【映画】ホテル・ルワンダ

衝撃的な映画を見てしまいました。

概要

表題 ホテル・ルワンダ
監督 テリー・ジョージ
出演 ドン・チードルほか
公開 2004年

ルワンダという国で1994年に実際に起きた大量虐殺の中で、虐殺の被害者をかくまったホテル支配人の話です。
前から気になっていたところに、TSUTAYAのセールクーポンが届いたので、借りてみてみました。

前提知識

今からたった26年前に、同じ国の中の者を100日で100万人殺した民族がいる

このことをあなたはご存じでしょうか。
それが、この「ホテル・ルワンダ」のモチーフとなった内紛による大量虐殺(ジェノサイド)です。1994年の話です。

実は私は、大学時代にアフリカの政治を学んでいたこともあり、このこと自体は頭の片隅に記憶がありました。
100万人という数字や、1994年という年号は覚えていなかったかもしれませんが、ルワンダという国で過去にジェノサイドが起きた、ということは知っていました。

でも不思議なことに、アフリカ政治について学んでいたその時より、今の方が、このジェノサイドについて心の底から衝撃を持っているように思えます。たとえ映画という、いってみれば架空の世界でも、映像で追体験することは、とてつもないインパクトがあるんだな…と驚きました。

本来持つべき感想

先ほど貼りましたYahoo!映画のリンクでは、この映画を次のように紹介しています。

アフリカのルワンダで内紛による大量虐殺の危機から人々を救った、実在のホテルマンの勇気と良心を描いた感動ドラマ。

確かに、主人公・ポールは、4つ星ホテルの支配人という地位と、そこでおもてなしをして得た人脈をフルに駆使して、1200人余りの人々を救いました。

実は、ポールは逃げることもできました。というのもこの大量虐殺は、民族どうしの対立により、多数派のうち過激派が、少数派(と、多数派のうち穏健派)を殺める、という対立図なのですが、ポールは民族でいうと多数派なのです。自分の保身だけを考えるならば、救った人々を見殺しにすることもできました。

ですがポールは、家族の中に少数派民族の人がいたこともあり、少数派をかくまうべく奔走します。映画の中でも、何度も命の危険を感じるシーンが登場します。
これは実在する方の話です。自分が同じ立場に立たされたら、ポール氏と同じ選択ができるだろうか?自信をもってYESと答えられる人はいないでしょう。現実は映画よりももっと、凄惨だったはずです。

なので、Yahooの映画紹介に話を戻すと、「勇気と良心を描いた感動ドラマ」であることは間違いないです。しかし…

個人的な感想

見終わって本当に背筋が凍る気持ちでした。

人間ってこんなに残虐になれるの?

と思うと、おそろしくてたまりませんでした。

映画の中でも虐殺されるシーン、家が焼かれるシーン、大量の死体が転がっているシーン等、様々な、衝撃的な場面が登場します。
が、そもそも、このジェノサイドの事実を具体的にイメージしただけで、気が遠くなりました。

私はいつも、死者の数をイメージするときに、東日本大震災の死者数を引き合いに出します。自分が「自分ゴト」として感じられる出来事の中で、最も多くの死者が出た出来事だからです。

東日本大震災による死者は2020年3月時点で15,899人です。
そのことだって、人口1億人を超えるこの国には大変な衝撃でしたし、今後も語り継がれるでしょう。

1994年のルワンダの人口は約730万人でした。
そのうち100万人が、人の手で、殺されました。

日本の10分の1以下の人口規模の国で、東日本大震災による死者の約59倍の人間が、殺害されたのです。

しかも、1994年といえば、私が産まれた後のことです。
自分が生きているうちに、そんなことが起きていました。

学生のときにこの「事実」のみを頭に入れたときよりも、「ホテル・ルワンダ」を見て、自分のこれまでの経験に引き寄せて考えることで、よりその恐ろしさを強く感じました。

この映画は、面白いとか面白くないとか、そんな表現で語れない作品です。
普段私は、映画を見た後に評価と感想をメモしていますが、評価をつけることができませんでした。

調べてみた

この映画を見た後に、ルワンダの大量虐殺後はどうなったかについて、少し調べました。
顛末は次のとおりです。

虐殺を行った多数派は、国外にいた反政府勢力に駆逐されて隣国へ難民として逃れる

新首相の誕生

多数派民族 帰還(もちろん、難民として国外に逃れたままの方もいます)

この顛末を知った時も驚きました。

このようなジェノサイドを起こした民族が、またこの国に帰って暮らしていけるの?
少数派の方は、自分の家族や知人を殺した民族と同じ国にいられるの?

そんな風に思いましたが、その答えはまだ調べていません。

現在のルワンダ

この映画を見て恐ろしくて仕方なかったのですが、唯一の希望は、ルワンダが現在、とてもいい状態であるようだ、ということです。JICAのページに、次のように紹介されています。

2006年に日本で公開された『ホテル・ルワンダ』。1994年、当時730万人の人口のうち100万人前後が100日間でルワンダ国民同士間で虐殺された事実を描きました。

しかし、この悲劇から20年あまり。ルワンダは大変身しました

首都キガリは美しい街並みを誇り、夜も気軽に歩けるほど治安もよく、ゴミひとつ落ちていません。そして「アフリカの奇跡」と呼ばれるほどの経済成長を果たしています。

100万人が亡くなった事実は消えませんが、それでも、現在が良い状態であるということに少し安堵するとともに、あんな状態から復興できるのか…と驚きました。よく言えば人間の強さを感じました。

まとめ

決して、見て気持ちのいい作品ではないですが、

・つい数十年前にこういったことがこの地球であったこと
・人間は、ここまで残虐になりうる存在である、ということ


を知るために、多くの人が知識として見た方がよい作品かな、と考えます。

この大量虐殺が起きたのは、歴史的背景や、殺害することによるインセンティブ等、様々な理由があります。
私はあくまで映画を見て少し調べたくらいでこのnoteを語っているので、知らないことがたくさんあります。
虐殺を行った側にも、事情というか、彼らなりの主張があります。(歴史的には、虐殺を行った側の民族は長年虐げられていました)
それでも、こんなことが起きている事実自体がショックでした。

もっとわかりやすく解説してくださっているWebページがあったので、リンクを貼っておきます。

人間って素晴らしくもあり、信じられないほどひどくもある存在なんだな…と思わされました。

冒頭に少し触れましたが、私は大学時代アフリカの政治を少しかじっていました。今はアフリカとは縁もゆかりもないような仕事についているのですが…

アフリカは、過去に(今も?)さまざまな政治的問題を抱えた国が多くあります。それは、その国だけの責任ではなくて、植民地政策や、その後の民主化の失敗によることが多いのですが…

多くの日本人にとって、アフリカは遠い存在だと思います。
ですが私が学んだアフリカについても、このnoteで書けるといいかも。
等と、このnoteを書きながら思いました。

文字数を見ると、いつもより随分長くなりました。
お読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?