学びをとめるな!止めてるのは誰?

そしてオンラインになった.
に書いたように,全ての教育機関において「学びをとめるな」を合い言葉にオンライン講義,オンライン授業,オンライン学習塾...
親は,たくさんの宿題に埋もれ,家事の合間に子どもたちの勉強の先生をしなくてはならなくなった.多くの学校で,オンライン授業(特に低年齢では)が難しく,未学習部分についても,家庭に,親にのしかかることになった.
のしかかる,は表現がよくないかもしれないが,わたしも親だから,負担が増えている,という意味ではのしかかる,がしっくりくる感じだった.

では,大学の学び,とは何か.
大学は,自ら自立した大人として学びにくるところだと思っている.単位をもらえない,と嘆く学生にも出会うが,ほんの数%を除いて,大学の先生で単位をあげたくない先生などいないというのが実情だと思う.もちろん,私も単位をあげないテストをしたことはない.できる限り,自分の力で学ぶことをして欲しいと思っている,そのために,講義と同じ時間だけ学生が自習できるように時間割が組まれている.理系の学生実験なども同じ.実験そのもののスキルよりも,それを通してい何か知りたいと思うこと,知りたいことのためにどのようなアプローチをするか,に重点をおく.

そんな中で思うこと

「学びをとめるな」が学びを止めている

学び,は与えるものではない.与えられるものではない.
学びたい,知りたい,と思うことによって自発的に行われるのが,「学び」であると思う.

研究室においては,自律を徹底的に身につけさせることに重点をおいている.3.11を学生時代に経験した私は,どんな状況でも自らのできることを淡々と行う,ということがいかに難しいことかを知っている.その反面,そのような時にこそ自律していることが重要になるとも知った.多くの知人が,3.11の影響による研究活動の中断を理由に学位取得を遅らせたことも行っていた.けれど,私はそれをしたくなかったし,もっとハードに博士の学位取得に臨むことになるが...それぞれの道だから,と思っていた.
ただ,自分が教員になった今,もし自分の指導する学生がその状況にあったら,ギリギリまで努力することを課すのではないかと思っている.

さて,そんなことを思っていたら,ある4月の月曜日の夕方(16時くらい,通常18時くらいまでには学生の実験はおしまいになる)に翌日から,学生の大学建物内での実験等の研究活動の停止が通達された.その日,たまたま,研究室全員で夜ご飯を食べる計画があった(笑).単純にたまには研究の話しを離れて色々近況報告しようじゃないか,的ノリ.強制ではないけれど,せっかくだからみんなで話そうよ,に応じた全員.

今はまだ16時,18時くらいからごはんだとしてあと2時間...この2時間で私ができることは何か.

2月も3月も,卒論発表が終われば,卒業旅行に行き研究は4月からという研究室も多い中,この新型コロナウィルスの影響もあって,卒業旅行を自主的にやめた学生たち.ずっと実験していて,4月からは気持ち新たに研究テーマも大きく進歩させようとしていた.そんな院生たちに,明日から実験できません,って伝えるだけになるのは避けたかった.何はできるだろう,何をしたらよいだろう,それには何が必要だろう.いつもあまり使わない頭をフル回転して考えた.幸いにも,全員が集まる.だから,5つだけ決めることにした.

1.オンラインになっても,毎日9時から朝礼をする.
2.こまったらすぐに言う
3.必要な資料,たりない道具で研究室にあるものは,○○公園で手渡し
4.あたたかくなったら,○○公園で青空教室も可能
5.土日は朝礼は,ないけれど起きたら生存報告

これを読んで,ブラックだなぁ,とか,監視?とか感じてしまったり,不快な思いをされた方がいたら,ここから先を読まずに...

とにかく,命が大事.
うちの研究室は,悲しい思いをしている.悲しい思いとともに,人の命の尊さを何よりも伝えてきたつもり.院生も,多少なりとも過保護だなと思うかもしれない.けれど,大好きな家族と同じだとしたら?私にとっては,自分の子も,研究室の学生も変わらない思いで育てている.命だけは守らねばならぬと.

2時間悩んでこの程度か,と思われるかもしれない.
けれど,実験できない状態で,何ができるだろう.そんなことはすぐには思いつかなかったけれど,学生たちはいとも簡単にそれを乗り越えてくれた.これまでの教育の成果だ!とか言ってみたいものだけど,ちゃらんぽらんなボスをみて,これではダメだと,自分たちで色々なことを乗り越えて,生き残ってきたメンバだからこそ,なのかなと,1ヶ月以上過ぎた今,思います.

長くなってきたので,18時の集合から,院生への5箇条(笑)の発表とその後については,別記事にします.

(今も,順調に毎日朝礼があり,院生は順調に論文執筆を遂行している,という,とても立派な子たちであります...)


明るく楽しい母子家庭(それが1番良いわけではなく…)のworking motherです.思い切りが良すぎるため,落とし穴にもはまりがち.這い上がっては走り出し…そんな毎日を送っています