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Berlin, a girl, pretty savage

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遼太郎の娘、野島梨沙。HSS/HSE型HSPを持つ多感な彼女が日本で、ベルリンで、様々なことを感じながら過ごす日々。自分の抱いている思いが許されないことだと知り、もがく日々。 幼…
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#運命の出会い

【連載小説】Berlin, a girl, pretty savage ~Moment's Notice #9

『パパ?』 午前0時の、いつもの梨沙からの電話。きちんと連絡が来るのは稜央からの電話で梨沙と会ったと衝撃の連絡を受けて以来、3日ぶりだった。 「今日は出かけなかったのか」 『うん…』 「ずいぶん大人しいな。3日もかけてこないなんて梨沙らしくない。何かあったのか? ちゃんと夜眠れてるのか?」 『パパ、あのね』 梨沙は改まって、小さく息を吸うと言った。 『好きな人が出来たの』 遼太郎の鼓動は再び大きな音を立てる。このタイミングで? 「へぇ、唐突だな。クラスメイトか?」

【連載小説】Berlin, a girl, pretty savage ~Moment's Notice #8

2日後。 梨沙は白い息を弾ませてHauptbahnhof(ベルリン中央駅)に向かった。約束の時間まで1時間近くあるけれど、家でじっとしていられなかった。 駅の中はクリスマスオーナメントがあちこちに飾られている。 駅ナカの売店など見て回るが、雰囲気も相まって梨沙も浮足立っている。 そうだ、何かドイツっぽいものを一緒にプレゼントしようかな。 そう思い立ったが、ドイツっぽいものってなんだろうと考えると、よくわからなかった。 ビール、プレッツェル、クリミ割人形…土産物屋にはそ

【連載小説】Berlin, a girl, pretty savage ~Moment's Notice #7

稜央は動揺していた。 とりあえず父に…遼太郎に伝えておいた方が良いだろうと考えた。 暫くぶりの連絡が、まさかこんな形になるなんて。 「父さん…、今大丈夫?」 『久しぶりだな。大丈夫だけど、どうした?』 「つかぬこと訊くけど…娘って今、ベルリンにいたりする?」 『ずいぶん唐突だな。そうだけど…何でだ?』 「…名前は確かリサって言ったよね。身体は細くて背は小さめ、色白で目が大きくて髪は黒くてサラサラで顎くらい…」 『…何が言いたい?』 「僕いま、ベルリンにいるんだ。それで…」