこわいような気がする。おばあちゃんがまた倒れた。おじいちゃんはまだ入院してる。いとこは県外の大学に合格した。わたしはだんだんとひとりを自覚する。

青い空がうつくしい日に飛びたい。手すりから手を離し、足が一瞬宙に浮き、重力で頭が下を向き、体が風を痛いほどに感じて、だけど脳だけははっきりとしている。目は開けていられなくて、青い空の日を選んだのに見れないことが少しだけ残念になる。遠くから声が聞こえる気がする。かまさま、とだけ思う。

どうしようもないことばかりだよ。諦めるなって言う人は、失敗したら責任とってくれるの?突然ダメになっちゃう夜に流れてるやつ、ずっと塩辛かった。足が震えてたことに気がついた時、自分が酷く惨めに思えた。

これは恋愛の話ではありません。お別れをした人たちがいた。苦手だった人もいればあまり関わりがなかった人も、勝手に憧れてた人も無条件に優しかった人もいた。別れって、会えない期間が続いてじわじわと記憶から消えていって相手を「思い出す」存在になるものと、はい明日から会えません存分に惜しんでくださいそして今後は切り替えてくださいって強制的に思い出にさせられるもののふたつがあると思うんだけど、今回のは後者だった。わたしはいつも別れの時その場で泣けない。いつか他人に戻る時が来るのなら、もう誰とも新しく知り合いたくない。私に別れの機会を増やさないでください。

星がきれいで、山の方はもっと綺麗だよだなんて言い合って、でも山だと寒いよねって言って、そんな夜だった。好きなアーティストぐらいきいとけばよかった。私はあの人が好きなもの何も知らないままで他人になるらしい。

悲しいな 靴擦れは痛むし、朝は起きれないし、夜は眠れないし、太陽は痛いし、風は寂しいし、春の香りもマスク越しだし、笑顔が可愛いあの子のえくぼもうしばらく見てないし、愛されてるのに不満ばかりだし、どこかに行きたいっていいながら布団の中にいるだけだし、結局全部ひとりよがりだって認めたくないし、惨めな承認欲は消えない!泣くべき場面で泣ければよかった!頭が痛いと言えたらよかった!我慢しなきゃよかった!主張できたらよかった!無理して笑わなきゃよかった!誰とも知り合わなきゃよかった!他人に情をかけるのやめられたらよかった!何も考えられなかったらよかったのに!

誰かと手を繋いでいる夢を何度も見る。誰かが守ってくれる夢も、誰かが抱きしめてくれる夢も、誰かが私のことを大丈夫にしてくれる夢も何度も見る。その誰かは必ず知らない人なのにずっと前から知っているような気がしてしまう。夢の中の私はひどく安心していてその人の手の温度も腕の強さも少し上から聞こえる笑い声もぜんぶ覚えてる。でも夢だから、しょせん夢だから、目が覚めたら消えてしまって現実の私はいつまでも布団に閉じこもってあれが本当だったらどんなにいいだろうって考えてしまう。私には何も無いと泣いてすがったあの腕が本当に私のことを抱きしめてくれたらどんなにいいだろう、大丈夫だと言ってくれるだけで本当に大丈夫に思えてしまうあの声をそばで聞けたらどんなにいいだろうって考えてしまう!存在してないのに!夢なのに!現実さえ見れないのかなわたし!

家族から守られてるのに、周りの人に比較的恵まれてるはずなのに、なにがそんなに不満なんだろうね。いつまでも自分だけが未熟なままでいる。

おやすみ






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