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登戸で「モリタン(コロッケ)」を錬金術に使う男の話

Kとブルンネンが経営する登戸の弁当屋「おべんとうのK」とは

かなり初期に「元芸能人:Kとブルンネンが経営する登戸の弁当屋「おべんとうのK」の思い出。」という記事を書いたことがある。

私が大学生の頃に「ショボい町」こと地元の登戸でアルバイトを始めようということで友人から紹介してもらったのがこの弁当屋だ。

ざっくりと書くと、この店の社長は学生時代に「Kとブルンネン」というデュオを組んでいて、日本人男性と外国人女性という二人だったのだが、ヒデとロザンナやサイモンとガーファンクルが売れていたことから何匹目のどじょうかは知らないがデビューしたのだという。

勿論この社長というのはブルンネンではない。ブルンネンの弁当屋というのは「スプーンおばさん」とか「ステラおばさん」みたいで実においしそうだと思うのだが、天パーで和風の顔立ちの普通のおじさんであるKの方が社長である。誠に残念だ。

そこで私は1年半ほどアルバイトをしていたのだが、かなりデカいステーキのメニューに「ゴジラくん弁当」と商標登録をガン無視した名称を付けて近所(スタジオのある成城は登戸から近いのだ)の東宝にテポドンを放って挑発したり、そのステーキがウェルダン限定で牧場長を泣かせたりと、とにかく個性的という言葉でしか言い表せない経営をしていたのである。

さて、今日は本八幡からはるばる外苑前のnote placeまで来て「noteをもくもくと書く会」に参加しているので、初心に帰って「おべんとうのK(通称おべK)」ネタで参加者をドン引きさせて千葉に帰りたい。

「モリタン、1つ2円らしいよ」

でね。(もくもく会で流行らせたい)

この「おべK」だが、よくよく考えてみると芸能人のセカンドキャリアにしては実に堅実のように思う。芸能人や有名人が引退後に弁当屋というのはあまり聞かないし、どちらかと言えば力士がちゃんこ屋をしたりするようなジャンルの話のように思う。

うちの例の父と母が両方知っているくらいのキャリアの元:芸能人にしては少し意外だが、あと思いつくのは「だんごの輪島」くらいだろうか。(国分寺でまだやってんのかなぁ)

そんな風に疑問に感じていると、ふと気になる話をバイト仲間から聞かされた。

「モリタン、原価2円らしいよ。」

この店では基本的に食材の名称について特に業界用語のようなものを使うことはない。例えば寿司屋の「ガリ」や「あがり」のようなものだ。あとは「サンダー」みたいなものか。サンダーって何かよく知らないが。

ただ、何故か何の変哲もないコロッケのことをこの店では「モリタン」と呼んでいる。確かにカニクリームコロッケは存在していて、これについては「カニクリームコロッケ」と略称も無くフルネームで呼んでいた。

これはこれで何とかならんのかと思うのだが、要するに彼が言うにはコロッケ1つで40円くらい儲けを出しているのである。

これはスゲえ。殆どリスクゼロで「モリタン」が売れるたびに40円儲かる。こんなビジネスモデルを社長は生み出しているのである。

「モリタン」でこの世の春を謳歌する社長

そりゃ弁当屋開くわけだ。
「モリタン」は現代の錬金術である。

砂を掌に入れて一瞬で砂金にする人物としてこの頃サイババという謎のインド人が話題になっていたことがあったが、社長がしているのは茶色い揚げ物をフライヤーにぶち込んで40円にするという錬金術だ。

中世であれば恐らく社長は暗殺されることだろう。そして哀れな「モリタン」は別の悪者によって利用されるのだ。

だがここは、2000年の日本だ。基本的人権が尊重されるばかりか「モリタン」が錬金術の材料にされているということを知っている者だってバイトの彼しか存在しない。

「Kとブルンネン」は確かに売れた。
世間の注目も集めた。
だが、ヒデとロザンナの二番煎じだった。

社長の胸中は察するに余りある。だからこそ社長は「モリタン」で弁当屋王国を築いた。

彼は、錬金術師としてのセカンドキャリアを今謳歌している。

この弁当屋王国は宿河原の「ファミリー弁当」に始まり、2号店である「おべK」、そして私がおべKに居る頃に向ヶ丘遊園駅前に「K’s Kitchen(通称K吉)」、更には2004年(くらいだったと思う)によみうりランド駅前に「おべんとうのK 2号店」をオープンするに至った。

やはり「モリタン」は黄金なのだ。
社長は現代の錬金術師なのだ。

与沢翼か、Kか。
この頃社長は、確かに府中街道で飛ぶ鳥を落としていたのである。

で、「K」の由来って何なのよ?


さて。
この辺りで皆さん思うことがあるはずだ。

「K」って何だろう。
と。

日本人男性と外国人女性というデュオで、日本人というアイデンティティを持ちながら果たして何故社長は「K」と名乗ったのだろうか?

ロザンナと組んだのは「ヒデ」だ。日本の由緒正しい名前だ。ああ、日本人男性と外国人女性なのだと視覚的にもよく分かる。

だが、Kとブルンネンでは残念ながらそういうコンビであることが視覚的にも聴覚的にもよく分からない。なら「八十吉とブルンネン」の方がはるかに分かりやすいではないか。

私はそこで考えた。
恐らく社長の名前は何かKに由来する何かなのだ。

インドに行けば社長の名前が西原馬場夫なのは間違いない。ただ、日本であればKに近しい、最悪イニシャルくらいはKが入っていることにはなるだろう。そんな程度でもいい。

おい、社長こと西原馬場夫よ。
What’s your name ?

そして閉店前。
私は会社の領収証を見て驚愕する。


代表取締役 鈴木豊明


!?


どういうことだ。
西原でも馬場夫でもないのは仕方がない。
それは芸名だ。


「スズキ」にも「トヨアキ」にもKがねえよ!


混乱する私。
Kとはいったい何なのだ。
ブルンネンも混乱したまま引退したに違いない。

これは私が今この疑問に決着を付けねばならない。バイトが終わった後、二人になったタイミングを見計らって、私は「西原馬場夫」こと鈴木豊明に聞いた。


「社長、Kって何か由来があるんですか?」


すると社長はくしゃくしゃの笑顔でこう答えた。







「あー、Kはね、スズキの『キ』だよ!」


こんな適当な理由でも弁当屋は4軒も持てるのだ。
モリタンで錬金術をする限り。


というわけでいかがでしたか?

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