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飯寿司の漬け込み初体験

札幌大球(さっぽろたいきゅう)という大きなキャベツを店頭で初めて見たとき、あまりにも大きくて驚き、何に使うのかと聞きまわったら、飯寿司(いずし)に使うと聞いた。が、その真偽がわからず、確かめるために話した方が実際に飯寿司を漬けるというので、漬ける時にはお手伝いさせてください! と押しかけ女房じゃないけど、押しかけアシスタント(?)を申し出ていた。そしてついに今日、その日がやってきた。

親が漬けていた飯寿司が大好物というわけではなかったけれど、この味が誰にも受け継がれずになくなってしまうのは忍びないと、お母様から漬け方を教わったと言う。

そのお母様の時代には10樽くらい一度に漬けたりしたので、親戚の人とかが手伝いに来ていたそうだ。今日は大小2つの樽に漬けたのだが、その材料を切るのを手伝って、なるほど、10樽も漬けたら、人手がいるわ、と思った。刻むものがいっぱいあるのだ。

用意するのは炊いたお米、麹。そこに先に調味料を混ぜ込んだ。唐辛子や砂糖もここに入れる。その家々で手順や材料に違いがあるそうだが、わさわさする中で漬けていると、実際に、あっ、砂糖を入れ忘れた!なんてこともあるそうで、ここに混ぜておけば安心なのだ。

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あとはひたすら材料を切る。私はまずはお手本を見せてもらった。今年は鮭の入手が困難で、手に入ってラッキーだったと話してくれた。大小2樽に鮭3匹を投入。(このお二人が師匠)

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鮭の他はキャベツ、人参、大根(4本分!)を切って軽く塩で揉む。生姜はちょっと大きめの千切りにしておく。

お米と麹を混ぜると発酵が始まるのか、ちょっと生暖かかったので、冷めるのを待ってから、いよいよ漬け込んで行く。昔は樽の底や漬け込む層ごとに熊笹を使ったりしたそうだが、今はビニール袋を樽の内側に入れる。

一番下に野菜、その上にお米と麹等を混ぜたもの、その上に鮭をこうして隙間なく並べる。これも家ごとに違うそうだが、ここでは鮭の皮は下になるように敷き詰める。

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並べ終わったら塩を軽く振り、手のひらに酢をつけて、ぎゅっと押したら、生姜の刻んだものをのせる。これを繰り返す。大きい樽には多分、4層漬けたと思う。小さい方は3層かな。最後に野菜の層を追加して、綺麗な花形に切った人参を散らす。これは好き好きだそうだが、鮭の氷頭(ヒズ ←鮭の鼻先の軟骨部分だそうで、この日本語を今日初めて知った)も投入。

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一番最後に、これは食べるためではなく、蓋のような感じで、キャベツの外葉を被せた。

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これに蓋をして完成(一番上の写真)。この後40日間漬ければ、食べられるそうだが、最初から重い重石をのせてはいけないとのこと。そして最初から寒いところにいきなり置くと、漬けられた野菜も鮭もびっくりして(?)、これまた上手く漬からないから、今晩は玄関に置いて、明日から暖房をしない外のような場所(ここでは物置に置くことになっている)へ移す。40日間、観察をしつつ、重石の重量を増やしたり、途中で上がってくる水分を捨てたり、温度次第で置き場所を変えたり、ここからの注意監督が重要で、均等に漬からないと(例えば塩の振り方などが不均等であったために)重石が傾くそうで、そうなると片側だけ重い石を置いても、もう上手くは漬からないそうだ。

最初から重い重石をおくと、発酵がうまく進まず、鮭が生状態のままになって腐ったりすることもあり、ちゃんと漬かって発酵した状態でない飯寿司を一家で食べて、全員死亡した事件があったとも話してくれた。

私は飯寿司は食べたことがない。これに似た味がないから、なんとも表現できないそうで、40日間待ったら、味見をさせてもらえるというので、今から楽しみ。朝顔の観察日記ならぬ、飯寿司観察日記を書きたいくらいだが、私にはいつ重石を重くするかなど、全くわからないので、果報は寝て待て、に倣って待つことにします。


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