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手島圭三郎の版画

普段ほとんどTVを観ないのだが、昨日たまたまTVをつけたら、北海道スペシャルとタイトルが出てきて、ものすごくインパクトのある絵が目に飛び込んできた。

手島圭三郎という絵本作家の版画で、86歳となり引退を決意したこの作家最後の絵本の製作の様子を追いつつ、これまでの作品を動画にして、絵に合わせた独特の音楽と朗読とで手島氏の世界観を紹介。素晴らしい番組だった。なんで北海道限定の放送なのかしら? 全国の人に観てもらいたいと思う。

版画なんてもう古いと、周囲から見下されながらも、版画でないと表現できない世界にこだわり、縄文期から脈々と続く命、生き物を描いている。その1つ、シマフクロウの版画が福武書店の編集者の目にとまり、絵本を世に出すこととなり、世界で様々な賞を受賞している。絵本は他の言語にも翻訳されている。

以前、ここで紹介したマリー・ホール・エッツという人の版画の絵本「ペニーさん」「ペニーさんと動物家族」が大好きだ。版画独特の黒い部分の使い方が素敵だと、こんな風になるのかと思った(美術が苦手で自分の版画の出来の酷さが深く記憶に刻まれている)し、のみで削っているのに、どうしてこんな豊かな表情になるのだろうと感動したが、手島氏の作品も黒の部分で夜の暗さ、静けさが表現されていたり、影絵のように明るい色と一緒に表現されていたり、どの絵本も素晴らしい。

アイヌの民話も手がけていて、とても相性が良い。昔から北海道にいる野生の動物を表現している中に、馬がいないのが寂しい。馬は18世紀後半に本土から持ち込まれて、冬に人間が寒さに耐えられず、引き上げる際に置いていかれて、笹とかを食べて生き残ったのが道産子って聞いたけど、手島氏が描く馬の絵本、見たかったなぁ。

図書館が開いたら、早速借りて読もうと思う。楽しみ。

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