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気分障害(うつ病、躁うつ病)シリーズ3

シリーズ3ではうつ病の治療方針や薬物治療についてまとめました。薬物治療については、推奨されている治療、推奨されていない治療でまとめてあります。

シリーズ4では躁うつ病(双極性障害)の治療、薬の作用機序、副作用、精神疲労、気分変調、難治性うつについてまとめる予定です。

シリーズ3,4はどちらかというと医療人目線というか薬剤師目線で記載してます。

今回は日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ大うつ病性障害を参考に主に薬物療法メインでまとめました。

薬の名前は基本、薬の種類や一般名(販売名)で記載しています。

治療の原則

患者さんが病気とその治療に関して、医療者の意図を十分理解し、納得していることによって、治療はより有用で円滑なものとなる。 

また、うつ病の場合、長期の経過をとること、再発の可能性があること、さらに一部には難治性の経過を たどる症例も存在することを考慮して、経過の各時点で治療目標を明確化しておくことも重要である。 
薬物療法は、抗うつ薬を十分量、十分な期間、服用することが基本となる。

治療方針

・躁もうつも、診断が確定したら、本人や家族にきちんと病気であることを説明し、受容的に接しながら治療をしていく。

・うつは甘えや怠けではないので叱咤激励はしないようにする。

・自責感、絶望感、焦燥の強い患者さんについては自殺に注意し、医師の面接の際に自殺しない約束を交わす。

・患者さんは悲観的、消極的な判断をしやすいので、退職や離婚などの重要な決定は改善してから考えるように勧める。

・家族へ病気の説明と治療への支援を依頼し、可能であれば職場にも協力してもらうよう働きかける。

・生物学的な治療と心理社会的療法がある。

・うつ病に対して認知療法を取り入れている。人間の気分は、状況をどう認知するかによって影響を受けるという仮説に基づき、心理教育や認知の妥当性の検証などを行う。

・薬物の効果が不十分な場合、補充療法を行う場合がある。(無痙攣性の電気ショック療法)

・冬季にうつ状態になり、夏季に回復する季節性気分障害には高照度光療法もある。

・うつ状態では夜間の睡眠を強制的にとらないようにする断眠療法も存在するが、効果の持続が短いため普及していない。

・うつ病の精神療法では、患者さんの辛さを十分に受容、共鳴し、休息を勧め、治ることを保証する。

・躁病の治療は、気分安定薬による薬物療法がまず行われるが、躁状態による興奮、易怒性や易刺激性が強い場合には、早期に鎮静を目的に抗精神病薬が併用される。

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