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『共働きのすごい対話術』を読んだら、今すぐにパートナーと人生会議をしたくなった【書評】

パートナーと喧嘩や言い争いはほとんど無く、仲もいい。この先もずっと一緒にいたいし結婚も考えているけれど、将来のライフイベントを考えると漠然とした不安があってモヤモヤする…話し合いをしようと思っても、なんだか雰囲気がどんよりしてしまう…

これは以前私が抱えていた悩みなのですが、もしかしたら同じように感じている方もいるのではないでしょうか。

あるいは、話し合いをしようとしても意見が衝突してイライラしてしまったり、「パートナーは自分のことをわかってくれない!!」と責めてしまったことのある人もいるかもしれません。

パートナーとモヤモヤせずに話し合いができたらいいのに…と思う一方で対話のしかたを解説してくれる本や記事はあまりないですよね…

そんな悩みを解決してくれるのが、本書「共働き夫婦のすごい対話術」です!

まさに求めていた「対話のしかた」について、

・対話とは何か
・そもそもなぜ対話が必要なのか
・具体的にどうやって伝えたらいいのか
・どんなマインドで対話をしたらいいか

などすぐに対話を実践できるコツが書かれています。

この本がおすすめな人
・仕事と家庭のバランスがうまく取れずに悩んでいる人
・パートナーとの家事分担にモヤモヤを感じている人
・話し合いをしようとすると、険悪ムードになってしまう人
・パートナーとの将来に不安を感じている人

と書きましたが、全ての共働きカップル・ご夫婦におすすめしたい一冊です!

〜本の概要〜

なぜ対話が必要なのか

「自分ばかりが子供のお迎えに行っている」
「起業をしたいけど、パートナーに反対されそうで怖い」
「仕事で疲れているのは同じなのに、家事の負担が自分にばかり偏っている」

共働き夫婦が増えている中、多くの方が家庭と仕事の両立に悩むと言われています。「男性は仕事を頑張る」、「女性は家事と子育てに専念する」といった以前の固定概念は崩れつつあり、今は家族の形も夫婦の在り方にも正解がありません。だからこそ、ふたりが納得できる理想のライフキャリアを送るためにはチームで家庭を運営する共同経営者となり、お互いに協力することが欠かせません。そのうえで、自分たちの問題は何かどうやって解決したらいいかをふたりで話し合うことがとても大切なのです。そもそも人間同じ人はいないので、何か思っていることや意見があっても言わなくては伝わらないですよね…お互いのことを理解し、歩み寄るためにも対話が重要だという強いメッセージが本書から伝わってきました。

共働き夫婦=共同経営者。ライフイベントというプロジェクトの成功は対話にかかっている

引っ越し、転職、結婚、出産などふたりの人生の中にも様々なライフイベントがありますが、せっかく経験するならふたりが納得いく形で成し遂げたいですよね。ですが、価値観のまったく同じ人はいないので、そのたびに自分たちはどうしたいのか、ふたりの理想をどうやって叶えていくか舵取りをしていくことが重要になってきます。そして忘れてはいけないのは、ふたりの関係は「対等」であるということ。一方的に要求を押し付けたりするのではなく相手の価値観やその背景を尊重することで、対話によってパートナーが最強の味方に。どんな点で家庭運営とビジネスが共通しているか、どのようにプロジェクトを遂行していくか、そのポイントが本書で詳しく書かれています。

相手を思いやる対話のコツ

相手も大切にしながら、自分の意見もしっかりと伝えるにはどうしたらいいんだろう。何をどんなふうに話せばいいかわからない。対話をしようと意気込んでもやり方がわからない、私自身もそんな経験がありました。本書では、上記のような悩みを解決するべく対話のコツが事例とともに詳しく解説されています。

例えば、相手を傷つけずに自分の意見を伝えるには
・「あなた」ではなく「私」を主語にして伝える
・どんなときもまず「肯定的なメッセージ」を伝える
・「事実」と「解釈」を分けて伝えるようにする

何を話していいかわからないときは
・伝える内容を「DESC」で整理する

などなど、すぐに実践できる対話のコツが盛りだくさんです。

対話ができる関係性でいることも大切

いくら対話をしたいと思っても、どちらかが常に不機嫌だったり、何かに追われていると落ち着いて話すのは難しいですよね。とくに共働きカップルは仕事で疲れているから…と話し合いを後回しにしてしまうこともあるのではないかと思います。また、価値観の異なる人どうしで話し合いをするときには、対話のスキルだけではなく関係性が良好であることも重要です。どんなマインドを持つと建設的な対話ができるのかについても詳しく書かれています。
普段から忙しくて対話の時間がゆっくり取れないときはLINEやslackなどのチャットツールを使って「思考のシェア」をして前提情報を伝えたり、そもそも誰も悪くないという「無責的思考」で問題に向き合うなど、直接対話をする以外の場面でもできることや準備がたくさんあることを本書から学ぶことができます。

自分と向き合うことも忘れちゃいけない

パートナーと対話をするうえで、自分自身とも対話をして気持ちを客観的に把握することも大切だと本書には書かれています。対話ができるだけの余白を自分の中に作ることも、モヤモヤした感情を言語化することも心地よく対話をするために準備しておきたいことの一つです。自分の感情をあるがままに見つめるジャーナリングの方法や、事実と解釈を混同しないための捉え方、認知のクセとどう付き合っていくかなど具体的な方法についても解説がありました。小さなことから少しずつ始め、自分の感情を言語化することでパートナーとの喧嘩やトラブルも未然に防ぐことができそうです。

〜感想〜

実践したいこと

アサーティブな自己表現をするための言葉選びや、自分の思考と感情を整理する方法など、とにかく具体的かつたくさんの学びがありましたが特に実践したいと思ったことを書かせてください。

自分の気持ちを事実と解釈を分けて考え、伝える
私は過去に、パートナーから連絡がなかなか返ってこなかっただけなのに「私は必要とされていない」と勝手に落ち込んでしまったことがありました。パートナーの本心を聞かずに。ですが実際は体調が悪くて連絡することが難しかっただけでした。自分が不安に感じるあまり、事実に対して過剰な解釈をしてしまったのです。不必要なすれ違いを起こさないためにも、自分の気持ちに対して客観的に向き合うことを大切にしたいと思いました。

パートナーと定例会議を開く
本書の中で、あるフレーズがとても心に響きました。

異なる価値観を理解するために、「お互いの意見や考え」「それぞれを取り巻く状況や背景」などの情報を共有する。これが目指したい「対話」の在り方です。

本文中では、表面的な価値観のことを「葉っぱ」、土台となる価値観のことを「幹」とする表現があり、幹の部分に目を向けることが大切だと解説がありました。私自身も過去に、ついつい表面だけを見て善し悪しを決めつけてしまうことがありました。一つの意見や考えに行き着いた背景や原体験などに耳を傾け相手を尊重できる自分でありたいと思うとともに、変化し続けるお互いの価値観にも定期的に向き合って必要があれば人生プランやふたりの約束ごとの軌道修正もしていきたいと思いました。”わかったつもり”にならないように気をつけたいと改めて感じることができました。

「こうあるべき」を手放して、ふたりらしさを探す
簡単なことではないからこそ一歩ずつ。

本書の中では繰り返し、ふたりの理想を対話によって実現していくことの大切さが語られていました。そのなかで「カップルは結婚式を挙げなければならない」「子供を持つべき」「女性だから専業主婦にならなければない」などかつては当たり前とも言われてきた固定概念が頭をよぎることは誰にでもあると思います。私もそのひとりです。誰かに期待された正解を求めてしまいがちな自分の性格をパートナーシップに持ち込んでしまうことがありました。

役割意識にとらわれすぎると、「人それぞれの価値観がある」「役割の前に、私とパートナーは世界にたったひとりの存在」という大前提が見えなくなりがちです。

しかし、この一文を読んでハッとしました。自分たちにとっての幸せや正解を作っていいんだということに気付かされたのです。人生は一度きりで、パートナーに出会えた確率もものすごく低いからこそ、自分とパートナーが大切にしたいものを大切にしたいと改めて感じました。そのうえで、どうしたらふたりにとっての幸せを実現できるかを対等な立場で話し合って、トライしてうまくいかなかったら振り返りをして、またトライする。そんなサイクルを積み重ねていきたいです。とはいえ簡単なことではないと思うので、まずは寝る前の「今日もありがとう」から始めたいと思います。

ぜひ、パートナーと今よりもっと幸せな人生を送りたいと思っている方に手に取って欲しい一冊です。


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