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変わらない渋谷と大人になった私

久しぶりに渋谷の街に立った日。

最近、電車好きの息子の気の赴くままに、乗ってみたい電車に乗ってみる日々を過ごしている。クエストっぽくていろんなところに行けるので、私もちょっと楽しい。

今日は人と会う約束をしていて、息子の乗りたい電車に乗って待ち合わせ場所へ行くルートが渋谷経由だった。乗り換えには一旦外に出る必要があり、駅の外に出ると、そこは109の目の前だった。

後ろを振り向くとスクランブル交差点、奥に目を向けるとBunkamuraの看板。東急は閉店したんだっけ。

毎日のように渋谷の街を歩いていた頃からもう15年以上経つ。ギャルだったわけではない。よく遊ぶ友達の職場が渋谷にあったりとか、いろいろな事情があって学生の頃からよく行っていた。今はわからないけれど一時期奥渋、と言われていたエリアは、子どもの頃から馴染みがある。ごはんを食べるお店もたくさん知っていたし、PARCOの中にどんなお店が入っているかもよく知っていた。どの道を行けばどこにつながるかも、綺麗で空いているトイレも。

わからなくなったのは、ヒカリエができた頃くらいからだ。ヒカリエにはかろうじて行ったことがあるけれど、そこから先はもう知らない。なんとなく、買い物をするのにしっくりくる場所が渋谷じゃなくなったからだと思う。

どうやら新しい何かがいろいろできているらしい。PARCOも新しくなったらしい。宮下公園の跡地にも何かあるらしい。そんな情報は入ってくるけれど、あまり興味もなく、ディスプレイの向こう側の世界としてぼんやり見ていた。


渋谷の街、全然前と変わってるんだろうな。

そう思いながら降り立った街は、思っていたよりもずっと渋谷のままだった。なんだか拍子抜けした。

ひとりで悠々と歩き回ったり、友達とだらだらお茶を飲んだりしていた頃と変わらない街に、今息子のベビーカーを押す私がいる。タイムスリップしたみたいな気分だ。どの道を歩けばいいか、身体が覚えている。

そこから井の頭線に乗るマークシティの入り口までの短い道を、生き返ったような気持ちでうきうき歩いた。久しぶりに渋谷に来たよー、君は初めて来たね、すごく懐かしいよ、と息子に話しかけながら。乗り換えが大変すぎてベビーカーを持って来るところじゃないことを実感しながら。ベビーカーを担いでエスカレーターで改札に向かいながら。

現実の渋谷に降り立ってみたら、不思議と新しい渋谷も見てみたくなった。次のお一人様タイムの日は渋谷を探検してみようかな、と思っている。


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