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[びあけん受検者注目] 「世界主要国のビール消費量」2021年版 発表

札幌の Beer+MaltWhisky バー「Maltheads」(モルトヘッズ)です。

久しぶりにビアジャーナリストじゃないネタ、「びあけん」(日本ビール検定)のネタです。実は今年のびあけん1級、8年ぶり3度目の合格を果たしました。2013~2014年に連続合格して以来で、89点と自己最高得点でした。

今回は びあけんに合格したい人向けの記事です。

キリンホールディングスが1975年以来続けている「世界主要国のビール消費量」2021年版が発表されました。

とても大事な統計です。読み解いて行きましょう。

「世界主要国のビール消費量」はなにが大事なのか

「消費量」は毎年12月に発表されます。
「生産量」は8月に発表されるのですが、2019年の発表(2018年版)を最後に停まっているかもしれません(軽く検索した限りではヒットしませんでした)。

この調査で大事なところはまず、統計調査の歴史の長さです。1975年以来と言うことは、まもなく半世紀にもなろうとしています。一時的な興味ではなく、キリンがしっかりと調査し発表し続けていることに意義があります。過去分は当時のビール事情が分かる貴重な資料です。

過去の調査分については、キリンビール公式ページの「データ集」でまとめられています。
https://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/daigaku/search.html?w=%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%B6%88%E8%B2%BB%E9%87%8F%2F%E7%94%9F%E7%94%A3%E9%87%8F
(連続的に見ていくと、アジアの伸びがよくわかります)

そして最近になり重要になったのが、「びあけん」(日本ビール検定)の頻出試験範囲であるということです。

びあけん の試験は大体6月ごろまでのデータで試験問題が作成されるので、もう一つの「生産量」は実はあまり出題されません。今回発表された「消費量」こそが頻出範囲であり、そして1級でも毎年必ず1問は出題される「重点項目」なのです。(2,3級でももちろん頻出問題です)

現時点でびあけんの問題を公に書くことはできないのですが、筆者が受検した2022年度でも出題されました。「びあけん合格」を目指す方は、必ず目を通してください。

そして毎年目を通していると、いろんなことが見えてきます。筆者は2000年代から発表のたびにデータを追っていました。合格率4%台だった最初のびあけん1級(2013年)に合格したのも、そういう積み重ねがあったおかげだと思っています。

2021年版のデータ分析

国別ビール消費量」「地域別ビール消費量」「一人あたり消費量」の3部門でデータを発表しています。

■国別ビール消費量

日本が7位→8位にランクダウン。イギリスに抜かれてしまいました。実は日本は、かのイギリスと肩を並べるくらいビールを消費する国なのです(人口は違いますけどね)。

他に大きな変動はありませんでしたが、2022年1級はここから出題されていました。トップ10の国の顔ぶれと順位は抑えておいて良いでしょう。

もう2003年以来ずっと、中国こそが国別ビール消費量として世界一の国です(「一人当たり」だとランク外)。ウイスキーだとインドが世界一の消費国というのと同じものを感じます。人口の多い国、かつ経済的に成長力のある国が消費量が多いということです。われわれも景気のためにも、もっとたくさんのビールを飲みましょう🍺

■地域別ビール消費量

アジア、ヨーロッパ、北米、南米…という地域別でのビール消費量のまとめです。どういうパーセンテージかは直接確認してください。

われらがアジアはヨーロッパよりも多く目下、世界一の消費エリアなのです。でも「国別一人あたり消費量」だとほぼランク外になってしまうのが面白い。これについては下で仮説を書きます。

■一人あたり消費量

国としての消費量ではなくて、それを人口で割り算した「国民一人あたり消費量」です。どれだけその国民がビールを飲むかが分かります。
試験に頻出するのはここからの印象が強いですし、毎年データを追っていて変動があって面白いのもこの部門です。

リトアニアが3位に。昨年2位のポーランドがランクダウン。

・東欧+バルト3国が相変わらず強いです(エストニアのビールは日本にも輸入されています)。スペインとナミビアを除くとベスト10独占(ドイツも東ドイツがあるので)。実は「ビールの本場」というのは東欧だということがよくわかります。

・アフリカはナミビア強し(9位)。元ドイツの植民地のためなのでしょう。昔はまったくランキング外だったのですが、2013年ごろの調査から急に入ってきました。そのとき不思議に思ってキリンビールに質問メールを出しました。「根拠にしているデータの調査元が変わった」とのお答えでした。
この「ナミビア」はいつか1級の試験に出ると思っているのですが、過去10年でまだ出題されていません。

・アフリカ赤道直下のガボン(11位)の伸びがすごい。前回2020年版で26位→11位と劇的ランクアップ! 「レガブ」と言う銘柄が国民酒らしいです。元フランス植民地のこの国がどうして急激に伸びているのかは、簡単なネットサーチではわかりませんでした。

・アジア最高位は32位のカンボジア。アジアが「一人あたり消費量」だとランキングが低いのは、それぞれに土着のお酒が根付いているからではないでしょうか?(日本酒しかりマッコリしかり) カンボジアもキャッサバの焼酎がよく飲まれているようです。熱帯は物が腐りやすいので蒸留酒文化となりやすく、醸造酒としてビールは、アジアにおいてはあとから来た「外来酒」という扱いになりがちなのでしょう。
「東欧がビールの本場」と上に書きましたが、東欧諸国では歴史的にも文化的にもビールこそが「地酒」として定着しているということでしょう。


こんな感じで簡単に見ましたが、もっといろいろなことを読み解くことができる良質なデータです。2023年もびあけんを受検される方は、元データをよく読み込んでください。筆者はもう3度目の合格で満足しておりますので、来年は高みの見物と参ります(笑)

おまけ

「1人あたり消費量」の上位の国名って、こうやって並べられるとやたらと「ア」で終わってるのが気になりました。
こういうことだそうです。


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