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その人のバックグランドが視えるとき

あの人が帰る家には灯りがついてる

「今度、2人でごはんでも行きませんか?」

仕事の打ち合わせ中、取引先の男性がそう言った。
いつもは会社の打ち合わせスペースで打ち合わせをするのに、その日はなぜか会社近くのカフェで打ち合わせをしましょうと言われた。

そういうことか……。
どう返事をしようと考えながら、彼の左手の薬指を見る。
その指に指輪はないけど、その指からは、”今だけはずしている”という感じがあって、ものすごく居心地が悪い。

「タイミングが合ったららぜひ! 2人でと言わず、チームのメンバーも一緒にみんなで集まりたいですよね」

「そうですね。チームのみなさんもぜひ」

話をしていると、その人のバッググランドが視えるときがある。
誰にでもある能力だと思っていたけど、この話をした人のほとんどが、「それは特殊能力です」と言うので、これはちょっと不思議な能力らしい。

食事に誘ってきた取引先の男性と話していると、仕事が終わった後、家に帰っていく彼の姿が見える。
彼が向かうその部屋には灯りが灯っていて、その家の中には、彼の帰りを待ちながらごはんを作る人がいる。

チームのメンバーから、「なんでごはんに行かないの?」と聞かれたとき、
「あの人が帰る家には灯りがついてるんだもん」と答えたら、不思議な顔をされた。

旦那の愚痴しか言わない友人から感じる気配

「旦那のこと、本当に受けつけないんだよね。顔を見るのもいやなの」

友人とのランチ。その日の話題は、友人の旦那さんの愚痴。
聞くと、「それはひどいわ」と共感できることがたくさんあって、友人が愚痴る気持ちはよくわかる。

私に話すことですっきりするならいくらでも話してくれていい。
変にためてストレスになったりするより、吐き出してすっきりする方がよっぽどいい。

おいしいと話題のイタリアン。
友人は、意識的なのか無意識なのか、早口に愚痴を言いながら、ものすごい勢いでお皿の上のものを口の中に運んでいる。

私は、そんな友人を見ながら喉元まで出かかっている質問をぶつけていいのかを計りかねていた。

ずっと喋り続けていた友人が、ふとお喋りを止めて私の顔を見る。
「どうしたの? なんで黙ってるの?」
これはチャンスだ! と思った瞬間、頭で考えるより先に、さっきからずっと頭の中にあった疑問を彼女にぶつけていた。

「ねぇ。旦那さんの顔を見るのもいやってことはさ、誰としたの?」

「えっ……」

シーーーーーーン。

親しき中にも礼儀ありだよ! と、心の中で自分に突っ込んだものの、もう聞いちゃったので後戻りはできない。

「今日会った瞬間から、「あ、抱かれたな」と思ってたの。でも、話を聞いてると、旦那さんではなさそうだからさ……。誰と……?」

「なんで? 抱かれたなって何!? なんで?」

これは、私の謎で全く役に立つことのない能力の一つ。
”最近抱かれた人がわかる”
これ、どうしてわかるのか? とか、どう見えるのか? とよく質問されるけど、正確に答えられない。
自分でもよくわかってない。ただ、わかる。
私、このパターンで友人、知人の浮気や不倫にすぐ気づくし、質問して毎回友人をフリーズさせている。

私のこの能力(?)を理解している友人たちは、「ねぇ? わかる?」と聞いてきたりする。

ちなみに、男性になると、「抱いたな」ではなく、その人の抱き方がわかる。
使いみちの全くない能力。

OLが給湯室で話題にして盛り上がる以外、この能力の使い方が本気でわからない。
別に活用する必要もないのだけど、私のこういうことを理解している友人からは、「うちの旦那の見ないで」と言われたりする。
見ようと思って見えたりするものでもないんだけど。

パートナーの存在感が薄くなっていく友人

普段、頻繁に連絡を取らなくても、SNSで繋がっている友人のことは、「今日、これ食べたのか」とか、「ここ行ったんだ」という情報がわかる。

近況報告をするわけでも、コメントで会話をするわけでもないけど、SNSを開けば、つながりのある人たちの日常を知ることができる。

もちろん知ることができるのは、そこに表示された写真やコメントに書かれていることだけなはずだけど、私はそのさらに奥にある、友人自身に今起きていることがわかるときがある。

他県に引っ越した後、SNSで近況を把握している友人がいる。
直接のやり取りはなし。クリエイターとして活躍する彼女の活動をSNSで見て、遠くから応援している。
あるときから、SNSで見る彼女の隣にいるはずのパートナーの存在が薄くなったなぁと感じるようになった。
気持ちが離れているのか、実際に距離ができているのかまではわからないけど、確実にパートナーの存在は薄くなっている。

そして、つい最近、彼女のSNSを見たときに「パートナーの存在が消えた!
」と感じた。
だからと言って、わざわざコメントやLINEで、「ねぇ、別れた?」と聞くのは違う。
ただ、友人には楽しく幸せに暮らしていてもらいたいなぁとは思うので、どうかハッピーでありますようにと願っていた。

そんな彼女が東京に来るという。
「会いたい!」と連絡をし、時間を作ってもらいお茶をした。

「ねぇ……、こんなこと聞くのもあれなんだけど、別れた?」

「うん。離婚が決まったの。やっぱわかった?」

私には何が視えているんだろう。
自分でも説明ができないことなので、聞いてる人はより「なんのこっちゃ」だろうけど。

「視てください」と言われても、視えるわけじゃない。
これは経験と訓練でできるようになるのでは?説が濃厚だけど、訓練てなにするのよ(笑)。なので、今のところパワーアップ予定はない。

ただ、実験的に、友人に良い人ができると写真を見せてもらう。
「この人は、こういう感じだよ」と、その人の性癖やプレイの内容を話す。
出会ったばかりの友人にとっては、それが正解かはわからない。

「へぇ~」って感じで聞いてるけど、数か月後
「ねぇ! 言ってた通りだった!」という連絡をもらうことはよくある。

そういう特殊で謎な能力を、「うまく使ってみたら」とアドバイスしてくれる友人が増えた。

でもさ……。

それがわかったとして
それがあたってたとして

だからなんなんだ!

じゃないですかね。

これ、どんな需要があると思います?


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