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掌編・短編集

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単発の掌編、短編小説を集めたマガジンです。様々なジャンルを展開します。
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#コメディ小説

【小説】なんてったって、アイドル…?後編

陽菜と稜央は空路で羽田に降り立った。 なにせ母親に内緒で出てきているのだ。日帰りしなければならない。時間節約のために飛行機を選んだ。費用はもちろん稜央が負担している。痛い出費だ。陽菜には出世払いしてもらわないとな…と思いながら、いや本当にアイドルになって稼ぐようになっちゃったらどうなるんだよ、とまたもや複雑な心境になる。 稜央が学生の頃は夜行バスで東京に出てきた。遠距離の彼女に会うため、そして、会ったことのない父親を探すため…。 ブルブルと頭を振って苦い記憶を追いやる。今日

【小説】なんてったって、アイドル…? 前編

「あん? 今、何て言った?」 「K-POPアイドルになろうと思って、と申しました」 二度目はわざと丁寧な言葉で嫌味っぽく言った陽菜だった。稜央はまだ、何を言ってるんだコイツは、という目で妹を見ている。 「えー、ごめん。君は日本人なのにK-POPアイドルになるとは、どういう…」 「お兄ちゃん分かってないね。今はグローバルがスタンダードなんだよ。国籍関係ないの。アイドルになるために韓国に渡る時代だよ。アメリカンドリームならぬ、コリアンドリームなんだから」 それでも稜央は呑み

【短編】文化は違えど炒める飯は世界に存在する

↓こちらの話で登場する同期2人の前日譚 ↓ 同期の中澤は最近韓国語を勉強しているらしい。 他国の言語や文化に関心を持つのは大いに結構な事である。 ただし。 ツールは使い方や使い所を間違えると、とんでもない事になる。 ✍🏻 ✍🏻 ✍🏻 ✍🏻 ✍🏻 僕と中澤は現在入社3年目。 お互い部署は違いながら営業マンであり、外出する機会の多い僕と中澤は時折連絡を取って昼飯を一緒に食べた。 営業と言ってもノルマまみれの物売り営業とは違い、中澤はリサーチやマーケティング、僕は御用聞