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"サービスデザインのアプローチで価値ある体験と社会のしくみをつくる”、ビジョンデザイナーの三澤直加(みさわなおか)さん

武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第1回三澤直加さん、2020年5月18日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純

武蔵美修士2年目の新学期はこのクラスから。新入生と合同のクラスです。折からの新型コロナウィルス感染拡大対策で、Zoomでのリモート・クラスとなりました。Slidoを併用して学生がリアルタイムで同時並行して質問やコメントを投げかれられるのは面白い体験です。

三澤直加さんは、金沢美術工芸大学でプロダクトデザインを学ばれたデザイナー、UXデザインやデザインリサーチのお仕事に就き、携帯電話やIT家電などの新しいプロダクツの操作方法をゼロから構築したり、「感動体験」データベースを用いた独自のシナリオ発送法「XB法」を考案するなど体験のデザインメソッドの開発を手掛けました。2011年に、受注型ではなく共創型のデザインプロセスの実現を目指して、グリグラッド社を立ち上げます。折から進行した国際化、高度情報化、人口減少などの社会構造の変化に、仕事の仕方を変えなくては対応してゆけないと気づいた企業や学校、地方公共団体などに、「共創」をキーワードに、サービスデザインの手法を用いたコンサルティングを提供しています。

グラグリッドのアプローチは、1)ビジョンつくり、2)組織づくり、3)商品づくりの三領域のバランスを取り、グラグリッドが得意とする1)サービスデザイン、2)ファシリテーション、3)ビジュアルシンキングの三つの専門性でサポートします。

今日のクラスでは、5つの事例をご紹介頂きました。1)新宿区立落合第六小学校で実践した「みらい科」授業の事例では、「多数決」や「正解」に囚われてしまいがちな教室の授業から飛び出したワークショップの中で、グラフィックレコーディングの力で小学生の自由で創造的な発想力が引出されていました。2)サプライチェーンマネジメントが課題の企業では、チームの会議のやり方を変える「描く会議」の研修の様子を伺いました。3)「自己の心に問いかけるツールを作る」事例では、自ら思っていること理想としていることを、ステップを踏んで絵で表す「えがっきー」ツールの面白さが印象的でした。4)下関の梅花学院新校舎建設プロジェクトでは、人口が減少している地方都市における理想的な未来の学校のあり方を、建築士、学校経営者、教職員、学生、地元の方々が一緒になって共創ワークショップを行い、ユニークなアイデアを生み出し実際の校舎の設計に反映していました。最後の5)郡山市の地域起こしプロジェクトでは、地元の方々も気付いていなかった地元の魅力を再発見し、観光商品やサービス開発につなげる観光開発支援が実践されていました。全てに共通するエッセンスは、自由で囚われない発想と、共創をキーワードとしたワークショップ、そこから出てくる発想を絵・グラフィックに落とし込んで可視化することだと思います。

お話を伺いながら、思う浮かぶ度にSlidoで質問を打ち込んでいました。2)落合第6小学校のお話の途中で、「でも絵だと上手く描ける事柄ばかり描いてしまわないかな」と書き込んだところ、目に留めてくださった三澤さんから「それは大人の発想ですね、上手く描きたい見せたいとう発想は子供にはありません」とのコメントを頂きました。一瞬の衝撃、50年前の10歳に戻って「みらい科」授業を受けたくなりました。(了)




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