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ほめられるのを嫌がる子の理由

「子どもはほめて伸ばせ」と言うけれど、「うちの子はほめられると嫌がるんです」という相談を受けることがあります。
どうしてほめられるのを嫌がるのか。
心理学者アドラーによると、「ほめる」という行動は、目上の立場の者が目下の立場の者を評価する行動だと説明されています。したがって、「ほめられる」時点で、「できないものと見なされている」という意味になってしまうために、ほめられるのを嫌がるのです。
できないことを気にしている子ほど、ほめられることに敏感になって、ほめられると逆にいじけてしまうことは、珍しくありません。


ですがこれって、ちょっと考えると当たり前です。

自分の同僚やパートナー、友達に「よくできたね!」なんて言い方したら「できるに決まってるでしょ」とむっとされるでしょうし、場合によっては相手を怒らせてしまうかもしれません。この場合に用いる失礼でない言葉は「賞賛する」言葉です。
子どもの場合も、幼児期は「よくできたね!」というほめ言葉でいいのですが、年長くらいからは「ほめる」ではなく「賞賛する」言葉に変えた方がいいかもしれません。お子さんの心の成長に合わせて、ほめることを見直していくとよいでしょう。

また、ほめることがうまく働かないケースとして、相手の反応を気にしすぎるあまり、「ほめられない」ことに強く反応してしまうという問題を抱えてしまう子もいます。

この場合、その子は結果にとらわれていることが多いので、親が過程に目を向ける姿勢を見せてあげるといいと思います。

「失敗したけれども、挑戦した姿勢を賞賛する」ということです。

具体的にどう声を掛けたらいいかわからない、という親御さんには、原田綾子さんの「勇気づけの子育て」という本をお勧めしています。

普段から、「このシチュエーションには、こう言おう」と頭の中でシュミレーションをしておくと、すっとその場で言葉が出やすいと思います。本を参考に考えてみてはいかがでしょうか。

また、ほめるのが苦手だという親御さんもいらっしゃいますが、これまで書いたように、ほめる必要はないのです。大事なことはほめるのではなく、「あなたの努力を見ているよ」という親からのメッセージです。親からの温かい見守りの下で、子どもは苦手なことや不安なことに一歩踏み出す勇気をもつのです。「これくらいできて当然でしょう」と思ってほめたくないとおっしゃる方は、「自分から○○してるじゃん」でいいので、その子の取り組みを見ているんだよと、伝えるところから始めて下さい。時には言葉よりも、抱きしめたり、にっこり笑いかけたりする方がいい時もあります。ご自身がやりやすい気持ちの伝え方を考えてみるといいでしょう。



子どもに対する具体的な対応について、川谷医院ではペアレントトレーニングで詳しくお伝えしています。発達障害の子を持つ親御さん向けの子育て講座で、半年間で12回行っています。困った行動にどのように対応したらよいか学んで頂く場としてご活用下さい。

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