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グイッポ

仕事をしていると「グイッ」「グイッ」という音が聞こえてくる。空気を吸い込むような音だ。最初何かわからなかったが、犯人というか、音源はお隣の牧場の馬。上の写真のように柵を上の歯で咥えて、そこを支点に引っ張る時に多分空気を吸い込んでいて、その音が聞こえてきていたのだ。

馬がよくやる齰癖(さくへき)と呼ばれるもので、通称「グイッポ」。ポの音ははっきりとは聞こえてこなかったなぁ。いつか柵が外れるのではないかと思うくらい、結構な力で引っ張るので、すでに柵がグラグラしている。

愛馬が以前いた乗馬クラブに暇さえあればこのグイッポをしている馬がいて、クラブの先生が、グイッポばかりしているから、体がいつまでたっても細いと言っていた。

東京では聞こえてこない音だ。逆に東京では今の時期、蝉の声がやかましいくらいなのだが、私の今の家では全く聞こえてこない。去年、オリンピックの馬術の会場だった馬事公苑でも蝉の声がすごくて、試合中ももちろん止める術がないので、放映された動画には蝉の音が入っていた。オリンピックで一緒に働いたフランス人は、蝉の声に馴染みがなかったらしく、この大きな音は何か電波を妨害する目的で流しているのか、と尋ねられた。蝉という虫の声だというと、結構驚いていた。

昨日は久しぶりに夕方の乗馬サークルに参加して、愛馬以外の馬に乗った。違う馬に乗ったら、ちょっとはうまくなったとか思えるのかなと淡い期待をほんの少しだけ抱いていたのだが、あっけなく期待は打ち砕かれ、ため息。一人密かに落ち込んで帰宅し、車を降りると、蛍が飛んでいた。まぁ元気出せよ、と言われたような気がしてしばし眺めた。1匹だけだったから、ティインカーベルみたいだった。なんだかとっても幸せな気持ちになった。

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