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【写真の言語化】自分で撮った写真を解説してみた|カメラマンは写真のどこを見ているのか

写真に限った話しではありませんが、言語化ってとても大切です。なぜそうなっているのかを分析して言葉にするって結構難しい。
でもそれをすることによって、もっと人に伝わるし分かってもらえる気がします。

この記事では僕がこれまでに撮影した写真を、生意気にも皆さんに解説して行こうと思います。ところどころ失敗例もあげて、より分かりやすくしたつもりです。
物撮りに興味がある人は是非読んでみてください。
「こんなレベルで語るなよ」と思った方は、そっとこの記事を閉じてください。

これでも一応まじめにフードフォトグラファーやっているので、記事の内容が良いと思ったら「スキ」していただけるとめっちゃ嬉しいです。

なお、この記事に載せている写真はすべて僕が撮った写真です。酷評している写真も僕の撮ったものです。
またクライアント用に撮影した物では無いです。とくに透かしなどは入れていませんが、スクショとか右クリックでダウンロードとかはしないでください。つまり無断転載禁止でお願いします。

それでは本編です。


ライティングの基本は半逆光

まずは基本的なところですが、大抵のシーンで半逆光は裏切りません。ただ注意が必要なのが、何でもかんでも半逆光にしておけば良いというものでも無いし、順光のライティングが無いのかといえばそうではありません。

半逆光(逆光)の事例①

ちょうど画像の右上に牛乳が入った瓶がありますが、そのあたりから光が差し込んでいるように見えると思います。
ただ実際にそのあたりに光源を置くとマフィンの断面がかなり暗くなってしまいます。じゃあレフ板でおこせば良いと思いがちですが、これは僕的には本当の最終手段で、できれば1つの光源で完結させるのがベストだと思っています。
なぜなら、光源が作り出した影が小さなレフ板によって明るくなると少し不自然に見えてしまうからです。どういうことかというと、通常光源側から反対側に向かって徐々に暗くなっていきますが、レフ板を使用するとその影の出方が変わってきます。レフ板が新たな光源のようになるのでイメージはできると思います。(もちろん、意図的にレフ板を使う時もあります)
今回はちょうど下の画像に示したように「C」字に光とフォーカスをコントロールしたかったので、右から大きな光源1つでライティングしました。
またこの写真はF6.3というフード写真にしてはかなり開放で撮影しています。断面以外を極力ぼかすことでマフィンの断面に視線がフォーカスするようにしています。

半逆光(逆光)の事例②

3枚ともに共通するところですが、半逆光の良さは輪郭の強調だけではありません。比率は異なりますが、必ず写真の手前や、光源がある方と逆側の明度が下がります。
特に手前の明度をうまく落とすことで奥行きを出せますし、下に重心が来るので安定した写真というか、バランスの良い写真になりやすいと思います。

また、フォーカスの位置は対角線のラインに合わせることでうまく視線がおさまるようにしています。
構図のラインはきっちり揃える必要はなくて、なんとなくその形になっていれば人間の目は綺麗な線として認識してくれます。

おおよそ左下からの対角線上にメインの被写体
構図を理解して、その位置にピントをもってくると良い感じにおさまる。

撮った写真がなんとなく良く無いと感じる時があります。そう感じる時の1つのパターン(原因)として、どこを見たら良いのかが分かりにくい、少しフワフワしているという事がよくあるので、その事例を紹介します。

失敗例

全体的にフラットなライティングで、光による視線誘導はありません(フラットライティング自体は悪いことではなく、上の写真においてもナチュラルな感じで、白飛びや露出不足はないです)。料理に目を向けてみると、「これが主役!」というのがぱっと見たところ分かりません。ピントが合っているのが手前のたけのこご飯ですが、商品撮影であると考えれば、黒七味の容器も見せたいのかもしれません。
総じて、構図的にもあまりまとまっておらず、結果どこを見ていいのかよくわからない写真になったのです。(酷評してますが僕が撮った写真です。もちろんクライアントワークではありません)

ここからわかるのは、構図というのは見る人の視線誘導に一役買っているということ。全体的に完璧な構図にする必要はありませんが、最終的に目のいく(見てほしい)ところに構図の終着点があると、ちゃんと着地する写真になります。

ムーディーな写真は暗い写真では無い

最後にまた違った視点の例をお見せします。

暗くてムーディーな写真です。僕はこういった写真が好きです。対角線に綺麗な光のラインが出ていて、尚且つ柔らかい光でいいと思うのですが、いかんせん暗いです。。。

暗くて雰囲気のある写真と、露出が足りていないのは全く別です。というか、よくあるミスです。
暗い写真であっても、見せたいところのハイライトはヒストグラムでしっかりと持ち上がっていなければいけないと思っています。ヒストグラムの最大値(最も明るいところ)を100とした時に、写真の最も明るいところが60とかしかなければそれは露出不足です。

そら豆がもう少し明るければ100点かな…。
見せたいのは炊き込みご飯なので、ご飯のハイライトと中間輝度はしっかり出ている。
油はテカッて白くなりやすいのでしっかりとコントロールする。
でも油感がないとジューシーさが失われる。

こう見比べると、はじめの写真のハイライトが上がりきっていないのがわかると思います。なんとなく薄暗くてムーディーなんですが、見る人によっては単なる暗い写真になってしまうんです。

ここで重要なのは、どこを明るくしてどこを暗くするかをちゃんとコントロールすること。グリッドや逆2乗の法則なんかをうまく利用してコントロールします。

明るいところ、暗いところをしっかりとコントロールできれば背景にキラキラした電球でクリスマスの写真も。ちなみに後ろのキラキラはダイソーのクリスマスライトです。笑

今見るとやや露出不足…。

これは後処理で少しブラックポイントを持ち上げて、絵画のような雰囲気にしました。フェルメールやレンブラントが好きなのですが、こういう背景真っ黒で物が浮かび上がる表現が多いです。それをイメージしています。

レンブラントの肖像画

さいごに

偉そうな事を言ってみましたが、いかがでしょうか。
よくライティング講座みたいなのはありますが、僕はライティングスキルよりも先に明るくあるべきところと暗くあるべきところを見分けられるようになる方が大切だと思っています。

写真は光ですから、ただ明るいだけではいけません。光と影と色のコントラストやリズムがあってこそだと思っています。
それを理解して、自分がどう写したいかをイメージ出来るようになった上で、初めてライティングスキルは生きてきます。

とまぁ、またまた偉そうな事を言ってしまいましたが、自分の写真を使って、普段僕が写真のどこを見ているかというお話しでした。

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