勉強会まとめ②新型コロナウイルスの特徴(風邪との鑑別、症状、経過、重症化リスク)
そもそも病気って何?
病気とは、医師の目的と感心により定義されたものである。
分かりにくいので、風邪とインフルエンザで例えます。
風邪の原因ウイルスはたくさんありますが、新型コロナが出る前は、インフルエンザウイルスくらいしか他の風邪と区別してませんでしたよね。
それはインフルエンザウイルスには効く薬がありますが、その他のウイルスによる風邪には効く薬がないため、インフルエンザ以外区別する必要がなかったのです。
医師の目的と感心
○インフルエンザは適切な時期に使用すれば早く治すことができる
→インフルエンザという病名がある
○他のウイルスは特定したところで治療薬がない
→分ける必要性がないためまとめて風邪
というわけです。
そして
新型コロナウイルスは他の風邪に比べて重症化になり死亡する割合が高いため
新型コロナウイルスを区別するようになりました。
風邪との鑑別
典型的な風邪症状
風邪の3症状
鼻症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり
咳症状:咽頭痛、のどのイガイガ感
咳症状:咳
医師は、3症状が急性に、同時期に、同程度あれば典型的な風邪と診断するようです。
ここで注意が必要なのは高齢者の方
・高齢者は典型的風邪症状が少ない
・そもそも風邪にかかりにくい(乳児の1/4)
風邪にかかりにくい明確な理由はないですが
長年生活していた間に風邪にかかったりして、ウイルスに暴露したことにより免疫を獲得しているからではないかと言われています。
高齢者の方が鼻水を訴えている場合、風邪ではなく加齢による粘膜萎縮によるものだったり、薬剤性(副作用による)鼻炎だったりする可能性があります。
新型コロナウイルス感染の特徴
新型コロナウイルスが騒がれ始めたころ37.5度以上が4日以上とか言われていましたが、かかりはじめは2人に1人くらいしか熱がでていないということがのちに分かりました。
ただ重症化していくと高頻度で発熱するようです。
症状の頻度
頻度が多めのもの
発熱:43.8-98.6%
咳:59.4-76%
喀痰:26.8-39.2%
筋肉痛:10.6-44%
倦怠感:16.6-69.6%
頻度が少なめなもの
結膜充血:0.8%
鼻汁、鼻閉:1.5-6.1%
嘔吐:3.6-6%
腹痛:2.2-7%
症状まとめ
・結膜充血、鼻汁、鼻閉、嘔吐、腹痛などは少ない
・咳は60%以上、喀痰は30%→乾いた咳が多い
・呼吸困難は重症度が高いほど起こる
・消化器症状(特に悪心、下痢)は10%程度
・嗅覚障害、味覚障害を訴える患者(特に若年者、女性)が多い→イタリアからの報告:33.9%にどちらか、19%で両方認める。ただし、新型コロナに特異的なものではなく通常の風邪でも一時的な嗅覚低下はある(6-13%)
経過
・約80%が軽症(肺炎がない、もしくは軽微)
・14%が中等症(呼吸困難など)
・5%が重症(呼吸不全、ショック、多臓器不全)
初期には風邪と区別がつきにくい
→感染拡大のリスクが高くなる
経過の長い風邪症状は疑うきっかけになる
鼻水、鼻づまりがなく、味覚や嗅覚障害があれば可能性が高まるかもしれない。
呼吸困難を認める場合は、ウイルス性肺炎を発症していると推測されるが、平均発症8日後に現れることが多い。
自覚症状のない肺炎の存在も指摘されている。
急性呼吸器性窮迫症候群は、敗血性ショックなどを合併して多臓器不全に至ることがある。
皮疹
新型コロナウイルスの患者の20%に何らかの皮膚症状が出ている(じんましんなど)
体幹と手足にみられ、新型コロナウイルス診断の3日前-13日後に出現
しもやけ様の皮膚症状の報告もある(血管炎の影響か?)
凝固異常・血管内皮障害
患者の一部で脳梗塞を発症する症例がある
凝固系の異常や血管内皮障害が起こることが分かっており、これにより脳梗塞や心血管疾患などが起こると推測されている
小児では川崎病のような症状がでる報告あり
重症化しやすい患者背景
・高齢者
・年齢が上がるにともない、入院率、ICU入室率も高くなる
・持病のある人(悪性腫瘍、高血圧、慢性呼吸器疾患、糖尿病、心血管疾患)
・男性、喫煙なども重症化リスクの報告がある
今回は長くなったのでこれで以上です。
次回は、小児と新型コロナ、妊婦と新型コロナ、PCR検査についてまとめます。
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